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40年前、大人気アイドルが放った“スターの証明” 映画と交差した“スター性”をまとった一曲

  • 2026.1.19

40年前、街にどんな音が流れていたか、ふと思い出せるだろうか。

原色の服、賑やかな笑い声、そしてテレビや映画を中心に回っていたエンタメの熱量。1986年という年は、まだ「スター」という存在が、空気そのものを変える力を持っていた時代だった。そんな時代の只中で、軽やかに、しかし確かな存在感をもって鳴り響いていたのが、この一曲だ。

チェッカーズ『OH!! POPSTAR』(作詞:売野雅勇・作曲:芹澤廣明)――1986年2月21日発売

10枚目に刻まれた、変わらない安心感

『OH!!POPSTAR』は、チェッカーズにとって10枚目のシングル。この時点で彼らは、すでに国民的バンドとしてのポジションを確立していた。

作詞を売野雅勇、作曲を芹澤廣明が手がける布陣も、ファンにとってはおなじみのものだった。

売野が描く都会的で物語性を感じさせる言葉選びと、芹澤による明快で洗練されたポップサウンド。この組み合わせは、デビュー期からチェッカーズのイメージを形作ってきた重要な軸だ。

10枚目という節目でありながら、この曲が強く印象づけるのは「変わらなさ」の心地よさだった。それは停滞ではなく、積み重ねてきた表現を自然体で鳴らせる地点に到達していた証でもある。

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チェッカーズ-1984年撮影(C)SANKEI

弾けるようなポップと、スターの輪郭

『OH!! POPSTAR』の魅力は、そのタイトル通りの軽快さにある。イントロから感じられる明るさ、リズムの跳ね方、メロディの分かりやすさ。どれもが「ポップ」であることをためらわない。

ボーカルの藤井フミヤは、力強く押し出すのではなく、余裕を持って旋律を転がしていく。その歌声には、当時のチェッカーズがすでに“若さだけ”ではない表現力を身につけていたことがにじんでいる。勢い任せではなく、計算されすぎてもいない。その絶妙なバランスが、楽曲全体に明るい安定感をもたらしている。

サウンド面では、芹澤廣明らしい輪郭のはっきりしたアレンジが印象的だ。無駄を削ぎ落としながらも、色彩は豊か。派手すぎないのに、耳に残る。この「ちょうどよさ」こそが、チェッカーズのポップソングとしての強度だった。

映画とともに刻まれた1986年の空気

本作は、映画『タッチ 背番号のないエース』の挿入歌としても使用された。映画という大きなメディアと結びつくことで、この曲はより広い層に届いていった。

映画と音楽が密接につながっていた80年代半ば、挿入歌は単なるタイアップ以上の意味を持っていた。作品の世界観と並走しながら、曲そのものが独立した記憶として残る。

『OH!! POPSTAR』もまた、「映画を観た記憶」と「街で聴いた音楽」の両方に紐づく存在だった。

軽やかさの奥に残る、確かな余韻

『OH!!POPSTAR』は、チェッカーズの代表曲として語られることは多くないかもしれない。しかし、だからこそ見えてくる魅力がある。派手な転換点でも、挑発的な実験作でもない。ただ、当時の彼らが持っていたポップ性とスター性を、自然な形で封じ込めた一枚。

40年という時間を経た今、この曲を聴くと、1986年の街の色や空気が、ふっと立ち上がってくる。それはきっと、軽やかなポップソングが持つ、最も誠実な力なのだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。