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「フラッシュバックするほど生々しい」“度肝を抜くリアリティ”に騒然…公開から6年、色褪せない衝撃映画

  • 2025.12.31

社会の荒波や周囲との温度差、自分自身の内面に潜む葛藤に、ふとした瞬間足がすくんでしまう“生きづらさ”。映画やドラマの世界では、そんな言葉にできない孤独や痛みに寄り添い、不器用ながらも懸命に今日を繋ぐ主人公たちの姿が、観る者の心に深い共感を呼んできました。今回は、そんな“生きづらさが刺さる作品”5選をセレクトしました。

本記事では第3弾として、2019年公開の映画『チワワちゃん』(KADOKAWA)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“生きづらさが刺さる作品”映画『チワワちゃん』

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主演映画「チワワちゃん」の公開直前パーティーに出席した女優の門脇麦(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『チワワちゃん』(KADOKAWA)
  • 公開日:2019年1月18日

あらすじ

岡崎京子さんの同名漫画を原作に、監督・脚本:二宮健さんで実写映画化。

ある日、東京湾バラバラ殺人事件の被害者の身元が判明します。それは、ミキ(門脇麦)の遊び仲間であり、「チワワちゃん」の愛称で親しまれていた千脇良子(吉田志織)でした。

物語は、ミキたちが毎晩のようにたむろしていたバーでの出来事に遡ります。ヨシダ(成田凌)の新しい恋人として現れたチワワは、店にあった600万円もの大金を奪って逃走するという大胆な行動に出ます。その金を使って仲間たちは豪華なバカンスを楽しみますが、わずか3日で全額を使い果たし、祭りのような日々は終わりを告げました。

日常に戻った仲間たちとは対照的に、チワワだけは派手な生活を続けます。彼女はインスタグラムをきっかけに人気モデルとなり、有名カメラマンのサカタ(浅野忠信)と交際するなど、次第に遠い存在になっていきました。彼女の死後、ライターのユーコ(栗山千明)から追悼記事の取材を受けたミキは、仲間たちに話を聞いて回ります。しかし、そこで浮き彫りになったのは、それぞれの記憶の中で全く違う顔を持つチワワの姿だったのです―。

映画『チワワちゃん』の見どころ ※ネタバレあり

映画『チワワちゃん』は、岡崎京子さんの短編漫画を原作に、東京という大都会で刹那的な日々を過ごす若者たちの光と影をダイナミックな映像美で描いた作品。ミュージックビデオのような色彩感覚と疾走感あふれる演出が特徴ですが、そのスタイル重視の作風やR15+指定の過激な描写などが賛否を呼びました。SNSではもう少し話の芯が欲しいといった物語の希薄さを指摘する意見が一部で上がっており、ストーリーの深みに関して評価が分かれています。

しかし、本作が映し出す若者たちの虚無感や、表層的な繋がりの中に潜む残酷さは、観客の記憶に強く訴えかける力を持っています。SNSでは「フラッシュバックするほど生々しい」と圧倒される声や、「すっごく残酷」「度肝抜かされた」「忘れられない」と、青春の残酷なまでのリアリティを評価する感想が相次いでいます。遊びの果てに待ち受ける意外な結末と、誰からも本当の姿を知られていなかったヒロインの虚像が浮き彫りになる展開は、観る者の心に消えない余韻を残す一作として高く支持されています。

青春の虚無感を描き出した門脇麦の卓越した表現力

二宮健監督が岡崎京子さんの短編漫画を実写化した映画『チワワちゃん』。本作で主人公のミキを演じた門脇麦さんの芝居は、作品の情緒を支える極めて重要な役割を果たしていました。奔放な仲間たちを静かに見つめ、心の奥底にある葛藤や空虚さを繊細に表現する門脇さんの佇まいは、観客を自然と物語の内側へと引き込みます。

ミキというキャラクターが抱える複雑な心理を見事に体現した門脇さんの芝居に対し、多くの称賛が寄せられています。SNSでは「演技が絶妙」といった声が上がっているほか、圧倒的な実力で見せる門脇さんの存在感に対して、「言わずもがなの好演」といった声が寄せられるなど、彼女の演技が作品のクオリティを支える大きな軸となっていることが伺えます。門脇さんの確かな演技力があったからこそ、移ろいやすい若者たちの人間模様が鮮やかに浮かび上がったことは間違いありません。

映画『チワワちゃん』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“エネルギッシュで切ない青春群像劇”をぜひご覧ください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です