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「ナルシストを無視する」ことに慎重であるべき理由

  • 2026.2.9
ナルシストを無視すると…… / Credit:Canva

あなたの周りに、自己主張が強く、注目されないと不機嫌になる人はいないでしょうか。

いわゆる「ナルシスト」と呼ばれるタイプの人です。

そのような人物と距離を取るべきか、あるいは慎重に関係を保つべきかを考えるうえで、ヒントになる心理学的な知見が得られました。

イギリスのコヴェントリー大学(Coventry University)の研究チームは、ナルシシズム傾向の高い人が「無視された」「仲間外れにされた」と感じたとき、どのような行動に出やすいのかを詳しく調べました。

この研究は、2025年12月22日付の『The Journal of Psychology』に掲載されています。

目次

  • ナルシシズムと「受動的攻撃行動」の関係
  • ナルシストは「無視された」と感じると、相手の批判に転じる

ナルシシズムと「受動的攻撃行動」の関係

心理学では以前から、ナルシシズム傾向の高い人は、拒絶や批判に対して強い怒りを感じやすいことが知られてきました。

ただし、その怒りが、いつも大声での攻撃やあからさまなケンカとして出てくるわけではありません。

もっと分かりにくい、遠回しな形で表れる場合があります。

これが「受動的攻撃」と呼ばれる行動です。

今回の研究では、この受動的攻撃を一つのまとまりとして見るのではなく、次の三つに分けて調べました。

一つ目は、相手の恥ずかしい過去や不利な情報を意図的に暴露する「批判の誘発」です。

二つ目は、無視やサイレント・トリートメントなどによる「他者の排斥」です。

三つ目は、協力するふりをしながら裏で足を引っ張る「妨害行為」です。

研究チームは、オンライン調査に参加した219人の成人を対象に、ナルシシズム傾向、過去半年間にどの程度「無視された」「排除された」と感じたか、そしてこれら三種類の受動的攻撃行動をどのくらい行うかを質問しました。

分析の結果、まず分かったのは、ナルシシズム傾向が高い人ほど、こうした受動的攻撃行動を取りやすい傾向があるという点です。

ただし、ここで重要なのは「すべての受動的攻撃が同じように増えるわけではない」ということです。

「無視された」「仲間外れにされた」という感覚が強いときに特にどの行動が出やすくなるのか、次項で見ていきましょう。

ナルシストは「無視された」と感じると、相手の批判に転じる

研究の中で特に注目されたのは、「知覚された排斥」がどの行動を強めたのかという点です。

その結果、「自分は無視された」「外された」と感じている人ほど、ナルシシズム傾向の高さと「批判の誘発」との結びつきが強くなることが分かりました。

一方で、無視し返す行動や妨害行為については、排斥感によるはっきりした増幅効果は見られませんでした。

つまり、ナルシシズム傾向の高い人は、「自分は軽んじられた」「無視された」と感じたとき、相手に直接怒りをぶつけるのではなく、人前で恥をかかせたり、不利な情報を広めたりする形で反撃しやすくなるのです。

この行動は、相手にとっては大きなダメージになりますが、やった側は「事実を言っただけ」「たまたま話題に出ただけ」と言い逃れしやすい特徴があります。

研究チームは、この結果について、ナルシシズムの背景にある自尊心の脆さが関係している可能性があると説明しています。

ナルシシズムの背景には、安定しているように見えて実は脆い自己評価があり、それが排斥によって刺激されると、自尊心を守るための攻撃行動が起こりやすくなるというわけです。

特に批判の誘発は、自分の優位性を取り戻しながら相手の評価を下げられるため、こうした流れの中で選ばれやすい行動だと考えられます。

では、私たちはナルシシズム傾向の高い人にどのように対応すべきなのでしょうか。

今回の研究は、「無視すれば自然に距離が取れる」という単純な期待が、むしろ裏目に出る可能性があることを示唆しています。

意図せず相手を外してしまった場合でも、「あの人は自分を軽んじた」と受け取られれば、思わぬかたちで評判や人間関係にダメージが及ぶかもしれません。

すでに問題が起きている場合には、間接的な仕返しに対して曖昧に済ませるのではなく、その行動がどのような影響を与えたのかを冷静に伝えることが、関係改善につながる可能性があります。

もちろん、すべてのナルシシストが同じように振る舞うわけではありません。

それでも、「無視」や「排除」が強い反応を引き出しやすいことを頭の片隅に置いておくと、人付き合いのリスクを少し下げられるかもしれません。

今回の研究は、何気ない「無視」や「外し」が、人間関係の中でどれほど大きな意味を持つかを教えてくれます。

相手のプライドにどのような影響を与えるのかを意識することが、トラブルを避けるための一つの鍵と言えそうです。

参考文献

You Better Watch Out if You Snub a Narcissist
https://www.psychologytoday.com/us/blog/fulfillment-at-any-age/202602/you-better-watch-out-if-you-snub-a-narcissist

元論文

Narcissism and Passive-Aggression: Testing the Moderating Effect of Perceived Ostracism
https://doi.org/10.1080/00223980.2025.2605347

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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