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J3松本山雅FCを契約満了の馬渡和彰が語る今季トライアウトの難しさ「2026-2027シーズンに向けてチーム作りをしていく中で…」

  • 2025.12.18

日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する『JPFAトライアウト』が17日に大阪府内で開催され、今季契約満了を言い渡されたJリーガーたちがピッチ上でスカウトにアピールした。

34歳のDF馬渡和彰(まわたり・かずあき)は年長者として急造チームを引っ張り、トライアウトの雰囲気を明るくした。

今季限りでJ3松本山雅FCを契約満了になった同選手はクラブへの感謝を口にしつつ、来季に向けた難しさを口にした。

ベテランにとって難しさのある今回のトライアウト

今年のJPFAトライアウトは、ベテランにとって難しさがあるようだ。

来年2月より始まる昇降格のない明治安田Jリーグ百年構想リーグ。各クラブは同年8月から開幕する2026-2027シーズンに向けて力を蓄える期間にも充てられる。

昨年末に両ひざの手術を行い、今夏には右大腿二頭筋損傷で全治約6週間と診断された馬渡。契約満了が発表された松本ではケガに悩まされた2年間を送り、昨季はリーグ戦18試合、今季は14試合の出場に留まった。

J3の舞台でなかなか本来の力を発揮できなかったからこそ、今回のトライアウトにかける想いは強い。

画像: トライアウトに参加した馬渡(写真:浅野凜太郎)
トライアウトに参加した馬渡(写真:浅野凜太郎)

「ベテランの選手にとっては、次のハーフシーズンからの2026-2027シーズンへの移行はすごく難しい状況になっている。どのチームも2026-2027シーズンに向けてチーム作りをしていく中で、次のハーフシーズンで『ちゃんと俺のひざは大丈夫だよ』と見せなければいけない。どのチームが声をかけてくれるかは分かりませんが、呼ばれたときにいつでも行ける状態を作らなきゃいけないと思います」

ベテランは困難な局面に立たされている。だからといって決して投げやりになるのではなく、そのときどきの自分にできるベストな行動を続けてきたから、この歳までプロとしてやってこられたのだろう。

急造チームの中でスカウトにアピールしなければいけない難しさがあるトライアウトの中で、34歳の馬渡はプレーと、リーダーシップで存在感を放った。

画像: ウォーミングアップの先頭でチームを引っ張る馬渡(写真:浅野凜太郎)
ウォーミングアップの先頭でチームを引っ張る馬渡(写真:浅野凜太郎)

「僕が年長者だったので、発信することを意識しました。いろいろな状況があるけど、せっかく集まった仲間だし、きょうのメンバーで最大値のパワーを出せるように、『みんなで協力してやろう』って。ただやるだけじゃなくて、『チームとしてまとまってやろう』と話をして、みんなも反応してくれたので、楽しくできました」

ウォーミングアップから仲間を鼓舞してトライアウトに臨んだ。出場した紅白戦ではコンディションの良さを伺わせるパスで得点を演出するなど、即席のチームがまとまった戦いを披露した。

この日のようなコンディションを松本でも維持したかった。馬渡は同クラブへの感謝を口にしつつ、ここからの再起を誓った。

画像: パスコースを探す馬渡(写真:浅野凜太郎)
パスコースを探す馬渡(写真:浅野凜太郎)

「ケガで全然プレーできなくて『すいませんでした』と伝えたいです。チーム、個人としても思うようなパフォーマンスを出せなかったし、個人的にもチームに還元することができなかった。

それでもアルウィン(松本のホーム・サンプロアルウィン)が使えなくなってからも応援に駆けつけてくれたサポーターたちは、山雅にとって宝のような存在だと思う。この苦しい時期をどうにかみんなの力で乗り切ってほしいし、サポーターの方の力が今後J2、J1と上がっていく中で絶対に必要。だからこれからもチームを支えてほしいというのが、僕からの気持ちです」

苦しい負傷期間を乗り越えた馬渡にとって、この日のトライアウトはまだまだ第一線でプレーできると証明する機会となった。

来季に向けて「再起を図れるように頑張りたい」と力を込めた馬渡の今後に注目が集まる。

(取材・文・写真:浅野凜太郎)

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