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「まだ心の準備が…」「最後なんて絶対やだ」約9年かけて“迎えた完結”に悲痛の声も…“ハイクオリティな完成度”で魅せた傑作アニメ

  • 2026.2.27

「ここまで見届けてよかった」そう思える瞬間のために、物語は続いてきました。登場人物たちが歩んできたすべての時間がラストへと繋がり、私たちの心を大きく震わせるのです。今回は、“心を震わせるアニメ完結編Part2”と題し、5作品をセレクトしました。

本記事ではその第5弾として、『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編(松竹)をご紹介します。第1期から約9年かけて完結した、ハイクオリティなアニメ作品を数多く手がけてきた京都アニメーションによる一作です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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GoogleGeminiで作成(イメージ)
  • 作品名(配給):『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編(松竹)
  • 公開日:2022年4月22日

初めて出場した世界大会の後、七瀬遙(CV:島﨑信長)は絶対王者・アルベルト・ヴォーランデル(CV:JEFF MANNING)の泳ぎに囚われ、自由を失っていました。「君はなぜ泳ぐのか?」問われたのは、泳ぐことの意味と水との在り方。もがき苦しむ遙は、ひとり暗い水底に沈んでいきます。心をえぐられたような衝動に追い込まれながら、彼はあえて過酷な特訓を選び、ただひたすらに練習に打ち込んでいきます。

身も心も酷使していることは、遙自身深く理解していました。仲間たちはそんな遙を信じ、見守るしかできません。脳裏にフラッシュバックする、アルベルトの冷たく乾いた泳ぎ。もっと速く、もっと強くならなければ。もう一度、アルベルトと戦わなければ。遙の繰り出すストロークが、重く冷然な水を切り裂いていきます。遙が泳いだ先に見た景色とは――。

シリーズを見届けてきた人ほど響く完結編

『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編は、世界という舞台で、遙たちが積み上げてきた時間の意味を結晶化させていく点が見どころとなっています。トップアスリートが集う大舞台では、勝敗だけでなく「なぜ泳ぐのか」という最初の動機が、それぞれのキャラクターが進む道として浮かび上がります。遙の闘志と、松岡凛(CV:宮野真守)との関係がたどり着くのは、競い合いの先にある理解と関係の変化です。シリーズを見届けてきた人ほど、胸が締めつけられるでしょう。

加えて、“繋ぐ”ドラマが濃密に描かれます。個人の強さだけでは届かないところへと、仲間が背中を押す瞬間が鮮烈。音楽と静寂の使い分けも巧みで、レースの緊張と心の波がシンクロしていく気持ちよさがあるのです。青春のきらめきと痛みを抱えたまま、それでも前へ泳ぎ出す――その到達点を目撃できる完結編になっています。

京都アニメーションが描く感動のラスト

アニメ『Free!』は、2013年7月3日より放送開始されたTVアニメの第1期から、『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編が公開された2022年4月22日まで、約9年かけて完結しました。ついに幕引きを迎えた本作についてSNSでは「まだ心の準備が…」「最後なんて絶対やだ」との声が。

本作の制作を担当したのは、京都アニメーションです。京都アニメーションは他にも『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、『けいおん!』、『氷菓』など、数々のハイクオリティなアニメ作品を手がけています。『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編でも、水の表現と身体の説得力が際立っており、水面の揺らぎ、筋肉の張り、ターンやストロークの一瞬一瞬に目を奪われるのです。

また、映画の公開を記念して実施されたスペシャル舞台挨拶にて、凛役を務めた宮野真守さんは、後編の台本を開けたときの感想を以下のようにコメントしています。

あるシーンで、憑き物がとれたかのように素直に語り合う2人を見て。この10年色んなことがあって、素直になれずに話さなかったからすれ違ったり、ぶつかったりした時間があったからこそ、素直にお互いの想いを吐露する2人を見て感動・感激してしまって。そしてラストのあの展開は…演出・展開がエモすぎて…。
出典:『「劇場版 Free!-the Final Stroke-」後編スペシャル舞台挨拶オフィシャルレポート』『劇場版 Free!-the Final Stroke-』公式サイト 2022年5月1日

遙と凛の関係性も大きな見どころとなっている本作。そんななか、宮野さんは後編の台本に驚き、予想外の展開だと感じたそうです。京都アニメーションによる演出も、心を震わせるラストに繋がっていると言えるでしょう。

キャストの深い愛情が注がれた『Free!』は、完結してもなおファンから愛され続けています。遙たちが泳ぎ続けた時間のすべてが、私たちの胸に静かに満ちていくような作品です。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari