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「ずっと忘れられない」放送から15年、今なお語り継がれる【NHKの名作ドラマ】

  • 2026.2.1

ドラマや映画の中には、観る者を驚嘆させるほど緻密に作り込まれた作品があります。今回はそんな中から名作ドラマを5本セレクトしました。

本記事ではその第3弾として、ドラマ『胡桃の部屋』(NHK総合)をご紹介します。家庭崩壊から再建に至るまで、複雑な環境の中で孤軍奮闘しながら成長していく姿を描いたドラマです。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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松下奈緒(C)SANKEI
  •  作品名(放送局):ドラマ胡桃の部屋』(NHK総合
  •  放送期間:2011年7月26日~2011年8月30日

物語は、1980年頃の東京の三田村家で展開されます。ある日、一家の父親が会社をリストラされたことをきっかけに家を飛び出し失踪してしまいます。こうした家族の状況の中、次女の三田村桃子(松下奈緒)が、父親である忠(蟹江敬三)の代わりに家計を支え、崩壊寸前の家族を再生させようと奮闘します。彼女は女らしいおしゃれや恋を諦め、父の元部下である都築(原田泰造)に励まされながら、家族のために必死にもがきました。

また、父親の失踪により、家族はそれぞれの悩みを抱えることになります。母親の綾乃(竹下景子)は夫に裏切られた失意から大量の物を買ったり過食症を患うなど精神的に不安定になってしまいます。姉の清水咲良(井川遥)は夫に不倫されたことによる過度のストレスから、無意識にスーパーで万引きをしてしまいました。妹の陽子 (臼田あさ美)は玉の輿に乗ることを夢見るなど、現実的な問題から目をそらそうとします。弟の研太郎(瀬戸康史)は就職活動が上手くいかずに悩んでいます。父親の失踪を機に次々と家族が崩壊し、問題が次々と露呈していきます。

人間の本質を考えるきっかけ ※ネタバレ注意

そもそもリストラをきっかけに父は失踪しますが、その裏には不倫相手の存在がありました。父親の持つ弱さ、ずるさ、そして家族を置き去りにして不倫に走る男性の複雑な心情を、故・蟹江敬三さんは高い演技力で表現していました。一家の大黒柱としての責任から逃れるように不倫相手のもとへ走り、結果として家族に大きな動揺と経済的・精神的な負担をかけることになります。父親の行動は、単なる悪人としてではなく、人間的な弱さや葛藤を抱えた人物として描かれ、視聴者に「もし自分の家族に同じことが起きたら」と考えさせるリアリティを与えていたと言えます。

不倫は、信頼関係の破壊だけでなく、経済的な問題、精神的な苦痛、そして家族の未来にも大きな影を落とします。キャスト陣は、それぞれの役柄を通して、不倫がもたらす心の痛み、葛藤、そしてそれを乗り越えようとする人間の強さや弱さを繊細に表現していました。

桃子も父親の失踪後、崩壊寸前の家族を支えるために、自分自身の幸せや恋を犠牲にしてきましたが、家族の面倒を見ることに疲れ果て、しかし誰にも頼ることができない孤独な状況の中で、彼女は心のよりどころを求めるようになります。元々父親の部下であった都築は、当初は相談相手であり、精神的な支えでした。都築は桃子のことを理解し、励まし、家族を支える彼女の献身的な姿を見ています。しかし、家族や社会のしがらみの中で疲弊していく桃子と、彼女に惹かれる都築の間で、やがてプラトニックな関係を超えていきます。

家族という関係性の脆さや、一度生じた亀裂がどれほど修復困難であるかを示唆していると言えるでしょう。しかし、その中でも桃子のような存在が、家族の絆を取り戻そうと奮闘する姿が、このドラマの大きな魅力となっています。SNSでも「ずっと忘れられない」という声が見られ、記憶に刻まれる名作として語られています。


※執筆時点の情報です