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「ネトフリだから許される」「過激発言が再現されるのか」Netflixの“危険すぎる”挑戦、配信前からあつまる注目

  • 2026.2.10

2026年4月、Netflixが新たな挑戦に乗り出す。独自に編み出した占星術と、過激な発言の連続で時代を牽引してきた細木数子の半生を描く『地獄に堕ちるわよ』。主演を務めるのは戸田恵梨香で、17歳から66歳までを一人で生き切る。SNS上でも「あの過激発言が再現されるのか」「ネトフリだから許されるんだろう」と配信前から話題の本作。多くの人物を信じさせてきた彼女が、欲望と孤独を膨らませていく過程が期待できる。

なぜ今、細木数子なのか

近年のNetflixドラマは、配信前から話題になることが多いようだ。『全裸監督』や『サンクチュアリ -聖域-』『極悪女王』など、実在モデルを起点に、欲望と社会構造をむき出しにする作品が多く打ち出されてきた。その系譜に、堂々たる勢いで名を連ねるのが『地獄に堕ちるわよ』だ。

本作が描くのは、占い師・細木数子の60年に及ぶ人生。戦後の焼け野原で生き延び、夜の街でのし上がり、“銀座の女王”と呼ばれ、やがて独自の占星術と強烈な言葉でテレビと出版界隈を席巻した。

その成功は、カリスマとしての輝かしい存在感と同時に、霊感商法や裏社会との噂を孕む危うさと紙一重でもあった。救世主か、悪魔か。白黒で裁けない存在だからこそ、今あらためて“物語化”される必然があるのかもしれない。

昭和から平成へと移り変わる60年の日本社会……経済復興や高度成長、バブル、そしてメディアの肥大化などの渦中で、なぜ人は彼女を信じ、熱狂し、恐れたのか。題材そのものが、現代にも突き刺さる。

17歳から66歳までを生き切る覚悟

本作の最大の賭けは、主演に戸田恵梨香を据えたことだろう。10代から晩年までを一人で演じ切るという選択は、演技力や表現力とはまた別の、言葉にできない“場を支配する空気”を有した女優でないと成り立たない。欲望に忠実であることと、孤独を引き受けること。その両極を同時に成立させる佇まいが、すでに見えている。

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『地獄に堕ちるわよ』Netflixにて4月27日(月)独占配信スタート

監督を務める瀧本智行は、戸田の芝居を通して「稀代のトリックスターがどう生まれたのかを発見できた」と語る。これは評価であると同時に、作品の姿勢表明だ。彼女を断罪するのではなく、理解しようとする。その距離感が、物語を一段深い場所へ導く。

瀧本智行 監督
役者にとって、人の半生を説得力を持って演じ切ることは容易ではない。ましてや細木数子の17歳から66歳までである。戸田さんなら……と思ってスタートし、結果、期待以上の凄みを見せつけてくれた。あの稀代のトリックスターがどうして生まれたのか、彼女の芝居を通して発見することができた。
出典:キャスト・スタッフコメントNetflix公式

さらに、企画初期から関わる大庭功睦による徹底したリサーチが、キャラクターの輪郭を太くする。演技、演出、調査……三位一体の準備が、戸田恵梨香の代表作更新を現実味のあるものにしている。

“真実と嘘”の境界線……語り部とアンチヒロインが交差する場所

本作が単なる伝記にとどまらない理由は、語り部の存在にある。細木の自伝小説執筆を依頼される作家・魚澄美乃里を演じるのは伊藤沙莉。魅了され、疑い、やがて対峙する。そのプロセスは、視聴者の視線と重なる。信じたい気持ちと、疑う理性。その揺れが物語を前へ進める。

昭和をのし上がった女帝と、現代を生きるシングルマザー。ふたりの対峙は、世代や価値観の違いを浮かび上がらせるだけでなく、信仰が生まれる瞬間と、その裏側を照らす。真実と嘘の境界は、いつだって曖昧だ。だからこそ、彼女の言葉は力を持った。

「地獄に堕ちるわよ」というフレーズは、占いの決め台詞にとどまらない。欲望に身を委ね、誰かを信じ、時代に乗ったすべての人への警句として響くはずだ。ティーザーで示された音楽と映像の一体感は、その不穏な予感を増幅させる。

Netflixが描くのは、欲と恐れを抱えたアンチヒロイン。配信前から注目されるのは当然だろう。もう私たちは、知ってしまった。この物語が、簡単には終わらないことを。


『地獄に堕ちるわよ』Netflixにて4月27日(月)独占配信スタート

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_