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「とんでもなく過激」“大胆な濃厚シーン”に視聴者衝撃…「生々しい」“圧巻のリアリティ”が光る名作映画

  • 2026.1.31

観終わった瞬間に終わらない――満たされない欲望や人間の業が、時間差で心に残り続ける映画があります。そこで今回は、"過激な表現で話題を集めた映画"5選をセレクトしました。

本記事では第4弾として、映画『不機嫌な果実』(松竹)をご紹介します。

この作品は、R指定(成人指定)を受けた大人のラブストーリーで、成瀬活雄監督が林真理子さんのベストセラー小説を映画化した作品です。夫とのセックスに不満を抱える人妻が、不倫を重ねていく姿を、大胆な性描写とともに描き切った本作は、1997年の日本映画界に大きな話題を提供しました。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや演出に関するネタバレを含みます

あらすじ

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南果歩(1997年頃撮影)(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『不機嫌な果実』(松竹)
  • 公開日: 1997年10月18日
  • 出演: 南果歩、鈴木一真 ほか

結婚して6年、夫・航一(美木良介)との夫婦関係に満たされない思いを抱えていた麻也子(南果歩)は、抑えきれない欲求を前に「自分だけが損をしている」という感情にとらわれていました。

ある日、行きつけのエステサロンのオーナー・れい子(余貴美子)に、「過去の男に目を向けてみなさい」とアドバイスされた麻也子は、かつてつきあっていた大手広告代理店の企画部次長・野村(根津甚八)と会うことにします。野村との2回目のデートで麻也子は一線を越え、初めて不倫を経験します。

その後、仕事先の上司の親戚である通彦(鈴木一真)と出会います。ピアニストで、音楽評論家で、高踏遊民を気取る彼の魅力に惹かれた麻也子は、たちまち恋に落ちました。通彦と体を重ねていくうち、彼からイタリア留学についてきてほしいとプロポーズされ、麻也子は航一と離婚し、通彦と一緒になります。

しかし、幸せは長く続きませんでした。通彦の海外留学はキャンセルされ、またしても不満を抱える生活に戻ってしまった麻也子は、再び不倫の世界へと足を踏み入れていくのでした――

成瀬活雄監督のデビュー作――林真理子の衝撃作を映像化

本作の監督を務めたのは、成瀬活雄さんです。

成瀬監督は『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』で脚本を担当し、本作『不機嫌な果実』が監督デビュー作となりました。原作は、直木賞作家・林真理子さんによる同名ベストセラー小説です。1996年に刊行され、出版当時から大きな話題となっていました。

脚本は映画『失楽園』の筒井ともみさんが担当。撮影を藤澤順一さんが手がけるなど、プロフェッショナルなスタッフ陣が集結しました。

本作は1997年、石田ゆり子さん・岡本健一さん主演によるTBSのテレビ・ドラマ版との競作も話題となりました。テレビドラマ版と映画版、同時期に異なる媒体で同じ原作が映像化されるという異例の展開は、当時大きな注目を集めました。

R指定――松竹公開の邦画作品では初の成人指定

映画『不機嫌な果実』の最大の特徴は、R指定を受けた大胆な描写です。松竹公開の邦画作品では初めて成人映画の指定を受け、DVD版ではR-15指定作品として販売されています。

主演の南果歩さんは、複数の男性との濃厚シーンに挑戦しています。SNSでは「とんでもなく過激」という声が見られるほどの生々しさを放ち、特に野村役の根津甚八さんとのシーンは、激しく求め合う男女の息遣いやその場の空気感など、臨場感に満ちた演技となっています。

コンプライアンスが厳しくなる以前の1990年代後半、本作は「性」を通じて現代女性のリアルな欲望を描こうとした野心作です。R指定という制約は、松竹という大手映画会社にとって異例の選択でしたが、それだけ原作の持つ衝撃性を忠実に映像化しようとした証でもあります。

南果歩の挑戦的な演技――R指定作品で見せた新たな一面

本作で水越麻也子役を演じた南果歩さんの存在感は、映画『不機嫌な果実』を語る上で欠かせない要素の一つです。南果歩さんは1964年1月20日生まれ、兵庫県出身。1984年、桐朋学園大学短期大学部(現・桐朋学園芸術短期大学)演劇科在学中にオーディションで選ばれ、映画『伽倻子のために』(小栗康平監督)で主演デビューを果たしました。

映画『不機嫌な果実』出演時、南さんは33歳。すでに実力派女優として確固たる評価を得ていた時期に、本作ではR指定(成人指定)を受けるほど踏み込んだ内容の役柄に挑んでいます夫婦関係に満たされなさを抱える主人公を演じるにあたり、感情の揺れや人間関係の生々しさを前面に押し出した演技が作品の核を支えました。

本作は松竹公開作品として初めて成人指定を受けたことでも知られており、主演女優にとっても大きな覚悟が求められる作品だったといえます。南果歩さんは、成瀬活雄監督の演出のもと、人物の内面を丁寧に積み重ねることで、物語に説得力を与えました。

結果として本作は、南果歩さんのキャリアの中でも印象的な一本として語られることが多く、R指定作品に主演した代表作の一つとして位置づけられています。大胆な題材を扱いながらも、感情表現を軸に人物像を描いた本作は、彼女の演技の幅を示す転機となった作品といえるでしょう。

実力派キャストが集結――鷲尾いさ子のオリジナルキャラクター

映画『不機嫌な果実』のキャスト陣は、実力派俳優が揃いました。本作の主要キャストには、実力派俳優陣が名を連ねています。

主人公・水越麻也子役を南果歩さんが演じ、彼女を取り巻く通彦役には鈴木一真さんが起用されました。野村役を務めるのは根津甚八さんで、物語に重厚な存在感を与えています。

さらに、航一役として美木良介さん、キリコ役に鷲尾いさ子さん、れい子役に余貴美子さんが出演し、それぞれが印象的な人物像を描き出しています。

加えて、姑役を吉行和子さんが演じ、作品全体に深みと情感をもたらしています。

本作で注目すべきは、鷲尾いさ子さんが演じたキリコ役です。このキャラクターは映画オリジナルで、高校時代に家出して放浪生活をした後、現在はバーテンダーとして働いている女性という設定です。

キリコは自由奔放に生きる女性として描かれ、麻也子の夫・航一や不倫相手の野村、さらには通彦とも関係を持ち、誰かの子を妊娠・出産するという衝撃的な展開を見せます。最終的には麻也子との立場が逆転し、満たされない欲望を抱える麻也子と、子供を手に入れたキリコという対比が描かれました。

1997年10月18日公開――テレビドラマ版との競作も話題

映画『不機嫌な果実』は1997年10月18日に劇場公開されました。

配給は松竹が担当し、全国で公開されています。R指定のため上映館は限られましたが、松竹公開の邦画作品で映倫から「成人指定(現R18+相当)」を受けた稀なケースとして注目を集めました。

また、1997年10月、TBS系でテレビドラマ版も放送開始となりました。テレビドラマ版は石田ゆり子さん・岡本健一さん主演で、毎週木曜日22時から放送。映画版とテレビドラマ版、同時期に異なる媒体で競作されるという異例の展開は、当時大きな話題となりました。

映画『不機嫌な果実』の撮影を担当したのは藤澤順一さん。音楽は荻野清子さんが手がけました。プロフェッショナルなスタッフ陣が結集したことで、本作は高い完成度を誇る作品となっています。

満たされない欲望――現代女性の本音を描く物語

『不機嫌な果実』は、成瀬活雄監督のデビュー作として、林真理子さんのベストセラー小説を映画化した作品です。SNSでは「生々しい」という声が見られるほど、夫との関係に満たされなさを抱える人妻が、不倫を重ねていく姿を、R指定という枠組みの中で大胆に生々しく描き切っています。

主人公・水越麻也子役を演じた南果歩さんは、複数の男性との関係性や心の揺れを丁寧にすくい取りながら、欲望と葛藤の狭間で揺れる女性像を体現しました。感情の機微や人間関係の生々しさを前面に押し出した演技は、作品全体の説得力を支える重要な要素となっています。

松竹公開の邦画作品としては初めて成人指定を受けた本作は、現代女性のリアルな内面に踏み込もうとした意欲作でもあります。地上波では表現し得ない題材と描写に真正面から向き合った姿勢は、1990年代後半の日本映画が持っていた表現の自由を象徴するものと言えるでしょう。

劇場という限られた空間でこそ成立する本作は、1997年の日本映画を語るうえで欠かすことのできない話題作として、今なお観る者の記憶に残る作品となっています。


※記事は執筆時点の情報です