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殿様気分になれる噂の美食ホテル「エスパシオ ナゴヤキャッスル」に宿泊【エディターズOKINI】

  • 2025.12.17
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独自のラグジュアリー路線を貫く名古屋の「エスパシオ ナゴヤキャッスル」は、他では体験できないホテルステイが楽しめると今話題! ホテル内のダイニングには「ミシュランガイド京都・大阪」で三つ星を持つ京都の「祗園 さゝ木」佐々木浩氏監修による新店舗も。ここにしかない食の体験や、ホテル内部の設備を徹底リポート。

Mayuko Yamaguchi

冒頭からいきなり脱線するのだけれど、10月にパリで開催された「ミシュランガイド」のホテル版、「ミシュランキー2025」では、その結果に新たなホテル選びの指針が示されていた……ように思う。それはつまり「きょうび、良いホテルとはあらゆる旅人を満足させる平均点の高いホテルではなく、他とは一線を画す唯一無二の個性を持ち、それゆえに熱烈に支持される存在感を誇ること」なのだと。

「ミシュランキー2025」発表の直前に名古屋で産声を上げたこのホテル、「エスパシオ ナゴヤキャッスル」に、先日試泊したのだけれど、再び「良いホテルとは?」について考え直すきっかけになった。というのもこのホテル、一から十まですべてにおいて「名古屋発の流儀」がぎゅーっと詰まっているからだ。大げさでなく「私、一生忘れません」と口に出してしまう、すごいおもてなしときらめきに満ちていた。

Mayuko Yamaguchi

借景は名古屋城。殿様気分で過ごすのじゃ

名古屋駅を降りてタクシーに乗り、10分ほどいくと見えてくる名古屋城。徳川家康が築いた城であり、織田信長や豊臣秀吉ともこの地は深い関係にあるんだった……とWikipediaでおさらいしながら進んでいくと、お堀を挟んで建つもう一つの大きな“城”にタクシーは吸い込まれた。ここが「エスパシオ ナゴヤキャッスル」だ。

「エスパシオ」は非常にユニークな展開を続けるラグジュアリーホテルブランドで、名古屋発の国内企業。ワイキキ、箱根、名古屋にハイエンドホテルを展開し、他にはオーダーメイドのプライベートクルージングなども行う。そして、50年以上の長きにわたって人々に愛されてきた「ホテルナゴヤキャッスル」がクローズし、完全リニューアルの形で新たに築かれたのがこの「エスパシオ ナゴヤキャッスル」というわけだ。

昨今、世界中でメガホテルグループはしのぎを削って勢力拡大抗争を繰り広げており、日本でも長い間、有名な外資系ホテルによる日本上陸の話題が尽きない。グループ企業ならではの安定したクオリティーはもちろん魅力的だし、ポイントが貯まるお得感も無視できない。

けれどその一方で、ホテルは今「没個性とみなされる恐怖」と戦っているのだろうな、とも思う。だって、わざわざ別ブランドや○○コレクション的な新基軸を打ち立ててまで目新しいスモールラグジュアリーホテルを誕生させようとする流れがあるのも事実だから。

「エスパシオ ナゴヤキャッスル」はその点、似た存在がない。誤解を恐れずに言うと、ここまで振り切った、突き抜けた、リミッターカット的名古屋感を前面に打ち出している思い切りの良さは、外資系ホテルにはおそらく真似できないのではないかと思う。部屋に通されてふと窓を見ると、カーテンの向こうにはどかーんと名古屋城。家康の時代にこんな場所から城を眺めたりしたら、即座に御用だろうなと想像したらなんだかハイになってきた。

Mayuko Yamaguchi

ディテールの一つ一つが大真面目にきらびやか

「世界に誇るアートミュージアムホテルへ」が「エスパシオ ナゴヤキャッスル」のキャッチコピーなのだけれど、本当に館内から部屋の隅々まで、いたるところで私は驚き感動しっぱなしだった。エントランスを入るとそこでは信長、秀吉、家康の甲冑(かっちゅう)が出迎えてくれ(写真左)、スタッフの方々のユニフォームは渋く輝くゴールドカラー。スイートルームなどはこのままここで挙式できそうな絢爛豪華っぷりだし(写真右)、地階には本物の温泉を引いたスパがあるし、客室の一部ではテラスにジェットバスがしつらえてあって浸かりながら名古屋城を見ることもできる(水着着用厳守ということでした)。

いやこんなのは序の口で、名古屋が生んだ世界ブランド(TOYOTA、ノリタケ、バーミキュラ、BIRDY、リファ……など)の製品が部屋や館内に準備されていたり、館内に置かれた50名の日本人作家によるアート作品は、その場でQRコードを読み取って解説を読むこともできたり……。館内インテリアにはこれでもかというほど金色が使われているのに、なぜかそれが大きな集合体になると、しっとりと落ち着いた風情を生み出すのも不思議な発見だった。

Mayuko Yamaguchi

8軒そろった飲食店もまた強者&個性派ぞろい

ここでようやく、話を本題の食に移そう。振り切った独自ラグジュアリー路線を貫く「エスパシオ ナゴヤキャッスル」は、飲食の面でも決して期待を裏切ったりしない。全100室の客室数ながら飲食店の数は8軒。1、2泊のステイだと当然すべてを回り切ることはできず、どうスケジュールを組めばいいのか、逆に悩むこと必至だ。ちなみに名古屋には実に楽しくコスパ最高の飲食店がひしめいているけれど、このホテルに宿泊するときはいったんそんなことも忘れよう。それほど魅力満載の店が集結しているのだ。

日本料理、寿司、天ぷら・割烹、鉄板料理、中国料理、フランス料理、バーにラウンジと、ホテルの飲食店としてはぬかりがない。この日私はディナーを日本料理「丈」でいただき、食後にバー「THE BAR CASTLE(ザ バー キャッスル)」で一杯のカクテルを、朝食を割烹「尾張 粋 稲葉」でとることにした。もちろん、その他にも未練たらたらで後ろ髪をひかれつつ。

新しいホテルながら、居並ぶ飲食店はいずれもストーリーを持つ名店ばかりで、例えば「丈(じょう)」は「ミシュランガイド京都・大阪」で三つ星を持つ京都の「祗園 さゝ木」佐々木浩氏監修による新展開。京都の三つ星日本料理店なんてあまりにも敷居が高い存在だけれど、ホテル内ダイニングとなると少しホッとできるのは、窓から見晴らす景色の開放感と温かなホテルサービスゆえかも。季節を映した料理の数々には、ここでも随所に見よ愛知の誇りとばかりに名産の食材が使われていて、殿様気分が再びむくむくと湧き上がるのを止められない。

Mayuko Yamaguchi

バータイムの話し相手は白く輝く名古屋城

「ザ バー キャッスル」は、お堀越しに名古屋城を見渡せる絶好の場所に位置している。城に対峙する形でカウンター席もあり、城マニアであれば名古屋城と語らいつつお酒が楽しめる夢のようなバーだ。

バーテンダーもスタッフの方々も、昨今トレンドのミクソロジスト風でもカジュアルなサードカルチャー風でもなく、ビシッとスーツで決めたザ・ホテルマン。こちらも姿勢を正したくなる。「名古屋らしいカクテルをロンググラスで」とお願いしたら、愛知県が名産という大葉をたっぷりと使った爽やかな一杯を出してくれた。ちなみにバーの営業終了は「名古屋城の灯りが消えたら」だそう。すなわち23時ラストオーダーの23時半クローズなのだけれど、細かいところまでいちいちニクいではないか!

Mayuko Yamaguchi

「私史上最高の朝食」と語るファンが続々

天ぷら・割烹の店「尾張 粋 稲葉」はユニークなスタイルの店で、天ぷらの方はランチとディナータイムの営業、対する割烹は朝食とディナータイムの営業を行う。朝食もいわゆる「ホテルの朝ごはん」的なものとは異なり、完全予約制で1名からでも席が取れる。この朝食がすごいのだ。先に体験した友人から「とにかくすごいから。ランチがお腹に入らなくなるから遅めスタートのブランチって考えるのもアリ」と聞いていたので、ありがたく教えに従うことにする。

10時、カウンターに着席すると和朝食の時間は厳かにスタートした。いくつものお菜が並んだ膳に驚いたけれど(写真左)、再び友人のアドバイス「最初の膳で終わりじゃないから! ごはんの量を間違えたら大変なことになるから!」を思い出し、目の前でほかほかと湯気を上げるごはんをマックス少量でとお願いする。そこから続いためくるめく時間は、思い出してもちょっとめまいがするほどだ。目の前でふわふわのだし巻き卵が丁寧に焼かれ、ジュージューと音を上げる香ばしい鰻まで登場。何度も言うけど朝ですよ。卵ご飯の好みを聞かれて「黄身だけ」と答えれば、見たこともない道具で白身と黄身に分けてくださった(写真右)。食後、お腹をさすって「ふー」と言っていたら、ご主人が何やら鍋を火に当ててカタカタやっている。何かと思ったら出来立てのわらび餅が出てきた。再び言いますが、朝ごはんです。日本料理店で夕食をいただくのと変わらない細やかさ、充実ぶりだった。

「稲葉」は、銀座本店の朝食も予約が取れないことで有名だけれど、ここはまだ穴場、そしてゆったり過ごせる点では、もしかしたら銀座以上かもしれない。

Mayuko Yamaguchi

名古屋パワーが世界を席巻する日も近い?

一泊二日ながら、こんなに濃いステイもなかったなと思う。往路、新幹線の名古屋駅を降り立った時に「茶色ばかりですが、なにか?」と謳った名古屋メシのポスターが目に入ったのだけれど、茶色い美味のパラダイス名古屋は、その独自性、そのキャラクターの濃さで日本だけでなく世界と渡り合える特殊な存在感を持っていると、心底思う。流行りの軽やかさ、ミニマリズムやおしゃれ感だけをなぞっていたら、こんなにインパクトのあるチャーミングなホテルは生まれない。

「エスパシオ ナゴヤキャッスル」は、金色ばかり。そして個性ばかり、あふれるサービス精神ばかり。度肝を抜かれた後になぜか楽しくなって、そして元気になっている。「今どきのホテル」とひと味もふた味も違う名古屋流のモチベーションに、背中をグッと押されるようなパワーをもらったのだった。

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ESPACIO Nagoya Castle
住所/愛知県名古屋市西区樋の口町3-19
電話/052-521-2121
https://www.espacionagoya.com/

客室数100室。外来ゲストでもレストランやバー、カフェ、スパなど楽しみ方はさまざま。東京「カンテサンス」の岸田周三シェフが手掛けるフレンチレストラン「ブリアンス」や東京「うかい亭」による新展開の鉄板料理店「昇龍 by うかい亭」、三河湾の海の幸をふんだんに生かした地元の名寿司店「鮨旬美 西川」、前身の「ホテルナゴヤキャッスル」時代から地元で愛される「中国料理 柳城 NAGOYA CASTLE」をはじめ、飲食店の充実ぶりはフーディーにとっても要注目。

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