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「救いがなさすぎる」美化なく描かれた“生々しいシーン”に騒然…“次期朝ドラヒロイン”が魅せた名映画

  • 2025.12.27

高い完成度を誇る傑作エンタメ映画をお探しではありませんか。作り込まれた脚本と豪華キャストが織りなす群像劇は、一度見たら忘れられない作品となることでしょう。今回は、そんな「高い完成度を誇る傑作」をご紹介します。

本記事では、2021年公開の映画『衝動』(SAIGATE)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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「第91回 日本ダービーPR発表会」 見上愛(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『衝動』(SAIGATE)
  • 公開日:2021年12月10日

2020年の東京・渋谷。福島の地方都市から逃げるように上京した少年・ハチ(倉悠貴)は、違法薬物の運び屋として日銭を稼ぐ日々を送っていました。ある日、運び屋の仕事でトラブルを起こしたハチは、暴行を受け、渋谷のラブホテルの裏で倒れていました。そこで出会ったのが、過去のトラウマから声を失った少女・アイ(見上愛)でした。

名前を失った少年と、声を失った少女。社会の片隅で生きる二人は、互いに惹かれ合いながらも、それぞれが抱える痛みと向き合うことになります。やがて二人の関係は、運命的な出会いから予期せぬ方向へと動き出していきます。

R15+指定が示す、容赦ない現実描写

本作最大の特徴は、その徹底したリアリティ。R15+指定を受けた本作では、違法薬物の取引、暴力シーン、そして若者たちが抱える生々しい絶望が「救いがなさすぎる」という声が寄せられるほど、一切の美化なく描かれています。

違法薬物の運び屋として生きるハチの日常や、半グレ集団による容赦ない暴力描写は、観る者の心を掴んで離しません。土井笑生監督は商業デビュー作となる本作で、2020年の東京という“今”を切り取ることに徹底的にこだわり、コロナ禍という時代背景も相まって、閉塞感漂う渋谷の街が、若者たちの孤独をより一層際立たせています。

公式サイトでは「2020年の東京を過激に描く青春サスペンス映画」と銘打たれており、その言葉に偽りはありません。ドラッグ、暴力、トラウマ、現代社会が抱える闇を正面から捉えた本作は、決して目を背けることのできない強烈なメッセージを放っています。

見上愛さんの圧倒的な演技力——『衝動』から『国宝』、そして朝ドラヒロインへ

本作でダブル主演を務めた見上愛さんの演技は、まさに圧巻でした。声を出せない少女・アイ役を演じた見上さんは、言葉を使わず表情と身体だけで感情を表現するという高難度の役どころに挑戦。

見上さんは2021年当時21歳。本作が初主演作品となったが、その演技力の高さは業界内でも高く評価されていました。そして2025年には、映画『国宝』で芸妓・藤駒役を好演。少ない出演シーンながらも、その存在感は観客の記憶に強く刻まれました。

さらに、2024年の大河ドラマ『光る君へ』では藤原彰子役を担当し、“彰子様”の愛称で視聴者から支持を集めました。2026年度前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』のヒロイン・一ノ瀬りん役に抜擢されたことが発表されました。

『衝動』で見せた生々しい演技から、『国宝』『光る君へ』での気品溢れる演技まで、見上さんの演技の幅広さは、まさに次世代を担う女優としての資質を証明していました。シネマトゥデイでは「大河ドラマ初出演ながら、難役である彰子を可憐に演じ切り、ファンからも支持された」と報じられており、その評価は業界内外で確固たるものとなっていきました。

高い完成度を誇る傑作

映画『衝動』は、2020年の東京・渋谷を舞台に、社会の片隅で生きる若者たちの孤独と衝動を鮮烈に描いた青春サスペンスです。R15+指定にふさわしい過激な描写は、決して目を背けることのできない現代社会のリアルを突きつけます。

土井笑生監督の商業デビュー作となった本作は、違法薬物、暴力、トラウマといった重いテーマを正面から捉え、一切の美化なく描き切りました。倉悠貴さんと見上愛さんのダブル主演による渾身の演技は、観る者の心を揺さぶり、若手俳優の可能性を感じさせます。

特に見上愛さんは、本作での声を失った少女役から、『国宝』『光る君へ』を経て、2026年度前期の朝ドラヒロインへと駆け上がりました。その演技力の高さと表現の幅広さは、まさに次世代を代表する女優としての輝きを放っています。

容赦ない現実描写と若手俳優陣の熱演が融合した本作は、高い完成度を誇る傑作として、今なお多くの映画ファンの記憶に残り続けています。


※執筆時点の情報です