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小さなバスルームを究極にグレードアップするヒント15

  • 2025.12.26
Helenio Barbetta

都市部の住宅のほとんどは、とにかくスペースが足りていない。その結果、バスルームはどうしても“あまった場所”に追いやられてしまっている印象だ。狭く、太陽の光も入らないとなるとデコレーションするほどテンションは上がらず、どうしても機能優先の空間として落ち着いてしまいがちだ。それでも、あきらめるのはまだ早い。どれほどコンパクトな空間であったとしても、自分自身を飾るように、個性を反映させたしつらえを考えてみてほしい。

本記事では、見ているだけで楽しくなるようなバスルームを15例紹介する。世界で活躍するインテリアデザイナーたちの仕事を見れば、この小さなスペースにも人を驚かせる仕掛けを忍ばせられることがよくわかる。早速実例をチェックして、その秘訣を見てみよう。UK版「エル・デコ」より

Douglas Friedman

バスルーム・ワンダーランド

サンフランシスコを拠点とするインテリアデザインスタジオのニコール・ホリスは、ある家族が暮らすカリフォルニアの家に設えられたパウダールームに、「ナイトクラブ」を取り入れた。空間を構成するのは、壁面にあしらった黒いリネン、ジョアンナ・グラウンダーによるスタイリッシュな蛍光灯、それから光を放つ「アガペ」の鏡。けれど、訪れる人の視線を集めるのは、なんといってもサビーヌ・マルセリスによる、セルリアンブルーのレジンを用いた洗面台だ。
nicolehollis.com

Montana Labelle

洗練された洞窟

パウダールームは小さくても、人を惹きつける可能性を秘めている。デザイナーのモンタナ・ラベッレは、カナダ、トロントのプロジェクトで中世風のスタイルを実現。主役は、オダ&キングによる石製の洗面台。水栓はオフィチーナ・ニコラッツィ。さらに、1st Dibsで入手したランタンのような壁付け照明といったヴィンテージの要素をプラスした。
montanalabelle.com

Felix Forest

はかなさの美学

クリーミーな色、なめらかな表面、そして真ちゅうの仕上げが、このバスルームを優美に特徴づけている。静かでもの思いにふけるのにもふさわしい空間をデザインしたのは、オーストラリア出身のカルラ・パルトナ。「グランド・ジョージアン」というドラマチックな名前がつけられたこの家は2階建て。バスルームは1階に位置している。中心にあるのは、白いオニキスを使ってカスタマイズした洗面台だ。真ちゅう製の脚部と「ジェッシー」によるサテンニッケルの艶やかな水栓、それからタージマハルクォーツァイトのタイルを用いたフローリングがこれを引き立てている。
carlabarton.com.au

Lance Gerber

レンガを効果的に

家の中でも、とりわけ広さに制限のあるバスルームにずっしりとしたものを置くなんて、常識的ではないかもしれない。けれど、デザインスタジオ、アナザー・ヒューマンがカリフォルニア州ロサンゼルス、シルバーレイクで手がけたゲスト用バスルームは、この概念を見事に覆す。カスタムメイドのテラコッタレンガと「グラウト360」による紫がかったブルーの(レンガの目地を詰める)グラウト材、それからこの場所のために作られた「クスト・モザイク」のシンクが空間の主役を務める。壁面は、「ベンジャミンムーア」の“ヴィクトリアン・トリム”でペイントした。
anotherhuman.la

Derek Swalwell

モダニスト的な手触り

オーストラリアを拠点とするフラック・スタジオは、ナチュラルなカラーパレットとシンプルなフォルムで、バスルームをデザインした。これは、家全体の建築を手がけたロビン・ボイドの控えめなモダニスト的アプローチに敬意を示したもの。フラック・スタジオがアップデートに使ったのは、アメリカンオークを用いたカスタムメイドのキャビネットに、ロブ・ハウによる風景画、それから大理石で仕上げた洗面台だ。
flackstudio.com.au

Anson Smart

グラデーションを愛でる

このバスルームを見て、最初に視線を向けるのは、イタリアのブランド「アントニオルピ」による光の入り具合が美しいシンクだろう。けれど、注目すべきはそれだけではない。ポーランドの建築事務所、ハイライトは「サルバトーリ」の鏡を取り付けた水栓を天井から吊り下げ、マットと鏡面で仕上げたライトボックスをカスタマイズし、壁のひとつに取り付けた。
hilight.design

Angela Hau

太陽を浴びて

ニューヨーク、アッパーイーストサイドのアパートメントに入るパウダールーム。ロンドンのデザインデュオ、キャンベル・レイは、「シューマッハ」の“カバナ・ストライプ”で仕立てたファブリックをシンク下にかけて、フィー・グリーニングが「コモンルーム」のためにデザインした壁紙を貼り、アールデコに着想を得た興味深いスタイリングを試みた。ここには、ほどよくボヘミアンな空気が漂っている。
campbell-rey.com

Anson Smart

ピンクに染めあげた空間

ヴェネチア産のしっくいを使って仕上げたアーシーでナチュラルなピンクが、ノスタルジックな効果をもたらすバスルーム。家主は、ここを見て自らの子ども時代を思い出すのだという。このソフトな壁が、カスタムメイドの大理石製洗面台と真ちゅうを使った「アスタ・ウォーカー」による水栓“アイコン”と調和する。さらに、壁の一面を鏡にすることにより、空間が拡張したような感覚を味わえる。
smacstudio.com.au

Anson Smart

清潔なブルーでまとめる

オーストラリア、メルボルンのレトロな雰囲気漂う「グロス・ハウス」と名づけられたユニークな家。デザインを手がけたのは、スタジオ・ドハティだ。青のアクセントを随所に使っているが、この小さなバスルームには、その特徴が顕著に表れている。白いタイルの間を埋める目地までもが、このカラーパレットを忠実にリフレインしている。洗面台は、シロ・スタジオが「アガペ」のためにデザインした“ニヴィス”。
studiodoherty.com.au

Helenio Barbetta

ビビッド・カラーを大胆に

ミラノを拠点とするスタジオ、アプティトゥードによるこのビビッドな空間には、メキシコ人建築家のルイス・バラガンを思わせるスタイルで色づけされたコンクリートが使われている。ラズベリーやアンバー、ブルーグレーの配色がユニーク。この遊び心あふれるカラーパレットと呼応するように、「カスト・コンクリート」による洗面台にも、同じような色をセレクト。広さに限りのある空間では、色彩のディテールが重要なのだ。
aptitudestudio.it

Cara Woodhouse

タイルと大理石の対話

カリフォルニア州サンディエゴ。インテリアデザイナー、カーラ・ウッドハウスによるこのバスルームでは、「ファイアクレイ・タイル」の鮮やかなシャルトリューズ(明るい黄緑)色のタイルと、「アーティスティック・タイル」によるモノクロームの大理石製洗面台が、遊び心たっぷりに見る者の視線を獲得しようと競い合っている。色と素材のコントラストを強調することで、コンパクトな空間の魅力を最大限に引き出した。
carawoodhouse.com

Frank Oudeman

優雅な鏡のリフレクション

ここは、LinkedInがニューヨークに構えるオフィス。レトロなバスルームをデザインしたのは、デザイン・リパブリックだ。この鏡の使い方は、参考にしたい。「コンクリート・コラボレイティブ」による“パシフィカ”グリーンのテラゾ製洗面台の上には楕円形の鏡がかけられ、反対側の鏡と洗面台を映し出している。壁面のタイルは、サラ・シャーマンが「コンクリート・コラボレイティブ」のためにデザインした“ストランズ”(カラーはモスグリーン)だ。
designrepublic.us.com

Paolo Bramati

魔法が語りかける黒い壁

建築家のピエルジョルジョ・ファソリは、パウダールームの狭さを逆手にとって実験的な空間づくりを試みた。使ったのは、「ピエール・フレイ」の“キュリオジテ”。サイケデリックで異国情緒あふれる植物と動物が描かれているこの壁紙は、(「やりすぎ」な印象を避けるため)コンパクトな場所で使うのにふさわしい。ファソリはこれに、モロッコで見つけたアンティークの頭部をかたどったオブジェを加え、パウダールームの守り神とした。
@fasoliarchitetti

House of Grey

プリミティブに「ロック」できめる

「フリントストーン・スタイル」というインテリアのトレンドをご存知だろうか。英国のデザインスタジオ、ハウス・オブ・グレイは、この小さな空間を洞くつ風に仕上げた。この試みを成功に導いたのは、傾斜した壁面と、岩場から掘り出したようなシンク。けれど、フリントストーン、つまり石器時代的な雰囲気は、あくまでささやかなもの。ディテールに真ちゅうを使っているとはいえ(「ピート・ブーン」の水栓と、ハウス・オブ・グレイがカスタマイズした鏡)、カラースキームはニュートラルで実に自然だ。
houseofgrey.co.uk

Stephen Johnson

クラシック・ノワール

ニューヨーク州ハンプトンズに立つ家の洗練されたパウダールーム。ユニオンワークスのデザインチームは、建築事務所、A+Iと手を組み、壁面に「ヒース・セラミックス」による漆黒のタイルを貼り、カスタマイズしたブロンズとノワール・サン・ローラン大理石を組み合わせた「ピート・ブーン」のダークな洗面台“コクーン”を設置した。
theunionworks.com; architectureplusinformation.com

original text :ALICE FINNEY AND THANA ELKAMEL
translation : CHISATO YAMASHITA

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