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22年前、ロスで出会った3人の“叫び” “唯一無二の声”で音楽ファンをトリコにしたワケ

  • 2026.2.4

新しい年が始まって間もない2004年1月。街にはまだ冬の厳しさが残り、人々は厚いコートの襟を立てて急ぎ足で通り過ぎていた。折りたたみ式の携帯電話が主流で、着メロや音楽配信の文化がじわじわと広がりを見せていた時代。テレビの音楽番組からは多種多様なサウンドが流れていたけれど、その中でも一際異彩を放ち、聴く者の足を止めさせる“強烈な響き”があった。

Vo Vo Tau『裸〜Nude〜』(作詞・作曲・編曲:Ryo-thing)――2004年1月21日発売

派手な演出や装飾を削ぎ落とした先に現れる、音楽の真髄。そんな圧倒的な存在感を持って、この曲は私たちの記憶に深く刻まれることとなった。

深い余韻を残す、唯一無二の“声”が放つ魔力

この楽曲を語る上で、まず触れなければならないのは、ボーカル・Ringの持つ圧倒的な歌声の力だ。

一度聴いたら忘れられない、艶やかさを失わないその声質。それは、聴き手の心の奥底に眠っている感情を、優しく、時には激しく揺さぶり起こすような不思議な引力を持っていた。

『裸〜Nude〜』というタイトルの通り、そこにあるのは何一つ飾り立てない、剥き出しの心そのもの。言葉の一つひとつに体温を宿し、旋律に魂を吹き込んでいく歌唱スタイルは、当時のJ-POPシーンにおいても極めて個性的で、耳の肥えた音楽ファンたちを瞬く間に虜にしていった。

静寂の中から立ち上がり、次第に熱を帯びていくそのパフォーマンスは、まさに“命の叫び”とも呼べるような、瑞々しい生命力に満ち溢れていた。

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2004年、東京・台場でバレンタインスペシャルライブを行ったVo Vo Tau。写真はボーカルのRing(C)SANKEI

異国の地で出会い、東京で結実した稀有な才能

Vo Vo Tauというユニットが持つ、どこか無国籍で洗練された空気感。そのルーツは、彼らが歩んできた独自の軌跡にある。

主要メンバーであるRyo-thing、Pei、Sugarの3人は、もともとアメリカ・ロサンゼルスの音楽学校で出会った。本場のリズムとグルーヴを肌で感じてきた彼らが帰国後、東京でボーカルのRingと運命的な出会いを果たした。そこから、生楽器の響きとテクノロジー、そして魂を揺さぶる歌声を融合させた『Vo Vo Tau』としての活動が本格的にスタートした。

確かな演奏技術と、ジャンルに縛られない自由な発想。それらがRingという唯一無二の触媒を得たことで、日本の音楽シーンに新たな風を吹き込んだのだ。

「ありのまま」を肯定する、時代を超えたメッセージ

『裸〜Nude〜』は、2003年10月にリリースされた彼らのデビューアルバム『Vo Vo Tau 01hz』からのシングルカットとして世に出された作品だ。

アルバムの中でもひときわ強い光を放っていたこの曲が、改めてシングルとして届けられたことには大きな意味があったといえる。

2000年代初頭、デジタル化が加速し、何事も効率や表面的な美しさが優先されがちだった社会。そんな中で「ありのままの自分」を肯定し、泥臭くとも自分らしく生きることを歌ったこの曲は、多くの人の心に深く、静かに突き刺さった。

Ryo-thingによる緻密ながらも温もりのあるトラックメイクは、Ringの歌声を最大限に引き立て、聴く者を優しく包み込む。それは、都会の喧騒の中でふと自分を見失いそうになったとき、そっと寄り添ってくれる一服の清涼剤のような存在でもあった。

20年以上が経過した今、改めてこの曲を聴き返してみても、その輝きは全く色褪せることがない。むしろ、情報に溢れ、本質が見えにくくなっている現代だからこそ、この「剥き出しの真実」を歌う声が、より切実に、より温かく響くのかもしれない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。