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放送から6年 “群を抜くクオリティ”に→「鳥肌と震えが止まらない」「あまりに完璧」劇場版が“大快挙”を成し遂げた至高ドラマ

  • 2026.2.13

ドラマや映画の中には、放送をきっかけに大きな話題を呼び、記憶に刻まれる作品があります。今回は、そんな中から「快挙を遂げたNHKドラマ」を5本セレクトしました。本記事ではその第1弾として、ドラマ『スパイの妻』(NHK BS8K)をご紹介します。国家の不正と向き合うことになった夫と、その「共犯者」として生きる道を選んだ妻。戦争の影が忍び寄る時代を舞台に描かれる、愛と覚悟の物語とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画「スパイの妻」会見 蒼井優 (C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『スパイの妻』(NHK BS8K)
  • 放送日:2020年6月6日
  • 出演:蒼井優 (福原聡子 役)/ 高橋一生(福原優作 役)ほか

1940年、太平洋戦争前夜の神戸。貿易商の福原優作(高橋一生)は、満州で偶然知ってしまった恐ろしい国家機密を、世界へ公表しようと動き始めます。

一方、妻の聡子(蒼井優)は、夫の不可解な行動を浮気だと思い込み、嫉妬と不安に囚われていました。しかし、やがて優作の真意と覚悟を知り、「スパイの妻」と罵られる運命を受け入れたうえで、愛する夫と共に生きる道を選びます。そうして聡子は、夫の“共犯者”として、誰も予想しなかった行動に踏み出すのでした――。

国際映画祭が認めた快挙――世界に届いた日本ドラマ

本作は、太平洋戦争前夜の神戸を舞台に、時代のうねりに翻弄されながらも、愛と信念を貫こうとする夫婦の姿を描いたラブサスペンスです。

脚本を手がけたのは、監督を務めた黒沢清さんと、東京藝術大学大学院映像研究科の教え子であり、現在は世界的に高い評価を受ける濱口竜介さん、野原位さんの3名。世代と感性の異なる才能が重なり合い、緊張感あふれる物語が紡がれています。

キャストには、主人公・福原聡子役に蒼井優さん、その夫・福原優作役に高橋一生さんを起用。さらに、東出昌大さん、坂東龍汰さん、笹野高史さんら実力派俳優が脇を固めています。

本作はもともと、NHKのBS8Kで放送される特集ドラマとして制作されましたが、その後、スクリーンサイズや色調を映画館上映用に再構築した「劇場版」が公開されることに。

この劇場版は、第77回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出され、黒沢清さんが銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞しています。

さらに、アジア全域版アカデミー賞と言われる「第15回アジア・フィルム・アワード」では、日本作品として映画『万引き家族』以来となる最優秀作品賞をはじめ、蒼井優さんの最優秀主演女優賞、纐纈春樹さんの最優秀衣装デザイン賞を含む最多3冠に輝き、大きな注目を集めました。

無垢から夫の“共犯者”へ――蒼井優が描く聡子の変貌

物語の舞台は、ハイカラでモダンな空気が漂う1940年の神戸。戦争の気配が色濃くなっていく中、国家という巨大な存在に否応なく巻き込まれていく、一組の夫婦の行く末が描かれます。

夫・優作が満州で知ってしまったのは、日本軍による人体実験の記録という、目を背けたくなるような国家の闇でした。

その秘密を共有し、夫の「共犯者」として生きる道を選んだ妻・聡子。しかし、深い愛で結ばれた二人の関係は、単なる協力者にとどまりません。互いの愛と正義を貫くため、時に相手さえも欺くような、スリリングな「騙し合い(コン・ゲーム)」が繰り広げられていきます。

本作の大きな魅力は、史実に根ざした重い背景と、緻密に構築されたフィクションが自然に溶け合っている点です。当時の国際情勢という歴史的事実に濃密なサスペンスとロマンスを織り交ぜることで、上質なエンターテインメントに仕上がっています。

「正義を貫くこと」と「愛する人と共に生きること」は両立するのか。史実に基づいたリアリティあふれる世界観の中で、現代の私たちにも通じる普遍的な問いが突きつけられます。

本作でとりわけ強い印象を残すのが、主演・蒼井優さんの圧倒的な演技です。世間知らずで穏やかな“お嬢様”だった聡子が、夫の秘密を知り、自らの意志で運命を切り開く女性へと変貌を遂げていく様は、まさに圧巻の一言。

感情を一気に立ち上げる表現力と、黒沢清監督ならではの抑制の効いた演技。その相反する二つを見事に両立させています。1940年代のクラシカルな衣装や独特のセリフ回しを自然に身にまとい、スクリーンに佇む姿は、往年の銀幕スターを思わせる美しさと芯の強さを感じさせます。

SNSでも、「次元が違う美しさ」「レトロな衣装が似合っていて素敵」「演技が別格」「日本を代表する名女優」といった絶賛の声が相次ぎました。

とりわけ後半で見せる、狂気とも正気とも判別しがたいミステリアスな表情や、悲劇的な運命さえもすり抜けていくような「軽やかな振る舞い」は、観る者の視線を強く引き寄せます。

映画『ロマンスドール』でも夫婦役を演じた高橋一生さんとの競演も見どころの一つ。息の合った緊張感ある心理戦から目が離せません。

「NHKに拍手」――SNSも熱狂するほどの名作

本作は、1940年代という時代を舞台に、現代の私たちにも通じる「個と社会」の葛藤を浮かび上がらせた作品です。

黒沢清監督による軽やかで映画的な演出と、濱口竜介さん・野原位さんによる重みのある脚本。一見すると正反対にも思える才能が重なり合い、単なる歴史サスペンスにとどまらない、強い余韻を残すドラマが生まれました。

「狂気」とされる正義と、「正気」を装う狂気。その狭間で、ただ守られるだけの存在から、共犯者=「スパイの妻」として生きることを選んだ聡子の姿は、閉塞感のある時代を生きる私たちに、自分の意志で人生を選ぶことの重さと美しさを突きつけます。

一部で「日本が悪く描かれすぎている」といった声もありますが、「蒼井優と高橋一生の名演が光る作品」「評判どおりの傑作「戦争について考えさせられた」「何回見ても最高」「NHKに拍手」「鳥肌と震えが止まらない」「あまりに完璧」と語り継がれる本作は、まさに「快挙を遂げたNHKドラマ」の名にふさわしい一作です。


※記事は執筆時点の情報です