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放送から16年「日本のドラマで1番好き」「人生で初めてハマった」と称される至高作…“数々の受賞歴”が裏付ける完成度

  • 2026.2.21

ドラマの中には、放送から年月が経っても、ふとした拍子に“「人生で初めてハマった作品」”として思い出されるものがあります。ドラマ『Q10(キュート)』もまさにそんな作品です。ロボットの転校生と高校生の恋――という一見ファンタジーな設定なのに、気づけば「自分の10代の痛み」や「誰かを好きになる切なさ」に刺さって、最後は胸の奥が温かくなる。

今回は、その魅力をSNSの声とあわせてドラマ『Q10(キュート)』を振り返ります。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに制作された内容です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“熱い支持を得ている”ドラマ『Q10』

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『四月になれば彼女は』完成披露試写会 佐藤健(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):Q10(キュート)(日本テレビ系)
  • 放送期間:2010年10月16日〜2010年12月11日
  • 出演:佐藤健(深井平太 役)/前田敦子(Q10 役)/蓮佛美沙子(山本民子 役)ほか

あらすじ

高校3年の深井平太(佐藤健)は、ある日、学校で眠るように横たわる少女に出会います。彼女の正体は、転校生として現れたロボット――Q10(前田敦子)。平太は、周囲に馴染めない彼女の“面倒を見る役”に巻き込まれていきます。最初は戸惑いだらけなのに、Q10のまっすぐな言葉と行動が、少しずつクラスや大人たちの空気を変えていく。平太自身も「諦めていたもの」に触れ直すように、心が動き始めます。

そんな中、クラスメイトの中尾順(細田よしひこ)がQ10に惹かれていき、担任の小川訪(田中裕二)は平太に「中尾にあきらめさせろ」と告げます。さらに、Q10の秘密を握る富士野月子(福田麻由子)が現れ、「Q10は私たちのもの」と言い出し、事態は一気に不穏になっていく。Q10が“回収”されることを恐れた平太は、彼女を連れて逃げる決意をする一方で、クラスでは影山聡(賀来賢人)が「高校生活最後の思い出に」と、河合恵美子(高畑充希)の希望で“幸せな映画”を撮ろうと動き出す。

恋と秘密と別れの予感が交差する中で、平太とQ10の関係は、ただの学園の出来事では済まない場所へ進んでいきます。平太が選ぶ“守り方”は正しいのか。Q10が残した言葉の意味が、最後に静かに効いてきます。

前田敦子さんの名演が、“Q10の無垢さ”を本物にした

Q10は、可愛いだけのヒロインでは成立しない役です。人間味が出すぎると「ロボット」に見えないし、機械的すぎると感情移入できない。そこで前田敦子さんの芝居は、ぎこちなさ・片言・まっすぐな視線で“人間になりかける途中”を丁寧に作りあげています。

まんたんウェブの取材で前田さんは、以下のように語っています。

歩き方やしゃべり方を研究しました。普段の生活でも物を取る時に『Q10だったらどうするかな』と考えます。
出典:『前田敦子:ロボット役に「まばたき駄目なので大変」 初ヒロインドラマ「Q10」』MANTANWEB 2010年10月3日公開

だから視聴者は、守りたくなるだけじゃなく、いつの間にかQ10に心を動かされてしまう。SNSでも、「前田敦子さんにどハマりしたきっかけ」と振り返る投稿が見られます。かわいさに心を掴まれ、配信サービスに登録した、という声も。

また、「人生で初めてハマったドラマ」「最後が感動した」「日本のドラマで1番好き」、といった声が今なお見られ、当時の“刺さり方”が今も続いていることが伝わります。

佐藤健さんの名演が、“平太の弱さ”を肯定に変える

平太は、最初から強い主人公ではありません。どこか諦めが先に立つ、平凡で臆病な高校生。公式の作品紹介でも、平太はそうした人物として描かれ、転校してきたロボットQ10との出会いが、彼の日常を少しずつ動かしていく軸になっています。ですが佐藤健さんの芝居は、派手な熱血に寄せません。迷い、照れ、踏み出せなさを“隠さない”まま出してくる。だからこそ、平太がQ10に引っ張られるように変わっていく過程が、ちゃんと現実の手触りで刺さります。

この作品がすごいのは、「ロボットと恋する」という非現実を、観る側の感情の実感に変えてしまうところです。平太の弱さが否定されるのではなく、むしろ“弱いままでも動ける”方向に変わっていく。その変化を成立させているのが、佐藤健さんの地に足のついた演技です。

平太の変化が刺さるのは、演技だけでなく“言葉の設計”が強いからでもあります。制作発表時、佐藤さんは脚本について次のように語っています。

脚本がとにかくすてきで、自分のせりふを読もうとすると鳥肌が立つくらい。このドラマは本当にすごいものになる、すごいものにしなければならないと思います。
出典:『前田敦子:ロボット役に「まばたき駄目なので大変」 初ヒロインドラマ「Q10」』MANTANWEB 2010年10月3日公開

そしてドラマ『Q10』は“好き”だけで語られている作品ではありません。東京ドラマアウォード2011連続ドラマ部門優秀賞、さらに第48回ギャラクシー賞優秀賞を受賞しており、快挙を成し遂げた作品として評価されています。だからこそ本作は、“懐かしい”で終わらない。もし今、1話だけ再生したら――平太の小さな一歩、Q10のまっすぐさ、あなたはどこで心を持っていかれるでしょうか。


※記事は執筆時点の情報です