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ラ・ピシーヌから足を延ばして、珠玉の近代建築カヴロワ邸へ。

  • 2025.12.19

アール・デコとモードについては日本でも複数の展覧会が今年は開催されているけれど、先に紹介したルーべのLa Piscine(ラ・ピシーヌ)は実際に一度は目にしておきたい建物だ。そしてまた、美術館からトラムで40分くらい、車でなら約12分の場所には、ロベール・マレ=ステヴァンスの建築と家具を堪能できるVilla Cavrois(カヴロワ邸)がある。頻繁に行ける場所ではないラ・ピシーヌまで来たからには館内レストランのMeertで食事をした後、ぜひ足を延ばして見学しておきたい近代建築の名作だ。こちらも1932年の建築である。

Villa Cavrois(カヴロワ邸)。建物も庭もマレ=ステヴァンスによる。photography: Mariko Omura

フランスの北部は繊維産業が栄え、大勢の裕福な企業主がこの時期、つまりアール・デコ期に予算をかけた自宅を建築させている。毎年ルーベを含むフランスの北のいくつかの町では「春のアール・デコ」週間を開催し、多くの建築物を特別公開している。それだけアール・デコ建築の数があるということなのだが、この短期間を狙って旅をするというのも簡単なことではない。その点、カヴロワ邸は2015年から年間を通じて一般公開されている。ルーベに繊維工場を経営していたポール・カヴロワが妻と7人の子供と暮らすための邸宅の設計をロベール・マレ=ステヴァンスに依頼した家で2400平米あり、居住部分は1800平米という広さ。1940年、第二次大戦中はドイツ軍に占領されて武器庫に使われ、改修工事前は、放置された状態で不法侵入により荒れ放題に。2015年からの一般公開にあたり、複数年かけて修復工事が敢行された。現在もその荒れた状態で一部屋残されているので、それを見ることで12年をかけた修復工事がいかに大掛かりなものだったか容易く想像でき、そしてその修復工事の見事さに拍手を送りたくなるはずだ。

サロンを含め邸宅全ての修復に用いられた素材の見本が地下のかつてワインセラーで展示されているので、合わせて見学を。photography: Mariko Omura

ドアとエレベーターをジャン・プルーヴェに、入り口の照明をシュヴァリエ×コシュランに依頼した以外、マレ=ステヴァンスは建物のみならず家具も含めてトータルでデザインした。photography: Mariko Omura

1990年に歴史的建造物に指定され、2001年からフランスが所有しているカヴロワ邸。photography: Mariko Omura

Villa Cavrois
60, avenue du Président John Fitzgerald Kennedy
59170 Croix
開)10:00~18:00
休)月
料)11ユーロ〜
https://www.villa-cavrois.fr/
@villa_cavrois

editing: Mariko Omura

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