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32年前、大人気バンドが“英語”で歌ったミリオンヒット 世界とつながった“映画主題歌”

  • 2026.1.19

1994年1月。街にはイルミネーションが輝き、テレビやラジオからは少し大人びたラブソングが流れていた。世の中は浮かれきれない空気をまといながらも、どこかで「やさしさ」や「ぬくもり」を求めていた時代。そんな冬の入口に、静かに、しかし確実に心を掴む1曲が現れる。

DREAMS COME TRUE『WINTER SONG』(作詞:吉田美和、Mike Pela・作曲:吉田美和、中村正人)――1994年1月7日発売

聴いた瞬間に“冬の空気”が立ち上がる。その感覚は、多くの人にとって今も鮮明だ。

冬の入口で鳴った、ドリカム14枚目の選択

『WINTER SONG』は、DREAMS COME TRUEにとって14枚目のシングル。国民的グループとしての地位を確立していたドリカムが、年明け早々に届けた“冬の定番候補”だった。

この楽曲は、8枚目のシングルとして発表されていた『雪のクリスマス』の英語詞バージョンである点が特徴だ。当時としてはまだ珍しかった、日本人アーティストによる本格的な英語詞シングル。それを“冬のラブソング”として成立させたところに、ドリカムの成熟と自信がにじんでいた。

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2012年、ドリカム×エスティマ共同企画「CREATE THE FUTURE PROJECT」発表会より(C)SANKEI

静かに熱を帯びる、声とメロディの距離感

『WINTER SONG』の最大の魅力は、吉田美和のボーカルが生む“温度”にある。声は力強いのに、決して押しつけがましくない。むしろ、余白の中に感情が滲むような歌い方が印象的だ。

英語詞であることによって、声そのものの質感や息遣いが、より純粋に耳に届く。それが、この曲に独特の透明感を与えている。アレンジは冬の澄んだ空気のように、どこまでも静かだ。それでもサビに向かうにつれて、胸の奥がじんわりと熱を持つ。その構造が、この曲を“何度も聴いてしまう冬の歌”にしている。

映画と結びついた、世界への視線

『WINTER SONG』は、トム・ハンクスとメグ・ライアン主演の映画『めぐり逢えたら』日本版オープニング・テーマに起用された。ラブストーリーと、この楽曲の空気感は、不思議なほど自然に重なった。

日本のアーティストが、海外映画の日本公開において“入口の音楽”を担う。その事実自体が、当時のドリカムの存在感を物語っている。結果として本作は、ミリオンヒットを記録する大きな成功を収めた。

ただし、このヒットは勢いや話題性だけで生まれたものではない。冬という季節、映画という物語、英語詞という挑戦。そのすべてが噛み合ったことで、静かに広がり、長く愛される形の成功へとつながっていった。

冬が来るたび、思い出される音

『WINTER SONG』は、冬が近づくと、自然と思い出される。不思議な力を持った楽曲だ。寒さの中にあるやさしさ、静けさの中にある高揚。その曖昧で繊細な感情を、ドリカムはこの1曲に閉じ込めた。

32年経った今も、この曲を聴くと、あの頃の冬の空気がふっと蘇る。街の匂い、夜の静けさ、そして少しだけ胸が温かくなる感覚。それこそが、『WINTER SONG』が時代を越えて残り続ける理由なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。