1. トップ
  2. 公開から21年「完璧すぎる」「みんな観て」今なお相次ぐ“称賛の声” 『人気アニメ』の完結作が魅せた“圧巻の完成度”

公開から21年「完璧すぎる」「みんな観て」今なお相次ぐ“称賛の声” 『人気アニメ』の完結作が魅せた“圧巻の完成度”

  • 2026.2.26

「ここまで見届けてよかった」そう思える瞬間のために、物語は続いてきました。登場人物たちが歩んできたすべての時間がラストへと繋がり、私たちの心を大きく震わせるのです。今回は、“心を震わせるアニメ完結編Part2”と題し、5作品をセレクトしました。

本記事ではその第4弾として、『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』(松竹)をご紹介します。完全オリジナルストーリーで描かれ、旧アニメ版『鋼の錬金術師』の放送開始から約2年かけて完結した一作です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

undefined
※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(配給):『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』(松竹)
  • 公開日:2005年7月23日

2つの世界に引き裂かれたエルリック兄弟は、再会を願いそれぞれの道を歩んでいました。兄のエドワード・エルリック(CV:朴璐美)、通称“エド”が飛ばされた先は、西暦1923年のドイツ・ミュンヘン。錬金術を失ったエドは、弟のアルフォンス・エルリック(CV:釘宮理恵)に似た青年のアルフォンス・ハイデリヒ(CV:小栗旬)の協力を得て、ロケット工学の力で元の世界へ戻る方法を探していました。しかし手がかりは少なく、焦りを募らせます。

そんななか、理想郷“シャンバラ”を追い求めるトゥーレ協会が、科学とオカルトを結びつけて“門”を開こうと暗躍。一方アメストリスでは、記憶を失ったアルフォンスがエドを探して旅を続けていました。やがて協会の企みによって2つの世界をつなぐ門が開かれ、軍事兵器が錬金術の世界へ侵攻します。世界を揺るがす危機のなか、エルリック兄弟の願いは再び交差し、新たな真実へと向かっていくのでした。

現実の世界、ドイツ・ミュンヘンが舞台に

『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』は、兄弟の物語を現実の歴史へ繋げて見せる大胆さが見どころとなっています。舞台は西暦1923年、戦後の傷を抱えたドイツ・ミュンヘンです。錬金術を使えないエドが、ロケット工学という別の“理”にすがりながら帰る道を探す姿は、これまでの『鋼の錬金術師』らしさをあえて外し、焦りをより生々しく浮かび上がらせています。また、シャンバラの名のもとによそ者を拒もうとする思想が強まっていく様子は、冒険譚のワクワクと同時に歴史の不穏さを強く示しているのです。

一方で、錬金術の世界であるアメストリスでは、記憶をなくしたアルフォンスがエドを追います。別々の世界で同じ願いを抱え続ける2人の歩みが、門が開いたことによって戦争という最悪のかたちで交じり合う終盤は圧巻です。クライマックスは、TVシリーズの余韻に「別れの痛み」と「前へ進む覚悟」を残し、ひとつの到達点として物語を締めくくっています。

原作とは違う完全オリジナルストーリー

アニメ『鋼の錬金術師』は、2003年10月4日より放送開始した2003年版と、タイトルを『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』に変えて2009年4月5日より放送された2009年版と呼ばれる2種類が存在します。そして、『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』は2003年版の続編であり、完結編となっています。

本作の内容は、荒川弘先生による原作とはまったく関係がなく、完全オリジナルストーリー。前作にあたる2003年版も、当時は原作漫画が連載中だったため、中盤以降はアニメ独自のストーリーが展開されました。等価交換の限界や人間の業といった重いテーマを掘り下げており、ダークファンタジー色が強いのが特徴です。

放送開始から約2年かけて完結した旧アニメ版『鋼の錬金術師』についてSNSでは「完璧すぎる」「幸運すぎ」「みんな観て」との声があがりました。また、2026年4月4日より同じく荒川先生が手がける『黄泉のツガイ』がアニメ化されることもあり、本作にも再び注目が集まっています。

別の作品のように楽しめる2種類の『鋼の錬金術師』。なかでも原作とは異なる結末となった『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』は、ダークな内容によってファンを魅了する、大人向けの作品です。完結から20年以上経った今見返してみると、きっとまた違う味わいがあるのではないでしょうか。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari