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27年前、人気医療ドラマOPとして放たれた“70万ヒット” 記録よりも“積み重なった歌”

  • 2026.1.26

1999年1月。正月気分が抜けきらない街には、張りつめた空気と、どこか現実に引き戻される感覚が同時に漂っていた。朝のニュースは事故や事件を淡々と伝え、通勤電車はいつも通り混み合っている。それでも、人は今日をやり過ごし、明日へ向かうしかない。そんな“逃げ場のない日常”に、静かに寄り添った曲があった。

DREAMS COME TRUE『朝がまた来る』(作詞:吉田美和・作曲:吉田美和、中村正人)――1999年1月20日発売

派手な希望を掲げるわけでも、感情を爆発させるわけでもない。それでも、この曲は確かに多くの人の朝に入り込み、長く鳴り続けていくことになる。

静かな必然として鳴った、23枚目のシングル

DREAMS COME TRUEにとって23枚目のシングルとなった『朝がまた来る』は、フジテレビ系ドラマ『救命病棟24時』の主題歌として書き下ろされた楽曲だ。極限状態の医療現場を描いたこのドラマは、リアリティと緊張感を持ち、多くの視聴者に強い印象を残した。

その世界観に合わせるように、この曲もまた“過剰な感情表現”を避けている。DREAMS COME TRUEといえば、壮大なバラードや高揚感のあるポップスを思い浮かべる人も多いだろう。しかし『朝がまた来る』は、リズムは淡々と前へ進み、感情を煽るような展開もない。それはむしろ、生活のリズムそのものに近い音楽だったようにも思う。

だからこそ『朝がまた来る』は、聴く人の状況を選ばない。落ち込んでいる時にも、忙しさに追われている時にも、ただ流れていて違和感がない。励ましを押しつけず、共感を強く要求もしない。ただ、同じ時間を歩調を合わせて進んでくれる。

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1999年、東京国際フォーラムでのライブより(C)SANKEI

記録よりも“積み重なった実感”

『朝がまた来る』は、ランキング初登場1位を記録し、最終的には70万枚を超えるセールスを残した。ただし、この曲の印象は“瞬間的な大ヒット”というよりも、“じわじわと生活に染み込んだ”という言い方のほうが近い。

ドラマの放送とともに毎週耳にし、気づけば口ずさんでいる。CDを手に取らなくても、曲だけは知っている。そんな層を広く抱え込んでいった結果、この数字にたどり着いた。

今日もまた、同じように朝は来る

1999年から時代は大きく変わった。働き方も、情報の速度も、人との距離感も違う。それでも、朝が来るという事実だけは変わらない。そして、多くの人は今も、万全ではない状態で一日を始めている。

『朝がまた来る』は、そんな現実を否定しない。立ち上がれとも、頑張れとも言わない。ただ、今日も時間は進むことを、淡々と示す。その冷静さが、逆に心を支えてくれる。

強くなくても、前に進める。そう教えてくれるこの曲は、27年経った今も、私たちの日常のすぐ隣で静かに鳴り続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。