1. トップ
  2. 恋愛
  3. 発達障害「ASD(自閉スペクトラム症)」の男性に見られやすい5つの特徴とは?

発達障害「ASD(自閉スペクトラム症)」の男性に見られやすい5つの特徴とは?

  • 2026.2.20

ASD(自閉スペクトラム症)は、かつて「自閉症」「アスペルガー症候群」などと呼ばれていた状態を含む、神経発達症の一つです。生まれつきの脳の特性であり、男性に多く見られることが知られています。

今回はASDの男性にフォーカスし、その特徴やASDにまつわるよくある誤解についても取り上げ、正しい理解につなげていきます。監修は、神谷町カリスメンタルクリニック院長・松澤 美愛先生です。

先に「ASD(自閉スペクトラム症)」にまつわるウワサを斬る!を読む

「ASD(自閉スペクトラム症)」とは

ASD(Autism Spectrum Disorder:自閉スペクトラム症)は、社会的なコミュニケーションや対人関係の困難さ、興味・行動の偏りやこだわりを特徴とする神経発達症です。

「スペクトラム(連続体)」という言葉が示すように、ASDの特性の現れ方は人によって大きく異なります。日常生活にほとんど支障がない軽度の方から、手厚いサポートが必要な方まで、その幅は非常に広いのが特徴です。

ASDの主な特徴

ASDの特徴は、大きく2つの領域に分けられます。

社会的コミュニケーション・対人関係の困難

  • 相手の気持ちや意図を読み取ることが難しい
  • 暗黙のルールや「空気」を理解しにくい
  • 会話のキャッチボールがうまくいかない
  • 非言語的なコミュニケーション(表情、視線、身振りなど)の理解や使用が苦手

限定的・反復的な行動パターン、興味・活動傾向

  • 特定の物事への強いこだわり
  • 決まったルーティンへの固執、変化への抵抗
  • 特定の分野への深い没頭
  • 感覚の過敏さ、または鈍感さ

ASDは、育て方や本人の努力不足によって生じるものではありません。生まれつきの脳の発達の特性と考えられていますが、病因はまだはっきりしていません。

しかし近年の研究では、遺伝的要因が関わっていることがわかっています。

なぜASDは男性に多いと言われるのか?

ASDは、女性よりも男性に多く診断される傾向があります。従来の研究では、男女比は2~4:1程度とされてきました。

ただし、近年では「女性のASDは見逃されやすい」という指摘もあります。女性は社会的なコミュニケーションの困難を補う力(カモフラージュ能力)が高い傾向があり、特性が目立ちにくいためです。

実際の男女比は、これまで考えられていたよりも差が小さい可能性があります。

「大人の男性の発達障害」4つの特徴をチェック!男女でどんな違いがある?

「ASD(自閉スペクトラム症)」の男性に出やすい特徴

ASDの特性は人によって異なりますが、男性に比較的多く見られる傾向をいくつか紹介します。

これらはあくまで「傾向」であり、すべてのASD男性に当てはまるわけではありません。また、これらの特徴があるからといって、必ずしもASDとは限りません。

1. 会話が一方的になりやすい

ASDの男性は、自分の興味のある話題について詳しく、熱心に話す一方で、相手の反応や興味に気づきにくいことがあります。

相手が話題を変えたがっているサインや、「そろそろ話を終わらせたい」という雰囲気を読み取ることが難しく、結果として会話が一方的になってしまうことがあります。

本人に悪気はなく、むしろ「好きなことを共有したい」という純粋な気持ちから話していることが多いのですが、相手からは「自分の話ばかりする人」と受け取られてしまうことがあります。

また、相手の話を聞いているときに、適切な相づちやリアクションをするタイミングがわからず、「聞いているのかいないのかわからない」と思われることもあります。

大人の発達障害「ASD(自閉スペクトラム症)」によく見られる“話し方の特徴”5つ

2. 暗黙のルールや「空気」を読むことが苦手

日本社会では言葉にしなくても伝わることを期待するコミュニケーションが多く見られます。しかし、ASDの男性にとって、こうした暗黙のルールを理解することは非常に難しいことがあります。

社交辞令を本気の誘いと受け取ってしまったり、逆に本気の誘いを社交辞令と思って断ってしまったりすることがあります。

また、場の雰囲気に合わない発言をしてしまい、周囲を困惑させてしまうこともあります。

これは「空気が読めない」のではなく、「暗黙の情報を処理する脳の働き方が異なる」と理解するほうが適切です。明確に言葉で伝えてもらえれば、きちんと対応できることが多いのです。

3. 特定の分野への強いこだわりと深い知識

ASDの男性は、特定の分野に対して非常に強い関心を持ち、深い知識を蓄えていることが多いです。

電車、コンピューター、歴史、音楽、数学、特定のゲームなど、対象は人それぞれですが、その分野に関しては専門家顔負けの知識を持っていることもあります。

この特性は、仕事において強みになることもあります。IT、研究、エンジニアリング、クリエイティブな分野など、専門性を活かせる領域では、ASDの特性を持つ人が高い成果を上げているケースも少なくありません。

一方で、興味のない分野にはなかなか関心が向かず、「融通が利かない」「視野が狭い」と見られてしまうこともあります。

「指示が理解できない」「説明が長い」「ズレている」…職場における“大人の発達障害のサイン”と対処法

4. 変化やイレギュラーな事態への対応が難しい

決まったルーティンを好み、予定の変更や予期しない出来事に強いストレスを感じるのも、ASD男性に多く見られる特徴です。

「明日の会議が急遽キャンセルになった」「いつもと違う道順で行くことになった」などは、ASDの方にとっては大きな混乱や不安の原因になることがあります。

事前に変更の可能性を伝えておく、変更がある場合は早めに知らせるといった配慮があると、対応しやすくなります。

なぜ会話が嚙み合わない? ASD(自閉スペクトラム症)に見られるコミュニケーションの特徴

5. 感情表現が乏しい、または独特

ASDの男性は、感情表現が控えめだったり、一般的なパターンとは異なる表現をしたりすることがあります。

嬉しいときや感謝しているときでも、表情や声のトーンにあまり変化が出ず、「冷たい人」「感情がない人」と誤解されることがあります。実際には内面では豊かな感情を持っていても、それを外に表現することが苦手なのです。

また、感情を言葉で表現することも難しい場合があります。

「どう感じた?」と聞かれても、自分の感情を適切な言葉にすることができず、黙り込んでしまったり、的外れな返答をしてしまったりすることがあります。

次:「ASD(自閉スペクトラム症)」にまつわるウワサを斬る!

「ASD(自閉スペクトラム症)」にまつわるウワサを斬る!

ASDについては、インターネット上に様々な情報が溢れています。中には誤解や偏見に基づいたものも少なくありません。ここでは、よく聞かれる「ウワサ」について、実際のところはどうなのかを解説します。

Q.「ASD(自閉スペクトラム症)」の人は"謝らない"ってホント?

A. 誤解です。謝らないのではなく、「謝るべき状況」の認識が異なることがあるのです。

ASDの方が「謝らない」と言われることがありますが、正確ではありません。多くのASD当事者は、自分が悪いことをしたと認識すれば、きちんと謝ることができます。

問題は、「何が相手を傷つけたのか」「なぜ謝る必要があるのか」が理解しにくい場合があるということです。ASDの特性として、相手の感情や意図を読み取ることが難しいため、自分の言動が相手を不快にさせたことに気づかないことがあります。

たとえば、事実を述べたつもりが相手を傷つけていた、冗談のつもりが本気に受け取られた、といった場合に、「なぜ怒っているのかわからない」という状況が生じることがあります。

また、謝罪が必要だとわかっていても、どのように謝ればいいのか、どんな言葉を使えばいいのかがわからず、行動に移せないこともあります。

何が問題だったのかを具体的に説明することで、適切に対応できることも多いのです。

もう限界!発達障害の人との関係に疲れた…「カサンドラ症候群」のサインと、なりやすい人の特徴

Q.「ASD(自閉スペクトラム症)」の人は"返事をしない"ってホント?

A. これも誤解です。返事をしないのではなく、返事が必要だと認識していない、または返事の仕方がわからないことがあります。

「呼んでも返事をしない」「質問しても答えない」など言われることもありますが、いくつかの理由が考えられます。

まず、ASDの方は一つのことに集中していると、周囲の声が耳に入らないことがあります。無視しているのではなく、本当に聞こえていない、または聞こえていても処理できていないのです。

また、質問の意図がわからない、どう答えればいいかわからないという場合に沈黙してしまうこともあります。

「どう思う?」のような曖昧な質問はとくに難しく、具体的に何を答えればいいのか迷っているうちに、沈黙が長くなってしまうことがあります。

さらに、そもそも「返事をすることが求められている」という社会的なルールを認識していない場合もあります。悪気があるわけではなく、その場面で何が期待されているのかがわからないのです。

返事がない場合は、名前を呼んで注意を引いてから話しかける、質問を具体的にするといった工夫が有効です。

Q.「ASD(自閉スペクトラム症)」の人は"顔つきに特徴がある"ってホント?

A. 科学的根拠はありません。外見だけでASDかどうかを判断することはできません。

「ASDの人は顔つきに特徴がある」という説がインターネット上で見られることがありますが、これは科学的に証明されたものではありません。ASDは脳の機能的な特性であり、顔の造形とは関係がありません。

「ASDの人は〇〇な顔つき」といった言説は、偏見やステレオタイプを助長する可能性があり、注意が必要です。

ASDの診断は、専門家による詳細な問診や行動観察、心理検査などを通じて行われるものです。

ASD(自閉スペクトラム症)の「顔つき」や「見た目」に共通点はあるの?【大人の発達障害】

監修者プロフィール

神谷町カリスメンタルクリニック院長 松澤 美愛先生

東京都出身。慶應義塾大学病院初期研修後、同病院精神・神経科に入局。精神科専門病院での外来・入院や救急、総合病院での外来やリエゾンなどを担当。国立病院、クリニック、障害者施設、企業なども含め形態も地域も様々なところで幅広く研修を積む。2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開業、院長。精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会
URL https://charis-mental.com/
InstagramURL https://www.instagram.com/charismentalclinic

<Text:外薗 拓 Edit:編集部>

元記事で読む
の記事をもっとみる