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「最後まで観れた人いるんだ…」「超える映画は出ない」公開から26年、“桁違いの過激シーン”に衝撃走った一作

  • 2026.1.12

人はなぜ、同じ過ちを繰り返してしまうのか。欲望、嫉妬、後悔、執着——理性では抑えきれない感情が絡み合った先に現れるのが、“人間の業”です。映画の世界では、そんな逃れられない業が、登場人物たちの選択や運命を通して、容赦なく描かれてきました。

今回はそんな“人間の業”を描いた名作映画の中から、映画『オーディション』(アートポート)を紹介します。“選ぶ側”に立つ人間の無自覚な傲慢さと、それによって踏みにじられた感情が、どのような地獄を生んでしまうのか――。静かで、穏やかで、しかしどこにも逃げ場のない一本です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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女優の松田美由紀(C)SANKEI
  • 作品名(配給):『オーディション』(アートポート)
  • 公開日:2000年3月3日

妻を亡くした42歳の中年男性・青山重治(石橋凌)。息子も独立し、穏やかな日々を送っていた彼は、友人の助言をきっかけに、再婚を考えるようになります。そこで青山は、映画制作会社に勤める知人と共に、架空の映画企画を立ち上げ、主演女優を選ぶという名目でオーディションを開催することにしました。若い女性たちが一方的に“選ばれる側”として並ぶ中、青山の目に留まったのが、24歳の山崎麻美(椎名英姫)でした。控えめで、物静かで、どこか影を感じさせる彼女に、青山は次第に強く惹かれていきます。そして彼女を、再婚相手として選ぶのですが――。

麻美が抱えていた“闇”は、青山の想像を遥かに超える深さと歪みを持っていました。その出会いが導くのは、愛でも救済でもなく、取り返しのつかない恐怖。それは、麻美が青山に尋常ならざる感情を抱き始め、青山の身体の自由を奪って監禁してしまうというものでした――。

「選ぶ側」に潜む、無自覚な暴力

『オーディション』が恐ろしいのは、物語の発端があまりにも“自然”に見える点です。

中年男性が再婚を望み、そしてつい若い女性に惹かれてしまうこと。このこと自体は、決して異常ではないのかもしれません。しかし本作は、その裏に潜む“相手を人としてではなく、条件で選ぶ視線”を、一切の遠慮なく突きつけてきます。オーディションという形式は、表向きは平等で公正に見えながら、実際には圧倒的な権力のアンバランスさをはらんでいます。オーディションという名目でないにしろ、就職の面接などでこの権力のアンバランスさを感じたことのある人は実は少なくないのではないでしょうか。

青山は終始、穏やかで紳士的です。だからこそ、自分が加害者になり得るという自覚を持たない。その無自覚さこそが、この物語最大の“業”なのです。

静寂が恐怖へ変わる瞬間

前半の『オーディション』は、驚くほど静かです。不穏な音楽も、大きな事件も起きません。しかし、日常の隙間に忍び寄る違和感が、少しずつ、確実に積み重なっていきます。そして後半、邦画ホラー史に残る“あの展開”へと突入した瞬間、それまでの静けさが、一気に牙を剥きます。ここで描かれる恐怖は、視覚的なショックだけでなく、“なぜ、こうなったのか”を観客自身に考えさせる構造になっています。

なお、本作には松田美由紀さんも出演しており、彼女の存在が、青山の“かつての日常”を象徴する装置として、物語に独特の現実感を与えています。だからこそ、その日常が壊れていく落差が、より残酷に映るのです。

今なお語られる過激さ

公開から年月が経った今なお、SNSでは本作を語る声が絶えません。

「邦画屈指の過激シーン」「最後まで観れた人いるんだ…」「超える映画は出ない」本作は単なる“怖い映画”ではなく、トラウマ級の体験として語られ続けている点が、この作品の異質さを物語っています。

『オーディション』は、恐怖映画であると同時に、極めて冷酷な人間ドラマでもあります。相手を理解しようとせず、都合のいい理想像を押し付けること。それが、どれほど暴力的な行為なのか。

決して気軽にはおすすめできませんが、しかし、忘れられない一本であることは、間違いありません。世にも奇妙で残酷極まるオーディションを覗いてみる覚悟のある方だけ、この静かで残酷な地獄をご覧ください。


※執筆時点の情報です