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NHK夜ドラ“何を見させられているのだろう”「もう終わりなの」斜め上の“結末とタイトル回収”に相次ぐロスの声

  • 2026.2.9

ゆるくて、シュールで、奇想天外すぎる展開。時々置いていかれながらも、なぜか離れることのできなかったNHK夜ドラ『替え玉ブラヴォー!』。2月5日(木)に放送された最終週は、斜め上でありながらも納得のタイトル回収で終わった。

すでにSNS上では「毎晩の楽しみだったのに」「もう終わりなの」とロスの声も多い。人間は不完全で、人生は思うようにいかない。でも、時にはラーメンの替え玉をするように、大胆なリスタートを切ろうとしたっていいのだ。根底には、そんな力強いメッセージが隠されていた。

※以下本文には放送内容が含まれます。

これ、終われる?不安から始まった最終回

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夜ドラ『替え玉ブラヴォー!』第4週(C)NHK

珍奇なピーナッツ型マスコット“つらっぴー”と“おこっぴー”の正体が明かされる展開には、私たちは何を見させられているのだろう、と不安にさせられてもおかしくない。佳里奈(北香那)たちの通うラーメン店・ため口は休業し、佳里奈の絶交中の親友・優美(天野はな)はバレエを辞め、全力でソーラン節を踊り狂う主人公……。

物語の核である“女同士の友情”のゆくえもハッキリとは定まらないまま、時間だけが過ぎていく。「これで本当に終わるの?」「あと15分で着地できる?」という戸惑いの声が多かったのも納得。しかし、その不安こそが、このドラマの本質を映していたようにも思う。

本作は最初から、視聴者を安心させることを目的としていなかった。ラーメンとバレエ、友情と絶交、ブラックユーモアと生々しい感情。それらを無秩序に見せながら、どう転ぶかわからない不安定さを抱えたまま走り続けてきた。その緊張感を、最終回直前まで手放さなかった点に、このドラマの誠実さが見える。

ラーメンを介した無言の和解

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夜ドラ『替え玉ブラヴォー!』第4週(C)NHK

話し合おう、とお互いの了解をとったわけでもないふたりが、無言で扉を開けたため口。まだ彼女たちは絶交したままで、この先も関係は修復しないままかもしれない。それでも、言葉が交換される。

店主・マチルダ(野添義弘)が差し出したのは、試作品の味噌豚骨ラーメン。豚骨の匂いを嫌い、それゆえに目標である“替え玉注文”を逃してきたマチルダ自身の、変化を象徴する一杯。ラードで蓋がされている、札幌風の味噌ラーメンが食欲を刺激する。

バレエのために、プリンシパルになるまでラーメンは食べない、と宣言していたはずの優美が、そのルールを自ら解く。バレエを辞め、夢を諦めた彼女の決意を表明するのに、これほどシンプルかつ強いシーンはない。

並んでラーメンを啜るふたりの姿に、ドラマは多くを語らせない。友情は、必ずしも“わかり合う”ことで修復されるわけではないはずだ。相手の隣に、もう一度座ってみる。ふと思いついたことを、投げかけてみる。そんな距離の縮め方が、佳里奈と優美の新しい関係性を示唆していた。

“替え玉”の意味とは

その後、佳里奈は異動先の総務部に順応していき、かつて諦めたバレエも再開する。本作において、思い描いた夢や理想を、完璧に実現させた人物は少ない。それでこそ、かつてのように自分を追い詰め、周囲を傷つけるような生き方からは降りられている、とも言える。

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夜ドラ『替え玉ブラヴォー!』第4週(C)NHK

タイトルの“替え玉”が意味するのは、簡単に人生をやり直すことではないし、ましてや別人に変身することでもない。いまの自分のまま、土台は変えずに、もう一杯いく。そういう生き方の選択肢もアリなのだと、このドラマは教えてくれる。

『替え玉ブラヴォー!』は、完璧な大団円ではなかった。だからこそ、ラストにはこの先も“続いていく人生”が残った。シュールで、ちょっとブラックで、ときに不親切。それでも最後に残ったのは、“人生、替え玉したっていいんだ”という確かな肯定だったのかもしれない。

話題を呼んだ“全力ソーラン節”を始め、北香那の振り切った演技と、驚くほどの静かな着地。その両方があってこそ成立した、忘れがたい最終週だった。


NHK 夜ドラ『替え玉ブラヴォー!』毎週月~木 よる10時45分~11時00分
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_