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「テクラ」人気の秘密。建築とアートが息づく、北欧テキスタイルの新しい美学

  • 2025.12.26
Tekla

世界中のファッション、インテリア好きから人気を集めているデンマーク発のテキスタイルブランド「TEKLA(テクラ)」。キャンドルという新たな分野への挑戦を機に、改めて知っておきたい「テクラ」の魅力をおさらい。ビギナーはもちろん、長く愛用してきたファンにとってもブランドを理解するための重要なトピックを紐解く。

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「テクラ」とは?

「ホームウェアをもっと現代的で、自分らしく楽しめるものにしたい」(クリストファー・ユール)

2017年にデンマーク・コペンハーゲンで、チャーリー・ヘディンとクリストファー・ユールによって創業された「テクラ」は、建築やアートからのインスピレーションを軸に、日常に寄り添うタイムレスなアイテムを提案するライフスタイルブランド。ベッドリネンやタオルといったアイテムを通して、トレンドに左右されない、上質で機能的なデザインを追求している。

ブランドが大切にしているのは、何気ない日常を心地よく整えること。朝いちばんに触れるシーツの感触や、夜のルーティンに寄り添うタオルのやわらかさなど、日々のルーティンの質を、さりげなく高めることで、暮らしに豊かさを添えている。

<写真>コペンハーゲン中心部・インドレバイに位置する、1930年代に建てられた歴史的建築「エグモント・ビル」に構える「テクラ」初のショップ。ノルディック・クラシシズムの意匠が、ブランドの建築的美学と響き合う空間だ。

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建築とアートが息づくデザイン

「テクラ」のデザインを形づくっているのは、建築やアートの世界からのインスピレーションだ。アルヴァ&アイノ・アアルトが大切にした、人の暮らしや感覚に寄り添う建築思想やル・コルビュジエやジョン・ポーソンに代表される、構造と合理性に基づくモダニズムの考え方。さらに、ドナルド・ジャッドやアグネス・マーティンが示した、余計な要素をそぎ落としたアートの表現など。そうした考え方は、「テクラ」の色彩やテクスチャーのひとつひとつとして表れ、空間に穏やかな余白と落ち着きをもたらしている。

<写真>ル・コルビュジエが建築のために考案した色彩理論「Architectural Polychromy」に着想を得た限定コレクション。レマン湖畔に建つ別荘「ヴィラ・ル・ラク」で見られる色のバランスを反映した、ストライプやチェックのデザインが特徴だ。

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素材と色彩に宿る、テクラの誠実なものづくり

「日々のルーティンを、色や触り心地で静かに整えることが、私たちのものづくりです」(クリストファー・ユール

ものづくりの根幹にあるのは、素材と色彩への誠実な向き合い方だ。ベッドリネンやタオルといった、日々の暮らしの中で最も肌に触れるアイテムだからこそ、快適さや耐久性、そして触り心地を何よりも大切にしている。

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素材選びの基準は、心地よく使えること、洗いを重ねても風合いが損なわれにくいこと、そして長く愛用できること。「テクラ」は生産パートナーと密に協働しながら、オーガニックコットンやリネンなど用途に適した素材を厳選し、日常に寄り添う品質を追求してきた。そうした姿勢は、色彩の選び方にも表れている。スカンジナビアの自然と光から着想を得たテクラのカラーパレットは、空間に溶け込むように穏やかに調和する。素材と色彩にこだわることで、毎日の使い心地を丁寧に整える。そのものづくりが、「テクラ」ならではの心地よさを生み出している。

<写真>ポルトガル製のGOTS認証オーガニックコットンを用いたスリープウェア。上品な光沢のサテン生地に、ブルーとホワイトのストライプが映える。

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共鳴から広がる、テクラの世界観

「テクラ」を語るうえで欠かせないのが、コラボレーションを通じたブランドの広がりだ。 ファッションやライフスタイルの分野と協働する際、「テクラ」が重視しているのは話題性ではなく、価値観の共有。 素材への誠実さやタイムレスな美意識が重なり合う相手との対話を大切にしている。これまで「スチューシー」や「ビルケンシュトック」「ジャックムス」などともコラボレーションし、表現を広げている。コラボレーションを重ねながらも、変わらず日常に寄り添う。その一貫した姿勢が、テクラの世界観をより豊かなものにしている。

<写真>継続的に展開されている「ステューシー」とのコラボレーション。2021年以降、「テクラ」のタイムレスな美学をストリートの文脈へと広げてきた。

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2024年には、アイノ・アアルト生誕130周年を記念し、「アルテック」とコラボレーション。アイノが1930年代に日本人の友人から贈られた桜柄の生地をもとに生まれたファブリック“キルシカンクッカ”を寝具に再解釈した。花柄は新鮮ながら、建築やアートに着想を得る「テクラ」の原点とも響き合う。

<写真>ホワイト、ブルー、ピンクの3色展開。デュべカバーとピローケースがランナップされ、キッズサイズのセットも用意された。

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キャンドルから始まる新たな挑戦

「テクラ」が次に目を向けているのは、テキスタイルの枠を超えた、暮らし全体の心地よさだ。その第一歩となるのが、ブランド初となるキャンドルコレクションだ。

2025年10月、パリのファッションウィークで発表されたキャンドルの器を手掛けたのは、アイルランドの陶芸家サラ・フリン。やわらかな凹凸をもつ有機的なフォルムは、手仕事ならではの温もりを感じさせながら、空間に自然と馴染む佇まいを備えている。香りもまた、素材や色彩と同じように、日常に寄り添う存在として設計されている。

<写真>新作の“センテッド キャンドル”。香りは、サウナの熾火を思わせるスモーキーウッディな“ヴァスタ”やお香が立ち上るようなウッディスパイシーな“コードー”、シトラスとベルガモットが香る“フロール”の全3種。

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「メリルボーンの店舗は、進化し続けるいまの『テクラ』そのものです」(クリストファー・ユール)

2025年11月、「テクラ」はロンドン・メリルボーンに初の海外直営店をオープンした。このロンドンの空間は、ブランドの現在地を映し出す場所でもある。落ち着きがありながらも、新しい試みを感じさせる佇まいが、ブランドのこれからを静かに伝えている。建築やアートの視点を軸に、日常に寄り添うものづくりを重ねてきた「テクラ」。その一貫した姿勢こそが、いま多くの人を惹きつけている理由だ。

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