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「今じゃ地上波放送できないな…」“あまりの過激シーン”に衝撃…放送から32年経ても語り継がれる【異色の月9】

  • 2026.2.27

「面白いと聞いたけれど、最後まで観られるかな?」と不安になるほど、過激なシーンが話題になるドラマがあります。 そうした描写は、物語のリアリティやキャラクターの感情を表現するために必要な演出であることも多いですが、やはり初見では驚いてしまうものです。 今回は、描写がハードなことで知られる作品をいくつかピックアップしました。

今回ご紹介するのは、ドラマ『この世の果て』。「月9」枠といえばきらびやかなラブストーリーや大恋愛を扱うものが多い印象がありますが、本作はそのイメージをガツンと揺さぶった一作となりました。詳しくご紹介していきますね。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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コンサートにゲスト出演した女優の鈴木保奈美(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『この世の果て』(フジテレビ系)
  • 放送期間:1994年1月10日~3月28日
  • 出演者:鈴木保奈美、三上博史、桜井幸子、豊川悦司 ほか

物語の中心にいるのは、過酷な家庭環境の中で懸命に生きる砂田まりあ(鈴木保奈美)と、心に深い傷を抱えたピアニストの高村士郎(三上博史)。まりあは妹のなな(桜井幸子)を守るために必死で働き、目の前の現実に食らいついている女性です。そこに現れたのが高村士郎。孤独で、どこか危うさがあり、放っておけないと感じさせる男でした。

二人は強く惹かれ合っていきます。ただ、その愛は穏やかとは程遠いものでした。過去の因縁、周囲との関係、そして神矢征司(豊川悦司)の存在。いくつもの感情が絡まるたびに、物語はじりじり追い詰められていきます。
愛なのか依存なのか。救いたいのか、壊れたいのか。その境界がわからないまま、まりあと士郎はそれぞれの選択を迫られていきます。

「月9でここまでやるのか」驚きの声も…張り詰めた衝撃展開

1994年、フジテレビ系"月9"枠で放送されたドラマ『この世の果て』。本作は、当時の月9のイメージを大きく揺さぶった一作でした。月9といえば華やかなラブストーリー、若者の等身大の恋愛といった王道が並ぶ時間帯です。そこに持ち込まれたのは、救いの少ない展開と、人間の孤独や絶望をごまかさず描くハードな世界観でした。

過酷な環境で生きる砂田まりあを演じる鈴木保奈美さんと、心に深い傷を抱えた高村士郎を演じる三上博史さんが出会うところから物語が動き出します。互いに不器用でどこか壊れている二人の関係は、穏やかな恋愛とは程遠く、愛情と依存、救済と破滅の境目がどんどん見えなくなっていきます。

本作で忘れられないのは、緊張感が最後まで途切れないこと。暴力、裏切り、精神的に追い詰められていく人物たちの姿が容赦なく映し出されます。SNS時代のいま初めて作品に触れた人や、改めて視聴した人から、「月9でここまでやるのか」「今じゃ地上波放送できないな…」「あまりにも過激」という声が寄せられています。

それでいて高い視聴率を叩き出しているのは、衝撃的な内容であっても、多くの人が画面から目を離せなかったということ。単に刺激的だったから観られたわけではありません。極限に追い込まれてもなお愛を求め続ける人間の姿に、心をつかまれた人が確実にいたのです。

本作を手がけた野島伸司さんの脚本は、人間の弱さや醜さを包み隠さず見せながら、その奥でかすかに光る純粋な感情をすくい上げる、繊細で奥深いものになっています。月9という大舞台で、ここまで緊迫した物語をやり切ったこと自体が、相当な覚悟だったはずです。

甘い恋愛ドラマの枠を軽々と越えてしまった、愛と絶望の境界線上の物語"異色の月9"という言葉は、この作品のためにあるようなものだと思います。

「圧倒された」との声も…鈴木保奈美さんが体現したヒロイン

ドラマ『この世の果て』を語る上で、主人公・砂田まりあを演じた鈴木保奈美さんの話は避けて通れません。当時の鈴木保奈美さんといえば、名作ドラマ『東京ラブストーリー』の印象が圧倒的でした。明るくて聡明で、芯の強いヒロイン。しかし、本作のまりあは、まるで別人です。過酷な環境の中で生き、愛にすがり、それでも精神的に追い詰められていく。これまでの"月9ヒロイン"とは明らかに違う、重くて複雑な女性でした。

物語が進むほどに、まりあの感情は大きく揺れていきます。愛する人への強い思い、拭えない不安と恐怖。希望が見えたかと思えば、次の瞬間には絶望に叩き落とされる。その振れ幅を、鈴木さんは全身で受け止めていました。なかでも強く残るのは、言葉ではなく"表情"で語る場面の数々。潤んだ瞳、わずかな視線の動き、張り詰めた沈黙。それだけで、まりあの内側が壊れていく音が聞こえるようでした。

派手な演出に頼らず、感情をひとつずつ積み上げて緊張感を作っていく。その芝居が、観ている側の胸にじわじわ食い込んでくる。実際、いまでもSNSで「圧倒された」「忘れられない」という声を見かけることがあります。放送から時を経ても話題に上がるということは、当時本作がもたらした影響が多大なものであった証拠といえるでしょう。

愛に依存しながら、それでも必死に自分を保とうとするまりあ。弱さと強さが同居するあの人物像を成立させたのは、鈴木保奈美さんの表現力があったからこそだと思います。清純派ヒロインの枠を自ら壊して、崩れていく女性を真正面から演じ切った。あの覚悟には、当時リアルタイムで観ていた人ほど衝撃を受けたのではないでしょうか。

月9の主演で、ここまで精神的に追い込まれるヒロインを体現する。それ自体が相当な挑戦です。それゆえにドラマ『この世の果て』は、鈴木保奈美さんのキャリアの中でも特別な一作であると感じます。

放送から30年…いまも語り継がれる“異色の月9”

1994年、月9枠で放送されたドラマ『この世の果て』。華やかな恋愛劇が並ぶあの時間帯で、人間の孤独や極限の愛を描いた作品です。高い視聴率を叩き出しながらも、重く張り詰めた世界観を最後まで崩さなかった、そこが本作のすごみだと思います。

1990年代のドラマを振り返るとき、この作品をスルーできる人はそういないはずです。派手に語られることは減っても、ふとしたときに名前が出てくる名作です。


※記事は執筆時点の情報です