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27年前、“名古屋系バンド”が放った“ストイック”な旋律 創成期を支えた4人

  • 2026.1.25
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Google Geminiにて作成(イメージ)

1999年の幕開け。世紀末という言葉がまだ生々しく、街にはどこか張り詰めた空気が残っていた。テレビも雑誌も未来を煽り、音楽シーンは過剰な情報と刺激で溢れていた時代。そんな中で、静かに、しかし確実に“異物”として存在感を放つバンドがいた。

Laputa『Breath』(作詞:aki・作曲:Kouichi)――1999年1月1日発売

タイトルに刻まれたシンプルな言葉が、これほどまでに切実に響いた背景には、Laputaというバンドが背負ってきた時間と場所がある。

闇をまといながら、都市の外から現れた存在

Laputaは1993年に名古屋で結成された。90年代前半、名古屋のロックシーンでは別の胎動が起きていた。Silver-Roseや黒夢を筆頭に、退廃と攻撃性を内包したバンドが次々と現れ、後に「名古屋系」と呼ばれる流れを形づくっていく。

Laputaもまた、その創成期を支えた重要な存在だ。彼らの音楽には、いわゆる派手なビジュアル系の記号以上に、冷えた感情と張りつめた構築美があった。感情をむき出しにするのではなく、抑え込むことで生まれる緊張感。それがLaputaの基本姿勢だったとも思う。

声と音が作る、均衡の美学

『Breath』で際立つのは、ボーカルakiの存在感だ。感情を過剰に乗せることなく、どこか距離を保ったまま言葉を紡ぐその声は、楽曲全体に冷たい透明感を与えている。

ギターのKouichiによるメロディも、過度な装飾を排し、緊張と解放のバランスを丁寧に積み上げていく。アレンジもギターは前に出すぎず、リズム隊は淡々と進行を支える。その結果、楽曲全体がひとつの“呼吸”として成立している。聴き手は音に圧倒されるのではなく、その中に静かに引き込まれていく

名古屋という土壌が育てた硬質さ

Laputaを語る上で、名古屋という土地性は欠かせない。東京の華やかさとも、大阪の人懐っこさとも違う、どこか無機質でストイックな空気。その街の感覚が、Laputaの音楽には色濃く反映されている。

名古屋系は、単なる地方ムーブメントではなく、日本のロックに新しい質感を持ち込んだ。Laputaはその中で、より内省的で、より冷ややかな方向性を担った存在だった。『Breath』は、その成熟した姿を提示する一曲でもある。

1999年という年は、音楽的にも価値観的にも大きな転換点だった。派手さや即効性が求められる一方で、内側に沈み込む表現もまた、確実に求められていた。『Breath』は、そうした時代の裏側に寄り添うように存在していた楽曲だ。

息をするように、記憶に残る

『Breath』は、強烈なフックで記憶に刻まれるタイプの曲ではない。だが、気づけば心のどこかに残り、ふとした瞬間に思い出される。それはまるで、意識せず続けている呼吸のような存在感だ。

Laputaというバンドが残したものは、派手な成功譚ではなく、時代の隙間に確かに存在した“緊張の美”。27年経った今も、『Breath』が静かに息づいているのは、その美学が決して色褪せていないからだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。