「歴史に刻まれるべき」「全人類に見てほしい」NHKだからこそ実現した“完成度”…語り継がれる『名作アニメ』

2025.12.31

ドラマや映画の中には、観る者を驚嘆させるほど緻密に作り込まれた作品があります。今回は、そんな中から“絶大な人気を誇る名作アニメ”を5本セレクトしました。

本記事ではその第4弾として、アニメ『ヴィンランド・サガ』（NHK総合）をご紹介します。幸村誠先生による漫画を原作とした、骨太な歴史ドラマを描いた作品です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

作品名（放送局）：アニメ『ヴィンランド・サガ』（NHK総合）
放送期間：2019年7月7日～12月29日

千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族・ヴァイキング。最強と謳われた戦士の息子・トルフィン（CV：石上静香、上村祐翔）は、幼くして戦場を生き場所とし、幻の大陸・ヴィンランドを目指します。激動の時代で巻き起こる、本当の戦士の物語（サガ）。

WIT STUDIOが手がける重厚な歴史ドラマ

『ヴィンランド・サガ』は、ヴァイキングの時代を舞台に戦うことの意味や、本当の強さとは何かを問い続ける重厚な歴史ドラマです。派手な戦闘が目を引く一方で、その奥には人間の業や葛藤がt丁寧に描かれています。

物語の中心にいるのは、幼い頃に父を亡くし、復讐のためだけに生きてきた少年・トルフィン。彼の成長譚は、憎しみにとらわれた人間がどう変わり得るのかを静かに、かつ力強く描いています。とくに印象的なのが、宿敵・アシェラッドの存在です。冷酷さと人間味をあわせ持つ彼は、ただの悪役に収まらない魅力を放っており、物語全体に深みをもたらしています。

アニメーション面では、『進撃の巨人』『SPY×FAMILY』などを手がけるアニメーション制作会社・WIT STUDIOによる高水準の映像が、荒々しい戦場や厳しい北欧の自然をリアルに再現しています。血なまぐさい戦闘だけでなく、間の演出が雄弁に感情を語っている点も秀逸です。

NHK放送にふさわしい命への真摯な描写

『ヴィンランド・サガ』についてSNSでは「圧倒的な名作として歴史に刻まれるべき」「教科書にした方が良い」「全人類に見てほしい」との声があがりました。何度も繰り返し観る視聴者も現れています。

本作はNHK総合での放送にふさわしく、暴力をただの刺激として扱うのではなく、歴史の重みや命の尊厳を真正面から描いている点も評価されています。視聴者にわかりやすい爽快感を与えるのではなく、アニメが人生について深く語ることができる媒体だと、あらためて示してくれた作品です。その完成度は、NHKの最高傑作と称されることもあります。

復讐、戦争、自由、赦し……。『ヴィンランド・サガ』は、視聴者に簡単な答えを与えません。その分、観終えた後に自分自身の価値観と向き合わされます。重厚で誠実なアニメを求める人にこそ、じっくりと味わってほしい一作です。

ライター：まわるまがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X（旧Twitter）：@kaku_magari