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27年前、大人気バンドが放った“40万ヒット” 声を張り上げて進んだ“リアルロック”

  • 2026.1.20

1999年1月。世紀末という言葉が現実味を帯び、社会全体がどこか落ち着かない空気をまとっていた。希望が見えないわけじゃない。でも、安心できるほど近くもない。そんな宙ぶらりんな時代だった。

だからこそ、人は静かに考えるより、声を上げて前に進むしかなかったのかもしれない。

Mr.Children『光の射す方へ』(作詞・作曲:桜井和寿)――1999年1月13日発売

この曲は、優しく寄り添うタイプの楽曲ではない。迷いを抱えたままでも、とにかく進めと背中を叩く、真正面からのロックナンバーだ。

ためらいを振り切るための、16枚目のシングル

Mr.Childrenにとって16枚目のシングルとなる『光の射す方へ』は、前年の『終わりなき旅』を経て到達した、ひとつの回答でもあった。

90年代後半の彼らは、社会や時代と距離を取るのではなく、真正面から向き合うバンドへと進化していた。この曲で鳴っているのは、思索ではなく行動だ。

演奏には一切の緩みがない。バンド全体が前へ前へと推進する力を持ち、楽曲の重心は常に「進行方向」に置かれている。立ち止まる余地を与えない構造そのものが、この曲の性格を物語っている。

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2004年、神奈川県・横浜国際総合競技場でのライブより(C)SANKEI

確信を持って張り上げられる、桜井和寿の声

『光の射す方へ』を特徴づけている最大の要素は、桜井和寿のボーカルだ。

この曲での歌声は、抑制とは真逆にある。喉を開き、息を多く含ませ、フレーズの端々で感情を解放する。迷いを抱えながらも、それを振り切ろうとする必死さが、そのまま声になっている

決して整えすぎない発声は、完成度よりもリアリティを選んだ結果だろう。だからこそ、聴き手は、「今この瞬間の叫び」として受け取る。

バンドサウンドも、その声を後ろから支えるのではなく、同じ熱量で並走する。ギターは感情を煽り、リズム隊は一切ブレーキを踏まない。全体として、止まらずに走り続けるロックの形が明確に描かれている。

数字が裏付けた、ロックとしての説得力

このシングルは、ランキング初登場1位を記録し、40万枚以上を売り上げた

この数字は、単なる人気ではなく、「この曲が必要とされた」という事実を示している。派手な演出や過剰なメッセージではなく、真正面からのロックが、当時の空気と噛み合った結果だ。

1999年という時代は、答えを待つ余裕のない時代だった。考え続けるより、まず動く。その感覚を、Mr.Childrenはこの曲で正確に音にしている。

光は、走りながら見つけるものだった

『光の射す方へ』が多くの人の心に残り続けているのは、迷いながらでも、叫びながらでも進むしかない瞬間が、誰にでもあるからだ。

27年が経った今、改めて聴いても、この曲は静かではない。むしろ、今なお声を張り上げている。光は、立ち止まって待つものじゃない。走りながら、叫びながら、ようやく見えてくるものだった。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。