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【高杉真宙さん】「求めていただいたら、求められるだけのことはやりたい」~映画『架空の犬と嘘をつく猫』インタビュー

  • 2026.1.7

「川のほとりに立つ者は」で本屋大賞にノミネートされた、寺地はるなさんの小説を、映画『浅田家!』の菅野友恵さんが脚色、『愛に乱暴』の森ガキ侑大監督により映画化した『架空の犬と嘘をつく猫』。不完全な家族の30年を描くこの映画で、高杉真宙さんが心優しい主人公を演じています。映画のこと、家族について、演じることへの思い。高杉さんに聞きました。
 

彼が選びとった道は理解できる、愛せるキャラクターです

1988年、佐賀。羽猫山吹(高杉真宙)の家族にはちょっと問題が。山吹の弟を事故で亡くした現実から逃避を続ける母(安藤裕子)、そんな母を受け入れられずに不倫に走る父(安田顕)、「裏山に遊園地をつくる!」と大ボラのような夢を語る祖父(柄本明)、母に代わって家事を担いながら苛立ちを募らせる姉の紅、そして彼らをゆる~く見守る祖母(余貴美子)。山吹は亡き弟のふりをして母に手紙を書き続け、ある日、姉の紅は家を出る――。
 
「家族それぞれが軸になり、やがてひとつになる物語。初めて原作を読んだときから、大好きになりました。山吹が幼少期から大人になっていくなかで、彼が選びとっていった道は理解できる、愛せるキャラクターです」
 
撮影は山吹の少年時代からスタート。高杉さんは、その映像を観てから撮影に入ったそう。心優しい主人公を、説得力を持ってナチュラルに体現することは、想像よりずっと難しかったのでは……。
 
「キャラクターの軸が、とてもしっかりしているなって。それぞれが台本を読み、理解が同じだったのだと思います。だからこそ、丁寧に表現できたんじゃないかと。もともと物語が好きだったわけですが、演じてみて、映像になってさらに好きになりました。僕は自分が出演させていただいた作品をあまり客観視できないほうなのですが、この映画は楽しく観ることができましたね」

家族は「無償で助けたい」存在です

山吹の優しさは、息子を失った現実を受け入れられない母への思いに由来します。悲しみのあまり消えてなくなりそうな母をつなぎとめるため、“嘘”をつき、亡き弟になりかわって手紙を書き続けます。森ガキ監督からは「家族それぞれの距離感を意識して」と演出されたそう。映画では、山吹として家族との時間を生きてた高杉さん。ご自身は、自分の家族にどんな想いを抱いているのでしょう?
 
「無償で助けたい存在、でしょうか。助けられている面はもちろんあって。家族のほうは僕に、助けてもらいたい! とは思っていないでしょうけど……。家族からは、『いつでも帰ってきなさいよ』と言われています。ありがちな言葉かもしれませんが、やっぱり救われますね。いつだって帰れる、そう思って生きるほうが楽にいられますし。でも、いま本当に帰ったら、『お前、何帰ってきてんだ!?』と言われるかもしれませんけど(笑)」

俳優としての転換期に見つけた‟宝物”

事務所を独立して4年ほど。とくになにかを変えたわけではないけれど、気づいたら変わっていたことは確かにあったと言います。きっかけは2022年、初めてのふたり芝居に挑んだ舞台『ライフ・イン・ザ・シアター』でした。共演者は、舞台経験豊富な勝村政信さん。
 
「“この場面はこのテンポと間で演じ、こんな風に伝わったら……”と考えて演じてみたことがあって。それは別に、誰にも伝わらなくてもいいと思っていたんです。するとその日観劇したお客様からの手紙で、伝わっていた! と知って。それだけ真剣に観てくださる人がひとりでもいるなら、自分はこれからそこを目指すべきだなと思ったんです。舞台上はふたりしかいない空間でしたが、向き合うのは勝村さんだけじゃない、お客様にもそうでなければ。人の時間を奪う責任を持つことの意味を考え、その重大さに気づいたんです。俳優としてひとつの転換期で、‟宝物”と思えるものがたくさん見つかりました」
 
「もちろん、観てくださる方の時間をいただくという意味では、ドラマや映画でも同じです」と高杉さん。
 
「自分が楽しければいいと思っていた時期もありました。もちろんそれも大事ですが、今は観てくださる方に影響を与えられる作品に出たい――。それが仕事へ向かうときの、僕のなかの軸になりました。だからこそ多くの人に観てほしいですし、観ていただいたからには、その人のなにかを変えたい。それは主役でなくても、作品の一端を担うのであれば同じです」

いよいよ30代、モチベーションは上がってます!

同時に「俳優としての、自分の強みを見つけたい」という思いも。けれど、いまはまだ「目の前の作品と真剣に向き合うことしかできていません」と高杉さん。たくさんの俳優がいるなかで、「この役をやって欲しい! と言ってもらえる存在でいなければ」と続けます。
 
「作品を大切に観てくださる人が増えてきたことは、ここ数年で見つけた‟宝物”のひとつです。そうして真剣に観ていただくことで、作品が報われるなら、僕自身を覚えてもらわなくてもいい」
 
そう、断言。現在29歳。30代に向けていま、なにを思うのでしょうか。
 
「俳優としてのモチベーションはやっぱり上がっています。やれるだけのことはやりたい。求めていただいて初めてできる仕事なので、求めていただいたら、求められるだけのことはやりたい。そう思っているんですよね」

PROFILE
高杉真宙(たかすぎ・まひろ)
1996年生まれ、福岡県出身。2009年に舞台で俳優デビュー。12年に映画『カルテット!』で初主演、14年『ぼんとリンちゃん』でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、17年『散歩する侵略者』で毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞受賞。その他、最近の主な出演作に、NHK大河ドラマ『光る君へ』、『ザ・ロイヤルファミリー』、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-/-決戦-』、『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』、『盤上の向日葵』。

[映画] 『架空の犬と嘘をつく猫』

●監督:森ガキ侑大
●脚本:菅野友恵
●原作:寺地はるな『架空の犬と嘘をつく猫』(中央公論社刊)
●出演:高杉真宙 伊藤万理華 深川麻衣 安田 顕 余 貴美子 柄本 明 ほか
●配給:ポニーキャニオン
2026年1月9日(金)より全国ロードショー
©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会

撮影/本多晃子 スタイリスト/菊池陽之介 ヘアメイク/堤紗也香 取材・文/浅見祥子

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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