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27年前、名プロデューサーが手掛けた“4人のサウンド” 伝説バンドの“デビューソング”

  • 2026.2.4

1999年の幕開け。ノストラダムスの予言が囁かれ、どこか落ち着かない空気が漂っていたあの頃、私たちの耳に飛び込んできたのは、驚くほど真っ直ぐで、そして切ない「叫び」のような歌声だった。

街のショーウィンドウが新春の装いに変わり、人々が新しい時代の足音を不安と期待の中で聞き取ろうとしていた、そんな季節。一つの新しい物語が、ここから始まった。

7HOUSE『STOP〜泣かないで』(作詞・作曲:つんく)――1999年1月21日発売

時代の風を掴んだ4人が、そっと扉を開けた瞬間

1990年代後半の音楽シーンは、まさに群雄割拠の時代。テレビ番組から次々とスターが誕生し、プロデューサーのカラーが色濃く反映された楽曲が街中に溢れていた。そんな中、希代のヒットメーカーとしてその名を轟かせていたつんくの手によって、一組のバンドが世に送り出された。それが7HOUSEだ。

彼らの登場は、当時のリスナーにとって新鮮な驚きを持って迎えられた。単なる「プロデュースされたグループ」という枠を超え、4人のメンバーが織りなすサウンドには、確かなバンドとしての矜持が宿っていたからだ。

特にボーカル・ケンジの歌声は、一度聴いたら忘れられないほどの透明感と、どこか少年のような危うさを併せ持っていた。その歌声が、つんくの描く切ない旋律と出会ったとき、聴く者の胸を締め付けるような、唯一無二の世界観が完成した。

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1999年、東京・台場で開催された「ライブ!!サマーナイトタウン99」に出演した7HOUSE。写真はボーカルのケンジ(C)SANKEI

旋律に宿る“優しさと孤独”のコントラスト

デビュー曲となったこの楽曲を聴き返すと、当時の空気感が鮮やかに蘇る。響くギターの音色は、まるで冬の夜空に瞬く星のように鋭く、それでいてどこか温かい。

アレンジを担当したのは、数々の名曲を手掛けてきた河野伸。彼の繊細かつダイナミックな音作りが、バンドのポテンシャルを最大限に引き出しており、シンプルながらも奥深い音の層を作り上げている。

決して色褪せない、あの頃の僕たちが信じた“音”

7HOUSEというバンドは、活動期間こそ決して長いものではなかったかもしれない。けれど、彼らが残したこのデビュー曲は、20年以上が経過した今でも、色褪せることなく誰かの心の中で鳴り続けている。それは、この曲がただの流行歌ではなく、人の心の奥底にある「言葉にならない想い」を、見事に音へと昇華させていたからに他ならない。

音楽の聴き方が変わり、時代がどれほど移り変わっても、切なさに胸を痛める夜がなくなることはない。ふとした瞬間にこのメロディが脳裏をよぎるとき、私たちは1999年のあの冬、自分が何を信じ、何に傷ついていたのかを思い出す。

派手な演出や奇をてらった仕掛けなどなくても、ただ良いメロディと、それを届ける誠実な声があればいい。そんな音楽の原点ともいえる強さが、この1枚には凝縮されている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。