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「1日3回観てた」約10年前 “視聴者を虜にした”至高ドラマ…今なお語られる“NHK史に名を刻む”傑作

  • 2026.1.31

放映されていた2014から11年の時を経て2025年冬からNHKで再放送されている『マッサン』のドラマとしての完成度は非常に高く、実在の人物をモデルとした人間ドラマは観る者の胸に熱いものを残していきます。初の外国人ヒロインを演じたシャーロット・ケイト・フォックスの可憐な快演も相まって、NHKの朝ドラという枠のレベルを何段階も上げていった非常に力強い作品です。今では身近になったウイスキーという存在を見る目が変わる、情熱のドラマを紐解いてみてみましょう。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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成田山節分祭に参加した玉山鉄二(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):連続テレビ小説『マッサン』(NHK総合)
  • 放送期間:2014年9月29日〜2015年3月28日
  • 出演者:玉山鉄二、シャーロット・ケイト・フォックス、前田吟、泉ピン子、西川きよし ほか

舞台は大正時代の日本。広島出身の亀山政春(玉山鉄二)は、本場スコットランドでウイスキー造りを学び、日本で本物のウイスキーを造るという夢を胸に帰国します。政春はスコットランド留学中に出会い、結婚した妻・エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)とともに新しい人生を歩み始めますが、当時の日本ではウイスキーはまだ理解されず、外国人の妻を迎えた生活にも偏見や困難が立ちはだかります。

それでも政春は夢を諦めず、ウイスキー造りに情熱を注ぎ続けます。妻のエリーもまた、言葉や文化の壁、異国での孤独と向き合いながら、明るさと愛情で夫を支え、日本の家族や地域の人々と少しずつ心を通わせていきます。

幾度もの挫折を乗り越え、やがて北海道・余市の地で理想のウイスキー造りに挑む政春。そして異国から来た妻とともに歩む夫婦の絆、夢を信じ続ける強さ、そして日本のウイスキー誕生までの道のりを描いた、実在の人物・竹鶴政孝とその妻リタをモデルにした物語です。

日本初の本格ウイスキー誕生への挑戦

主人公・政春が、日本ではまだ理解されていなかったウイスキー造りに人生を懸けて挑む姿が大きな軸となっている本作。理想と現実の狭間で何度も挫折しながらも、本場仕込みの技術と信念を貫く姿が胸を打ちます。

そしてその政春を健気に支え、異文化の中で生きるエリーと、夢を追い続ける政春の関係性の変化も見どころの一つです。言葉や価値観の違い、周囲からの偏見に苦しみながらも互いを思いやり支え合う夫婦の姿が温かく丁寧に描かれます。

シャーロット・ケイト・フォックスの自然体なヒロイン像

シャーロット・ケイト・フォックスさんは言葉に頼らない表情や仕草で感情を伝える演技が印象的です。明るさ、戸惑い、孤独、深い愛情を繊細に表現し、エリーという人物を生き生きとした存在にしています。

外国人として差別や偏見にさらされながらも、逃げずに日本で生きるエリーの姿を、シャーロット・ケイト・フォックスさんは芯のある演技で体現しています。悲しみの中でも笑顔を忘れないヒロイン像が、物語に温もりを与えているのです。

さらにシャーロット・ケイト・フォックスさんは朝ドラ初の外国人ヒロインです。連続テレビ小説初の外国人ヒロインという挑戦的な役どころを背負いながら、日本の視聴者に自然に受け入れられる存在感を確立しました。エリーのひたむきさと愛らしさが作品全体の魅力を大きく引き上げています。

再放送でSNSでも盛り上がる

2025年12月22日から『マッサン』が再放送されることが発表されるとSNSでは歓喜の声が上がりました。

「NHK様ありがとう」「感謝しかない」などの声が見られ、今なお高い注目度を誇っていることから、いかに『マッサン』が愛されているかを実感します。

2026年1月現在放映されている朝ドラ『ばけばけ』も国際結婚の珍しかった時代での外国人との交流を描いていることもあり、『マッサン』と『ばけばけ』を重ねて思いを馳せる方も多くいらっしゃいました。

中島みゆきの『麦の唄』の力強さ

主題歌を手がけたのは日本が誇るシンガーソングライター、中島みゆきさんです。

主題歌の『麦の唄』は、大地に根ざす麦の不屈の力強さと、ウイスキー造りに情熱を注ぐ夫婦、特にシャーロットさん演じるエリーへのメッセージとも感じる歌詞は聴いていて目頭が熱くなります。“麦”と“夢を追う夫婦の負けない力強さ”を重ねて歌い上げられています。

テレビ尺でも十分に感動と胸に迫る熱いものを感じるのですが、『マッサン』でこの曲を知った方、興味を持った方はぜひフル尺で味わっていただきたい名曲です。

中島みゆきさんといえば、『プロジェクトX 挑戦者たち』へ主題歌『地上の星』を書き下ろしたことでも有名ですが、番組への解釈、心を寄せる感性が本当に高く、それを音として表現する才能は類稀なものです。

ぜひ、オープニングの『麦の唄』も合わせて楽しんでみていただきたいです。

大正と令和をフラットに結ぶ見事な大作

大正から昭和にかけての激動の時代背景の中で、政春夫妻を取り巻く人々の存在も大きな魅力です。反発しながらも次第に理解を示す周囲の人間関係が、夢が現実になっていく過程に深みを与えています。

出演陣の額ににじむリアルな汗や、大正時代という当時ならではの苦労、今や身近な存在となったウイスキーがどのように生まれたのかを過剰に演出せずに、実直に堅実に描いた力強い作品です。

大正と令和では時間的な距離が大きくあるようにも感じますが、今を生きるということは当時の人たちも同じであり、時を超えて私たちの胸を震わせて、勇気づけてくれています。

SNSには「1日3回観てた」「全てが最高」などの声が見られ、まさにNHKだから成し得た超大作であり傑作といえます。


※執筆時点の情報です