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90年代ムードが再燃。“ベルベットパンツ”がこの冬のキーワードに

  • 2025.12.1

1995年は、テクノロジーもカルチャーも大きな転換点を迎えた年だった。Windows95の発売や初代PlayStationの登場が象徴するように、世界は急速に“未来”へと動き出していた。その変化はファッションにも波及し、ひとつの象徴的なコレクションが誕生する。当時34歳だったトム・フォードがグッチGUCCI)で手がけた、1996-97年秋冬コレクションだ。

深いミッドナイトカラーのベルベットを軸に構成されたランウェイは、オールバックのヘアやゴールドのアイシャドウ、ウエストを強調するシルエットに至るまで、ひとつの“物語”として精緻に組み立てられていた。US版『VOGUE』はこのショーを「70年代NYの伝説的クラブを思わせるほど刹那的で、強烈な魅力を放った」と評し、発表後にはグッチの売上が約90%増加したとも記録されている。

その余波を受けるように、当時のファッション界ではベルベットの存在感が一気に高まっていった。ジャンポール・ゴルチエJEAN PAUL GAULTIER)の1995-96年秋冬“サイバー”コレクションや、ジョルジオ アルマーニGIORGIO ARMANI)が1998-99年秋冬で披露したロングスカートなど、複数のブランドが同素材を主役に据えたルックを相次いで発信。さらにグウィネス・パルトローやサラ・ジェシカ・パーカーといったセレブリティが愛用したことで、ベルベットはレッドカーペットやパーティシーンの象徴へと確立されていった。

1996年、グウィネス・パルトローがトム・フォード期のグッチを纏ってMTVミュージックビデオアワードに出席。
1996 MTV Video Music Awards1996年、グウィネス・パルトローがトム・フォード期のグッチを纏ってMTVミュージックビデオアワードに出席。
ジャンポール・ゴルチエ 1995-96年秋冬コレクション
ジャンポール・ゴルチエ 1995-96年秋冬コレクション
ジャンポール・ゴルチエ 1997-98年秋冬コレクション
FRA FASHION GAULTIERジャンポール・ゴルチエ 1997-98年秋冬コレクション
ジョルジオ アルマーニ 1998-99年秋冬コレクション
Jaime Kingジョルジオ アルマーニ 1998-99年秋冬コレクション

2010年代に入ると、チョーカーや厚底シューズが再び脚光を浴び、Y2Kの余韻が色濃く残るなかで、ベルベットパンツもボディコンシャスなシルエットとともに静かにリバイバルした。ただ、その動きは長く続かず、トレンドの波に埋もれるようにして姿を消していく。

けれど今、再び“あの質感”が戻ってきている。セリーヌCELINE)の2026年リゾートではバギーシルエットのベルベットパンツが登場し、ジョルジオ アルマーニやJW アンダーソン(JW ANDERSON)はドレススーツを再提案。さらに、グッチの2026年リゾートコレクションでも、ハイウエストのベルベットパンツが数多くのルックを占めていた。

Louis Vuitton: Outside Arrivals - Paris Fashion Week - Menswear Spring/Summer 2026
Street Style - Paris Fashion Week - Womenswear Spring Summer 2026 - Day Five

ベルベットは、賛否を抱えながらもパーティシーズンの“定番”として根強く愛されてきた素材だ。ここ数年、華やかな装いへの回帰やセカンドハンド人気の高まりが重なり、ランウェイから夜のイベントシーンまでその姿を見かけることが増えているのも自然な流れだろう。

今季らしいムードで取り入れるなら、トム・フォード期のグッチを手本にするのが近道だ。シルクシャツにローライズのパンツ、あるいはセットアップ。上質さと“夜の気配”がほどよく混ざる、そんなスタイルがいまの空気には最適だ。

Text: Daisy Jones Adaptation: Saori Yoshida

From: VOGUE.UK

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