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「全人類に観てほしい」NHK朝ドラ『あんぱん』で再注目…“忘れられない結末”が話題を集めた『伝説アニメ』

  • 2026.1.8

視聴者の心を深くえぐる“忘れられないアニメ”がいくつか思い出されると思います。やさしさがそのまま悲劇へと転じていく物語や、命の尊さを教えてくれる物語、観た後に深く考えさせられる作品も多いのではないでしょうか。

やなせたかし『やさしいライオン』(東宝)は、“忘れられないアニメ”の一つとして挙げられる作品です。血のつながりを超えた母と子の絆を通して、無償の愛の尊さを静かに描いたこの名作アニメは、「本当の強さとは何か」を問いかけています。

アニメ『やさしいライオン』概要

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(配給):アニメ『やさしいライオン』(東宝)
  • 公開日:1970年3月21日

本作は1970年春、東宝チャンピオンまつりの一作として公開されたアニメーション映画です。原作者のやなせたかしさんが監督・脚本を手掛けています。

1983年にはVHSソフトで発売されました。1998年には一部の台詞を変更し、新たな声優を起用して音声を録り直したリニューアル版が製作されました。直近では2025年9月にNHK-Eテレにてテレビ放送されています。

あらすじ

生まれて間もなく母親を失った赤ちゃんライオン・ブルブル(CV:増山江威子)は、犬のムクムク(CV:久里千春)に育てられました。ムクムクは、わが子のようにライオンを慈しみ、優しく、愛情深く育てます。その影響を受け、ブルブルは大きな体と鋭い爪を持ちながらも、争うことを好まず、弱い者を思いやるとても心の優しい子に成長しました。

成長したブルブルは動物園へと送られることになりました。離れ離れになっても、ムクムクへの深い愛情と感謝の気持ちは変わらず、ブルブルの心には常に母の存在がありました。

ある夜、ムクムクによく歌ってもらった子守唄が聞こえたブルブルは、檻を破ってムクムクを探しに飛び出してしまいます。動物園から逃げ出したライオンが、銃で撃たれてしまうことはわかっていました。

街を越え野を越え、山を越え、ついに雪の林の中に、年老いて今にも息絶えそうなムクムクを見つけました。ブルブルは、ムクムクに「一緒に暮らそうね」と伝え、抱きしめます。武装した警官隊に見つかったブルブルは、ムクムクを胸に抱いたまま殺されてしまいます。

やがて、金色のライオンが老いた犬を背に、月の光を満身に浴びて空を駆けゆく姿がありました。

『やさしいライオン』が描く種族を超えた無償の愛

『やさしいライオン』は、種族や血のつながりを超えて注がれる愛のかたちを教えてくれる物語です。母である犬のムクムクは、赤ちゃんライオンのブルブルを育てることによって何かを得ようとするわけではなく、ただ守り、愛し、共に生きることを選んでいることが深く印象に残ります。

物語の冒頭で、みなしごになった赤ちゃんライオンのブルブルを引き取るムクムクは、種族の違いを意識することなく、我が子のようにライオンのブルブルを育てました。抱きしめ、寄り添い、眠る姿を見守るその行動には、条件や打算は一切ありません。この無償の愛に包まれたことで、ライオンは誰かを傷つけない、心の優しい存在へと成長しています。

しかし、ブルブルが大きくなると、ムクムクの愛情やブルブルの内面は考慮されず、引き離されてしまいました。ムクムクによく歌ってもらった子守唄が聞こえたブルブルは、命の危険を承知のうえで檻を破ってムクムクを探しに飛び出してしまいます。この想いこそが、無償の愛の本質なのかもしれません。

SNSでは「トラウマアニメ」といったコメントが寄せられており、衝撃のラストは、小さな子供が観たらトラウマになってしまうかもしれません。それでも、「全人類に観てほしい」「神作」という声が示すように、ブルブルとムクムクのような種族を超えた無償の愛を与え続けていく姿にトラウマだけでない何かを感じ取ってくれるでしょう。

NHK連続テレビ小説『あんぱん』をきっかけに再注目された作品

『やさしいライオン』を含めたやなせたかしさんの作品が、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送をきっかけに改めて注目を集めています。やなせさんの作品は、“愛と正義”“無償の優しさ”を最も純粋な形で描いているからです。

『あんぱん』では、やなせたかしさんの人生観、作品に通底する価値観が丁寧に描かれていました。その中核にあるのが“弱い者に寄り添う正義”という考え方で『やさしいライオン』は、アンパンマン誕生以前から一貫して描かれてきたテーマを理解するうえで欠かせない作品です。

『あんぱん』でも語られていますが、やなせたかしさんは、幼いころ母親が再婚し出て行ってしまいます。振り向いてくれなくても母親のことを悪く言わない、ずっと好きでいると決めたのではないかと感じさせるのが、『やさしいライオン』につながります。

また、戦争で経験した正義とは相対的なものにすぎず、時代や立場によって変わりやすいものである一方、空腹は絶対的な苦しみであることを、身をもって知ったのです。飢えている人に食べ物を差し出す行為は、立場が変わっても国が違っても「正しいこと」がアンパンマンの原点なのではないでしょうか。


※執筆時点の情報です