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スター建築家が手掛けたホテル・旅館【全国版】

  • 2026.1.29
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建築散歩は楽しいけれど、そこに滞在し、宿泊までできたなら理解はさらに深まるはず。それが、有名建築家によるものなら、なおのこと忘れられない体験になりそうだ。本記事では、そんなホテルや旅館を紹介。日本のモダニズム建築を牽引した巨匠たちによる作品に、数奇屋造りの名棟梁の技が光る宿、世界を舞台に活躍中の建築家が手掛けたホテルまで、個性豊かな名建築を全国各地からピックアップ。次の休暇は、「どこに泊まるか」を起点に旅の計画を立ててみては?

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札幌パークホテル(北海道)/坂倉準三

冬季オリンピック招致に向け、「国際水準のホテル」を目指して計画されたホテル。坂倉準三が設計し、1964年に札幌パークホテルの前身、「札幌ホテル三愛」として開業した。青藍色のタイルを貼りめぐらせたファサードが、中島公園の豊かな自然風景から顔を出す。館内では、大理石の筋を水平方向に眺めるエレベーターホールの壁面などに竣工当初の面影が残る。

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札幌パークホテル
住所/北海道札幌市中央区南10条西3-1-1

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八甲田ホテル(青森)/早川正夫

青森・岩手・秋田にまたがる広大な十和田八幡平国立公園の中に佇む「八甲田ホテル」は、建物の基礎部分以外のすべてが木造。数寄屋建築の第一人者であった早川正夫が「力強い自然に美しく溶け込んで、風景の一部となるような建築」を追求し、1991年に完成した。大きな柱はアメリカから取り寄せたムク材、床はスペイン産のテラコッタを使用。メインダイニングをきらびやかに彩るシャンデリアは、このホテルのためにデザインされた。

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八甲田ホテル
住所/青森県青森市大字荒川字南荒川山1-1

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十和田ホテル(秋田)/長倉謙介

十和田湖畔に佇む、天然秋田杉で建てられた木造3階建てのホテル。設計を担当した長倉謙介は、外壁を杉の半丸太で覆った。各部屋の床の間、天井、格子戸などには、それぞれ異なる意匠を採用。内部空間ではまた、吹き抜けの玄関ホールにも注目したい。竿縁天井に2重に使われた同じ直径の杉丸太や、樹齢65年~85年の柱は圧巻。「十和田ホテル」本館は、昭和前期の大規模木造建築の好例として登録有形文化財に指定されている。

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十和田ホテル
住所/秋田県鹿角郡小坂町十和田湖西湖畔

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界 秋保(宮城)/小嶋伸也、小嶋綾香

2024年4月、秋保(あきう)温泉に開業した星野リゾートの温泉旅館「界」。奥羽山脈から流れる名取川を見下ろす場所に位置する。渓流ビューを誇る全客室の中でも必見は、「紺碧(こんぺき)の間」。小嶋伸也と小嶋綾香が率いる小大建築設計事務所は、景勝地である名取川の峡谷「磊々峡(らいらいきょう)」が、かつて「紺碧の深淵」と表現されたことから、デザインの着想を得た。館内随所に仙台ガラスなど地元の名品もディスプレイされているので、こちらにも目を向けたい。

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界 秋保
住所/宮城県仙台市太白区秋保町湯元平倉1

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スイデンテラス(山形)/坂 茂

庄内の“田んぼに浮かぶホテル”。建築家の坂 茂が何より大切にしたのは、「美しい水田の風景をいかに保ちながら、そこに建築を優しく挿入するか」ということ。基礎部やコア部分以外は木造構造とし、田園風景に馴染むよう考えられている。坂建築を象徴する意匠である紙管も、公共空間や客室に登場。椅子や、テーブルの脚、ベッドボードなどに使われているので見つけてみよう。

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スイデンテラス
住所/山形県鶴岡市北京田字下鳥ノ巣23-1

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ホテリ・アアルト(福島)/益子義弘

フィンランド語で、それぞれ“ホテル”と“波”を意味する言葉「ホテリ(hotelli)」と「アアルト(aalto)」を掛け合わせた名前を持つホテル。「自然と共に生きる」という点で共通する裏磐梯と北欧の心をつなげたい、という思いを込めた。建物は、かつて企業の保養所として使われていたものを、建築家の益子義弘がリノベーション。地元の自然木を多用し、ハンス J. ウェグナーのチェア、フィンランド人作家のオブジェなど、北欧の名作家具をセレクトした。

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ホテリ・アアルト
住所/福島県耶麻郡北塩原村大字檜原字大府平1073-153

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浮遊のいえ(新潟)/原広司

建築家の原広司が、義父母のために設計し、1986年に竣工した住宅である「北川邸」を、一棟貸しの宿泊施設として再生。原は、伝統的な町家のバリエーションとしてこの家をつくり上げながらも、豪雪地帯であるこの地域の長い冬に合わせて細部を調整。窓のサイズや配置、空間構成に工夫をこらすことで、親密ながら明るい空間をつくり上げた。また、雪の光を意識して壁面、天井、開口部などに装飾を加えており、1日を通して光と影のうつろいを楽しむことができる。

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浮遊のいえ
住所/新潟県上越市大手町6-11

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リバーリトリート雅樂倶(富山)/内藤廣

内藤廣が「数奇屋の繊細さとアジアの土臭さ」をコンセプトとして設計。単なるホテルではなく、「リトリート」であることにこだわった。プレキャストコンクリートを校倉(あぜくら)に組んだ壁をめぐらせたり、客室へ向かう宿泊客専用の歩廊を設けたりと、これまでにない工法や発想を取り入れて、神通峡の豊かな自然と溶け合う上質な空間をつくり出している。館内や屋外の随所に、現代アーティストたちによる作品が展示されているのも楽しい。

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リバーリトリート雅樂倶
住所/富山県富山市春日56-2

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軽井沢プリンスホテル イースト(長野)/黒川紀章

黒川紀章氏の設計により建てられ、1973年に開業したホテル。軽井沢駅から徒歩10分程度の場所にありながら全客室から森を望めるという、自然風景と一体化した設計を実現。ベッドに身を横たえた時の目線に合わせて設えられた横長の窓から、軽井沢のみずみずしい緑が目に飛び込んでくる。2017年、黒川の建築はそのままに、デザイナー、橋本夕紀夫の手により「ネオ・フォレスト」をコンセプトにした空間へと生まれ変わった。

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軽井沢プリンスホテル イースト
住所/長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢1016-75

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べにや 無何有(石川)/竹山聖

山代温泉の高台に立つ「べにや 無何有(むかゆう)」は、1928年に創業。その名前の由来は荘子が好んだ言葉で、「何もないこと、無為であること」を意味する。現在の宿の設計を手掛けたのは、建築家の竹山聖。2022年から大掛かりなリノベーションが行われ、温泉大浴場と新客室ジュニアスイートがリニューアル。新たに加わったライブラリーには、竹山が宮島達夫とコラボレーションして制作した作品が設置された。

<写真>客室数は16。そのすべてに山庭を望む露天風呂が備えられている。

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<写真>3つあるライブラリーの1つ、「ライブラリーゼロ」には、宮島達夫と竹山聖による作品《ゼロの転位 Replacement of Zero》が。

べにや 無何有
住所/石川県加賀市山代温泉55-1-3

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蒲郡クラシックホテル(愛知)/久野節

元鉄道省の建築家、久野節(くの みさお)と技師の村瀬国之助が設計を担当したホテルは、1934年に「蒲郡ホテル」として開業した。華麗な城郭風建築の内部を彩るのは、アール・デコ様式のインテリア。オリジナルの内装や調度品を今に受け継いでいる。特に、ロビーや宴会場の上質な雰囲気を際立たせる照明は、シャンデリアや幾何学的なフォルムをまとうペンダントランプなど個性豊か。それぞれの空間とのコンビネーションと共に注目してほしい。

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蒲郡クラシックホテル
住所/愛知県蒲郡市竹島町15-1

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リゾナーレ八ヶ岳(山梨)/マリオ・ベリーニ

イタリア人建築家、マリオ・ベリーニがイタリアの山岳都市をイメージしてデザインしたリゾート。ボルドーカラーを基調とした客室は、2名で泊まれる「スーペリアルーム」など多彩にラインナップ。館内には、BOOKS&CAFEや波の出るプールも。敷地内を通る全長160mのメインストリート「ピーマン通り」(写真)には、さまざまなレストランやカフェ、ショップが並び、季節ごとにイベントが開催される。

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<写真>5名まで宿泊可能な「ワインスイートメゾネット」。

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<写真>ホテル棟1階のBOOKS&CAFE。

リゾナーレ八ヶ岳
住所/山梨県北杜市小淵沢町129-1


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あわら温泉 つるや(福井)/平田雅哉

1884年創業の温泉宿。現在の本館を設計・施工したのは、大阪を拠点に活躍した数奇屋造りの名棟梁、平田雅哉。源泉かけ流しの内湯と露天風呂、6畳の茶室、15畳の本間があるスイート「大観」や、日本庭園を眺める「観月」に代表される客室は造りが一室ずつ異なる。滞在時には、館内の随所に取り入れられた銘木や、仕事の合間に平田が自ら彫り上げたという置物や見事な欄間など、名工の卓越した手技にも、目を向けたい。

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あわら温泉 つるや
住所/福井県あわら市温泉4-601

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伊豆長岡温泉 三養荘(静岡)/村野藤吾

旧三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎氏の長男、久彌氏の別邸として、広大な日本庭園の中に建てられた数寄屋建築が、温泉宿に。1988年には村野藤吾が設計した新館がオープンした。全室かけ流し温泉を備え、静かな滞在を叶える建物は、村野が90歳を超えての作品。自然の地形を生かした設計が特徴的で、平屋であるにもかかわらず階段があり、離れ形式を基本に、廊下でつなぐなどの趣のある意匠を備えている。

<写真>村野藤吾が手掛けた新館の玄関。

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<写真>窓の設えなどに村野による繊細なデザインが見える、玄関の内部。

伊豆長岡温泉 三養荘
住所/静岡県伊豆の国市ままの上270

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大垣フォーラムホテル(岐阜)/黒川紀章

1987年の竣工当初は客室とレストランを併設していた宿泊施設。ファサードにほどこされた幾何学的なデザインなどに黒川紀章らしさを確認することができる。黒川はまた「水の都」である大垣の街をイメージし、エントランス前には小渓流を設けるなどした。素材には、大垣の特産である天然石を多用。自身が唱えた「共生」の思想を形にした。ロビーにはイタリアやスペイン、南アフリカ、ブラジル産の大理石が所々に使用され、ゆったりとした空間が広がる。

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大垣フォーラムホテル
住所/岐阜県大垣市万石2-31

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白井屋ホテル(群馬)/藤本壮介

創業300年の歴史を誇る老舗旅館を、藤本壮介がリノベーション。オリジナルの建物の歴史を引き継ぐ、コンクリート剥き出しの吹き抜けが印象的な「ヘリテージタワー」と、旧利根川の土手をイメージして新築した「グリーンタワー」で構成される。それぞれの館内では、新素材研究所がデザインを手掛けた「the BAR 真茶亭」や、レアンドロ・エルリッヒ、宮島達男、五木田智央らによるアートワークも見どころ。

©Shinya Kigure

<写真>「ヘリテージタワー」の吹き抜け空間レアンドロ・エルリッヒの作品《Lighting Pipes》(2020)が。

白井屋ホテル
住所/群馬県前橋市本町2-2-15

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中国割烹旅館 掬水亭(埼玉)/池原義郎

三角屋根の下に、大きなガラス窓と鉄骨を組み合わせた外観は、軽やかさと品格をあわせ持つ。「中国割烹旅館 掬水亭」というホテル名の由来は、水を掬った手の中に浮かぶ月を意味する漢詩「掬水月在手」。これを体現するように、すべての客室からは多摩湖の美しい眺めを見ることができる。最上階に位置し、中国料理を味わえるレストラン「天外天」からの水の景色も美しく、晴れた日には遠く富士山を望む。

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中国割烹旅館 掬水亭
住所/埼玉県所沢市山口2942

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まるがやつ 蔵(千葉)/中村好文

2万㎡という広大な敷地の中に佇む築200年の古民家。それが、スタイルの異なる一棟貸しの宿「萱」「蔵」「宙」として再生。その中で、中村好文が蔵を改修設計したのが、文字通り「蔵」(写真)。厚い土壁の中に広がる空間は、木の温もりを感じるデザインとなっており、木製のキッチンも中村自身が設計。デッキは周囲の自然を眺めながら楽しめるアウトドアリビングとして機能する。

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まるがやつ 蔵
住所/千葉県夷隅郡大多喜町下大多喜1530

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オークラ東京(東京)/谷口吉郎・谷口吉生

大倉喜七郎男爵の「日本らしい風格を備えた迎賓ホテルをつくりたい」という構想から誕生し、1962年に創業した「ホテルオークラ」。本館ロビーを設計した谷口吉郎はモダニズムの様式に則りつつも、和の感覚を生かした空間をつくり上げた。2019年には、息子の谷口吉生がその美学を継承しながらも最新の設備を取り入れ、プレステージタワーのメインロビーをデザイン。梅の花をイメージして配置されたテーブルと椅子は、熟練した日本の漆工芸によるもの。

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<写真>プレステージタワー5階のメインロビー。

オークラ東京
住所/東京都港区虎ノ門2-10-4

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ザ・プリンス 箱根芦ノ湖(神奈川)/村野藤吾

村野藤吾、晩年の傑作として知られる「ザ・プリンス 箱根芦ノ湖」。ホテルを構成するのは、エントランス、ロビーなどを含む矩形の主棟と円形の客室棟2棟。富士山を望み、目の前には芦ノ湖が広がる立地を生かすべく、主棟の高さは低く抑え、客室棟(写真)の外観は樹々に馴染むように有機的な装飾をほどこすなど、周囲の環境との調和を何より大切に設計した。バルコニーの曲線や雨どいのフォルム、ロビーの螺旋階段、そこに置かれた“スワンチェア”など細部にまで心を配ったデザインをすみずみまで堪能したい。

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<写真>主棟のロビーには、村野デザインの“スワンチェア"が佇む。

ザ・プリンス 箱根芦ノ湖
住所/神奈川県足柄下郡箱根町元箱根144

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びわ湖大津プリンスホテル(滋賀)/丹下健三

琵琶湖の湖畔に建つ、地上37階地下2階の高層ホテルで、滋賀県一の高さを誇るランドマーク。竣工は、1989年。上から見ると半円形で、円弧部分が琵琶湖を向いており、こちら側に客室が配置されており、全529室から琵琶湖を眺めることができる。全面がガラスに覆われているため、空や周囲の景色が映り込み、また、見る角度によって建物自体が異なる表情を見せるのも興味深い。

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びわ湖大津プリンスホテル
住所/滋賀県大津市におの浜4-7-7

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志摩観光ホテル(三重)/村野藤吾

1951年の開業以来、多くの著名人を迎え入れ、G7伊勢志摩サミット2016が開催されたことでも知られるホテル。現在「ザ クラブ」と呼ばれ、レストランやギャラリーなどが入る建物は、村野藤吾が手掛けた三重・鈴鹿の海軍工廠高等官集会所の柱や梁を移築して建設されたもの。1969年には、同じく村野が設計した宿泊棟「ザ クラシック」が完成。鉄筋コンクリートを素材として使いながら、和風の外観を備え、日本と西洋の伝統建築とモダニズムを巧みに融合させる村野の手腕が、ここにも見える。

<写真>「ザ クラシック」(左)「ザ クラブ」(右)の外観。

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<写真>「ザ クラブ」の吹き抜け。梁を見せる日本伝統の建築とペンダントランプをはじめとする西洋のインテリアを組み合わせている。

志摩観光ホテル
住所/三重県志摩市阿児町神明731

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ウェスティン都ホテル京都(京都)/村野藤吾

1890年の創業から130年以上にわたり、各国皇室や大統領をはじめとする国賓、VIPが滞在してきたホテル。1959年には村野藤吾の数寄屋建築「佳水園」(2020年に中村拓志がリニューアル)が完成。醍醐寺三宝院の庭を模した白砂敷きの中庭も、村野自身によるデザイン。その後、増改築が繰り返され、その名残りが、幾何学的な窓の配置やガラス張りの壁面、装飾的なバルコニーなど多様な要素が織り込まれた外観からも見て取れる。村野の意匠が多く残る「村野スイート」も必見。

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<写真>華頂山へと続く高低差のある地形を生かして設計された数寄屋風別館「佳水園」。

ウェスティン都ホテル京都
住所/京都市東山区粟田口華頂町1

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紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良(奈良)/隈研吾

奈良公園に立つラグジュアリーホテル。メイン棟は、1922年に奈良県知事公舎として建てられた歴史的建造物を活用した。全体のデザインとインテリアを担当した隈研吾は「奈良公園の大らかな緑、きめ細かく計画、維持され続けた日本庭園に静かに融けこんでいく控え目な佇まいの、新しいタイプのラグジュアリーホテル」を目指した。全43の客室は奈良の伝統工芸の技術を生かし、レストラン「紫翠」は、旧公舎の客間を修復・再生。ホテルに隣接する吉城園は、興福寺塔頭・摩尼珠院の跡につくられた庭園で、園内に建つ3棟の建造物が「旧正法院家住宅」として奈良県指定有形文化財に指定されている。

<写真>メイン棟の外観。

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<写真>客室「ジュニアスイート」のリビングエリア。

紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良
住所/奈良県奈良市登大路町62

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W大阪(大阪)/設計:日建設計、デザイン監修(外観):安藤忠雄

大阪のメインストリートである御堂筋に面し、賑やかな街並みを見下ろす漆黒の高層建築の設計は日建設計。外観デザインの監修は安藤忠雄が担当した。その内部を彩るカラフルなインテリアのデザイン監修はアムステルダムの「Concrete」が担当。デザインのテーマは、「大阪商人の遊び心」。贅沢を禁じられた江戸時代、大阪商人たちは表向きには黒い羽織で控えめを装いつつも、内側には派手な裏地を使用して粋な遊びを楽しんだと言われている。「W大阪」ではその遊び心を、シンプルでスタイリッシュな外観と大胆なインテリアのコントラストで表現した。

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<写真>鮮やかなネオンがきらめく大阪の街をイメージしたラウンジ。

W大阪
住所/大阪府大阪市中央区南船場4-1-3

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海椿葉山(和歌山)/竹原義二

南紀州、白浜の海を望む断崖絶壁に立つ、6室のみの宿。名湯として知られる椿温泉に入り、地元の食材を味わい、海を眺めるために建てられた。太平洋を一望できる敷地に立ちながら、道路から敷地内に入る際、あえて直接海が見えないように建物を配置し、客室や温泉に入った際に目に飛び込む光景に対する感動が高まるよう演出。楕円形のサロン棟から内部に向かう際に通る回廊に使われているのは、熊野の山中で育ったスギやヒノキ。窓から差し込む陽光を感じながら、宮大工が伝統技術を駆使して完成させた空間を堪能したい。

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<写真>サロン棟内部の様子。奥には回廊も見える。

海椿葉山
住所/和歌山県西牟婁郡白浜町椿1063-20

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禅坊 靖寧(兵庫)/坂 茂

淡路島に広がる大自然を見渡しながら、日本標準時子午線である東経135度の地で禅体験ができる宿泊施設。周囲の風景と馴染むよう、山の稜線を越えない高さに設計された。日本杉を組み合わせて作られた全長100mのウッドデッキを裸足で歩くことで、木の温もりと香りが身体に染み込んでいく。施設内の設えにもこだわり、客室やウッドデッキ、サロンには国産木を用いた「HIDA」の家具をレイアウトした。

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<写真>建物2階を通る、100メートルのウッドデッキ。

禅坊 靖寧
住所/兵庫県淡路市楠本字場中2594-5

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ホテルニューオータニ鳥取(鳥取)/黒川紀章

JR鳥取駅から徒歩3分の位置に立つ、地上13階、地下1階建てのシティホテル。隣には同じく黒川紀章が設計した百貨店、「鳥取大丸(現在は丸由百貨店)」が立ち、外壁を同じレンガで統一することで、ホテルとの一体感を持たせた。規則正しく配置された正方形の窓が目を引く重厚感のある外観から、1975年の竣工以来、開業50周年を迎えた鳥取のランドマークとして長く親しまれている。

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ホテルニューオータニ鳥取
住所/鳥取県鳥取市今町2-153

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撚る屋(岡山)/シンプリティ

倉敷美観地区に約110年前、呉服屋の別邸として建てられた伝統的建造物を受け継ぐ13部屋の料理宿。空間デザインディレクションおよび内装設計を担当した緒方慎一郎率いるシンプリシティは、コンセプトに、暖や⾷をもたらす囲炉裏を意味する「⽕の座(かのざ)」を掲げ、土地や人々との繋がりを深める空間をつくり上げた。また、既存建物の柱や梁を可能な限り生かしつつ、新築棟との調和を図り、美観地区特有の路地「ひやさい」を再現するなど、伝統と現代の融合を感じさせる要素をちりばめた。

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<写真>伝統的建造物に指定されたオリジナルの建物と増築部分が折衷したジュニアスイート。

撚る屋
住所/岡山県倉敷市東町2-7

Photo by Kentauros Yasunaga

Entô(島根)/原田真宏、原田麻魚

2021年、隠岐ユネスコ世界ジオパーク指定の地に開業した拠点施設。宿泊機能とジオパークの魅力を発信するミュージアム機能が融合した、日本初の本格的なジオ・ホテルだ。本館「BASE」と別館「NEST」で構成され、「NEST」の設計を、原田真宏と原田麻魚によるマウントフジアーキテクツスタジオが担当した。通常のホテルの設計とは異なる、「間口が広く、そして奥行きが浅く、横に広い」客室空間に注目したい。ロゴやサイネージなどのデザインを含むアートディレクションは、三澤遥が担当した。

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<写真>「NEST」の客室「ネスト スイート」。

Entô
住所/島根県隠岐郡海士町福井1375−1

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Simose Art Garden Villa(広島)/坂 茂

瀬戸内海に面した4.6haの敷地を有する「SIMOSE」。下瀬美術館を中心に、ヴィラとレストランからなる「Simose Art Garden Villa」が広がる。敷地北側の木立に囲まれた「森のヴィラ」と水盤に面した「水辺のヴィラ」という2つのエリアに、坂 茂が手がけた10棟が点在。それぞれが特徴的で、すべての壁をなくしてガラスの引き戸で仕切った「壁のない家」や、坂建築を象徴する再生紙の「紙管」を主構造に用いた「紙の家」、特徴的な断面を持つオーストリアの木造素材「キールステック」を全体に採用した「キールステックの家」などから宿泊先を選ぶことができる。

<写真>「森のヴィラ」のひとつ、「壁のない家」。

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<写真> 「紙の家」は、1995年、山中湖に建てられた別荘をヴィラとして設計しなおした一棟。

Simose Art Garden Villa
住所/広島県大竹市晴海2-10-50

LAURIANGHINITOIU

house & restaurant maison owl(山口)/石上純也

オーナーシェフ、平田基憲の「時間と共に重みを増していくような建物がほしい。ツルツルのものではなく、自然の粗々しさを含むような建物」という思いを、石上純也が具現化。9年をかけて、洞窟のような構造と造形を備えるレストランとホテルを完成させた。ディナーを堪能した後は、1日1組限定で宿泊も可能。実際に地面を掘ってつくられた空間で、太陽が沈み、日が昇るまで刻々と表情を変える「洞窟」の姿を楽しみたい。

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house & restaurant maison owl
住所/山口県宇部市大字中宇部字西山1677-1

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ベネッセハウス/安藤忠雄(香川)

「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに、美術館とホテルが一体となった施設として1992年に開館。宿泊棟は、4棟。美術館の中に設けられた、作品に一番近い「ミュージアム」、瀬戸内の絶景が目に飛び込む「オーバル」、全室が瀬戸内海に面した「パーク」、海の間近に立ち、ゆったりとした客室を備える「ビーチ」をそろえる。建築はすべて安藤忠雄による設計。施設内外にディスプレイされた現代アートとの調和、そして経年と共に瀬戸内海国立公園の環境と溶け込むような構成にも視線を向けてみてほしい。

<写真>ベネッセハウス ミュージアム

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<写真>ベネッセハウス ミュージアム 客室

ベネッセハウス
住所/香川県香川郡直島町琴弾地

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HOTEL WHY(徳島)/中村拓志

2020年に環境配慮型複合施設、「上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY」と共に開業したゼロ・ウェイストアクションホテル。中村拓志が主宰するNAP建築設計事務所は、馬蹄形の平面をしたゼロ・ウェイストセンターの南側に、円形プランのホテルを配置することで、全体が「?」マークの建物配置となるよう意図。ここを訪れた人々に、自分の家に帰ってもなお、自らの暮らしに疑問符を持ってもらえるようにとの願いを込めた。ホテルの部屋は、全室木造2階建てのメゾネットタイプ。上勝町産のスギを活用したツリーハウスのような内装で、吹き抜けのリビングは開放感抜群だ。

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HOTEL WHY
住所/徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下日浦7-2

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瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新(愛媛)/安藤忠雄

美術館としてその一部だけが公開されていた建物がリノベーションを経て、2015年に瀬戸内の海を望むスモールラグジュアリーホテルとして生まれ変わった。客室はオールスイートの全7室。安藤は、海に向かって突き出すプールに中庭、瀬戸内海の景色を堪能できる客室を備えた本施設について、それぞれの空間が互いに分断されることなく「視線、空間自体が交錯し、重なり合う場所−ここでしか得られない時を人々に与える場所ができたように思う」と語る。

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瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新
住所/愛媛県松山市柳谷町794-1

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Snow Peak YAKEI SUITE ABURAYAMA FUKUOKA(福岡)/谷尻誠

「スノーピーク」が福岡・油山で運営する複合体験型アウトドア施設「ABURAYAMA FUKUOKA」の中にある本施設は、谷尻誠がデザインした「ヴィラ」1棟、「コテージ」3棟に加え、「スノーピーク」がこのために開発したと別仕様のテントを使用する「ランドケイヴ」を用意。うち最大4名の宿泊が可能な「ヴィラ」と定員数2名の「コテージ」の設計をサポーズデザインオフィスの谷尻誠が手掛けた。共に眼前に広がる福岡の景色を堪能できるアウトドアリビングが魅力。プライベートサウナも備える。

<写真>自然風景との一体感を楽しめる「ヴィラ」のアウトドアリビング。

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<写真>3棟並ぶ「コテージ」は、森の中のリビングをイメージした、木漏れ日が差し込む空間。寝室の大きな窓ガラスから望む景色が魅力だ。

Snow Peak YAKEI SUITE ABURAYAMA FUKUOKA
住所/岡市南区柏原710-2

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COMICO ART HOUSE YUFUIN(大分)/隈研吾

建築と現代アート、由布院の自然に身を委ねる温泉別邸。全2棟の客室は、それぞれ「土」と「竹」をテーマに掲げた、自然素材の持つ可能性を感じる空間だ。滞在中には、隣接する現代美術館で日本を代表する現代アーティストたちの作品を鑑賞することができる。客室について隈研吾は、こうした現代アートと共鳴するような「ミニマルな空間としながら、来訪者の意識が自然に素材の本質へと向かうように設計した」とコメント。

<写真>宿泊棟の外観。

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<写真>宿泊棟のひとつ「竹」。薄い板を互い違いにくぐらせた編み天井は、職人が現地で編み込んだもの。

COMICO ART HOUSE YUFUIN
住所/大分県由布市湯布院町川上2995-1

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ガーデンテラス長崎 ホテル&リゾート(長崎)/隈研吾

稲佐山の中腹に広がる「ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート」が、2023年、ラグジュアリーリゾートホテルとしてリニューアル。敷地内には、客室やレストランが入る「グランドテラス」と「ロイヤルテラス」、プール、クラブラウンジ等を備える「ビューテラス」、客室棟の「オーシャンスイート」と「タワースイート」が点在する。隈研吾は、それぞれの建物に「箱であり、屋根でもある」構造と、「杉の木という自然素材で作られていること」というアイデンティティを与え、施設としての一体感を生み出した。

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ガーデンテラス長崎 ホテル&リゾート
住所/長崎県長崎市秋月町2-3

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ホテル京セラ(鹿児島)/黒川紀章

北に霧島連山、南に噴煙たなびく桜島を望む絶好のロケーションに立つ、地下2階、地上13階建てのホテル。特徴的な楕円形の建築の中央部に設らえられているのは、エントランスロビーから最上階まで60mに及ぶ吹き抜けのアトリウム。東側から自然光がさんさんと入るこの空間の中心には、ガラス張りのチャペルが。客室は、アトリウムを囲むように配置された。各部屋からは霧島の風景をパノラマのように眺められる。

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ホテル京セラ
住所/ 鹿児島県霧島市隼人町見次1409-1

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青と碧と白と沖縄(沖縄)/中村拓志

沖縄本島・恩納村(おんなそん)の海が見える丘に広がる土地に立つ、全3室の宿泊施設。「ここを、全ての人の『ふるさと』にしたい」という願いを込め、訪れる人が本来の自分に「還(かえ)りたい」と思えるような場所を目指した。沖縄赤土色を用いた建物の内部に入ると、隠れ家のような空間が広がる。天井を低く抑えた客室中央には、風の煙突(風突)と高窓があり、島の風が吹き抜けていく。煙突下には水盤が設けられ、一日のうち、わずかな時間だけ太陽光が入り込み、その水面に反射した水紋が天井に揺らめく光景を見ることができる。

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青と碧と白と沖縄
住所/沖縄県国頭郡恩納村眞栄田3537-2

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