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この冬、Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手たち(2025-26年)

  • 2025.11.27

2015年冬に始まったこの企画も10周年を迎える。

この10年間でフットボールを取り巻く環境は大きく変化した。それに伴い外国籍選手の獲得も多国籍化しつつある。

毎年変化に順応しながら「やって来そうな外国人選手」をセレクトするのは大変なのではないか?と質問されることもあるが、個人的には日々驚きの連続で、楽しくて仕方がない。この10年間で実際にやって来た選手も多く、記事を通して様々な繋がりも出来た。読んでいただいた皆様に感謝です。

さて、今冬のJリーグは秋冬制の導入により、シーズン移行前の2月~6月まで「Jリーグ百年構想リーグ」が行われる。

昇降格のないリーグに挑むにあたり、外国人選手の補強にも影響が出ることは必至だ。移行後のシーズンへ向け若手選手の育成に傾くクラブが多くなりそうな一方、J1に関しては優勝クラブにACLエリートの出場権が与えられる。

今回は各クラブの強化策に合わせ、「伸びしろのある若手外国人選手」「決定的な仕事が出来る熟練の外国人選手」の2点に着目してセレクトしてみた。また円安の影響や外国人選手の課税なども踏まえ、引き続き「コスパの高い外国人選手」も併せて考慮した。

選びに選び抜いた総勢12名。ぜひご覧ください。

オヒ・オモイユアンフォ

Ohi Omoijuanfo

国籍:ノルウェー
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:長春亜泰足球倶楽部(CHN)

ゴール前の決定力が光る188cmの大型CF。リーチの長さを生かしたボールキープはもちろん、スペースメイキングも巧みで多彩なゴールパターンを持つ本格派CFだ。

2010年にトップデビューを果たし、「16歳300日」で当時のノルウェーリーグ最年少ゴールを記録。その後はノルウェーのスターベク、モルデFFなどを経てセルビアの名門レッドスター・ベオグラード、デンマークの強豪ブレンビーFFなどでもゴールを量産した。父親がナイジェリア人である。

今シーズンからは活躍の場を中国へ移し、長春亜泰へ加入。背番号10を与えられて期待されたが、コンビを組んでいたスロベニア代表FWロベルト・ベリッチ(34)の負傷離脱などでチームは勢いを落とし、既に2部リーグへの降格が決定済み。オモイユアンフォ自身は29試合6ゴールと奮闘したものの、「フィジカルはあるがフットワークが重い」などと批判されている模様。

来シーズンの動向は未定だが、長春亜泰の経営が思わしく無いことを考えると退団は既定路線か。タイプ的には浦和の元スウェーデン代表FWイサーク・キーセ・テリン(34)に似たタイプ。チームプレーのイロハもあるため、決定力不足解消のために獲得に動くJクラブにとっては適材の選手だ。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

グガ

Gonçalo Rosa Gonçalves Pereira Rodrigues (Guga)

国籍:ポルトガル
ポジション:MF
年齢:28歳
所属:北京国安足球倶楽部(CHN)

ピッチのあらゆる場面に顔を出し、小刻みなドリブルとパスでチャンスを演出する168cmのMF。

典型的な「8番」タイプの選手で、高いサッカーIQを駆使しゲームをコントロールする力に長けている。ベンフィカのアカデミー出身でポルトガルの年代別代表の常連だったが、プロでは芽が出ずギリシャのクラブなどに在籍した苦労人でもある。

ポルトガルの中堅クラブ、リオ・アヴェで大黒柱として活躍後、2024年に北京国安へ移籍。大きな期待をかけられたが、度重なる監督交代による戦術変更により本来のパフォーマンスを発揮出来ず。今季、29試合4ゴール6アシストと成績こそ残したものの、契約が切れる今冬の移籍が取り沙汰されている。

年齢的にもキャリアの絶頂期で、違いを作れる一級品のタレント。アジアを狙うJリーグのビッグクラブが獲得に動いている可能性はありそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

ペリー・ン

Perry Tian Hee Ng

国籍:イギリス、シンガポール
ポジション:DF
年齢:29歳
所属:カーディフ・シティFC(WAL)

タフな戦いで知られるイングランド2部で評価を確立した180cmのCB。

本職は右SBだが、滞空時間の長いジャンプを生かしたヘディングと機を見たタックルで敵の攻撃の芽を摘む。キッカーとしても優秀で、直接FKからのゴールも期待できる。

父方の祖父がシンガポールにルーツを持っており、今年3月にはシンガポールの永住権を取得。代表キャンプにゲストプレーヤーとして招集された。正式な代表入りはまだだが、その後も定期的にシンガポール代表のトレーニングに参加。2027年アジア杯出場を決めたチームでも待望論が強い。

Jリーグにやって来れば提携国枠として登録可能であり、守備のマルチプレーヤーとして貴重な存在なのは間違いないだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

ボジダル・クラエフ

Bozhidar Kraev / Божидар Краев

国籍:ブルガリア
ポジション:FW
年齢:28歳
所属:ウェスタン・シドニー・ワンダラーズFC(AUS)

Aリーグで活躍するブルガリア代表の大型ウィンガー。

186cmとサイズはあるもののフィジカル一辺倒のスタイルではなく、往年のブルガリアのレジェンド、ディミタール・ベルバトフを思わせる繊細なタッチと巧みなボールキープでゴールを演出するファンタジスタだ。

デンマーク、ポルトガルのリーグを経て22年からAリーグへ。ニュージーランドから越境参加中のウェリントン・フェリックスFCから昨シーズンにウェスタン・シドニー・ワンダラーズへ移籍した。

チームではオフェンスの中心選手として主に左WGでプレー。契約を残しているため移籍金が発生するが、それを差し置いても魅力的なタレントだ。ブルガリア代表にもコンスタントに招集されており、年齢的にもキャリアの絶頂期。今冬の個人的な「隠れた注目株」である。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

ヴィトール・ガブリエウ

Vitor Gabriel Claudino Rego Ferreira

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:25歳
所属:江原FC(KOR)

ブラジルの名門フラメンゴで育成された187cmのフィジカル系CF。

空中戦の強さはもちろん、スピードも併せ持つその姿はかつてJ1を席巻したFWパトリック(現ツエーゲン金沢)を彷彿とさせる。U-20ブラジル代表招集歴を持ち、ポルトガルのSCブラガBでのプレー経験もある。

2023年から在籍する江原FCでは背番号10を与えられているが、ボールを持ちすぎる傾向があり、大柄な選手が多いKリーグでは覚醒とまでは至っていない。

Jリーグでは個の力で突破するチームのアクセントとして、また前線の起点として大化けする可能性は十分。移籍金を払ってでも獲得したいクラブは少なくないだろう。近年流行しつつあるロングスロー戦術の要としても活躍出来そうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

ピエール・クンデ

Pierre Kunde Malong

国籍:カメルーン
ポジション:MF
年齢:30歳
所属:フォール・ファカン・クラブ(UAE)

屈強なフィジカルと豊かなスタミナを武器に中盤を制圧する181cmのセントラルMF。

かつてスペインのグラナダCFやドイツのマインツ05、ギリシャのオリンピアコスなどで活躍。カメルーン代表としても41キャップを誇る今回のシリーズ屈指の大物外国人選手だ。

2024年にUAEのデーヴァ・アル・ヒスンに加入し、そこでの活躍が認められ今季から1部リーグのフォール・ファカン・クラブへ移籍。だが開幕から数試合出場した後にスペインのレアル・バジャドリーから加入したモロッコ代表MFセリム・アマラー(29)に押し出される形で外国人登録枠から外れてしまった。

ダイナミズムは今もなお健在なだけに、今冬は多くのクラブが獲得に動きそうだ。中盤のフィルター役として獲得に動くJクラブもあるかもしれない。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

ナナ・ボアテング

Bismark (Nana) Adjei-Boateng

国籍:ガーナ
ポジション:MF
年齢:31歳
所属:フリー ※前所属 全北現代モータース(KOR)

相手の攻撃の芽を摘み取るクラッシャータイプの守備的MF。ファウルスレスレ(明らかに危険なタックルもある)の闘争心が武器で、中盤の底でパスを繋ぐアンカーとしてもプレー出来る。

キャリアを通して代表選出歴はないが、若くしてイングランドの名門マンチェスター・シティに青田買いされた過去を持つ。シティでは選手層の厚さから活躍できず、その後ノルウェー、アメリカ、フィンランド、ルーマニアのクラブでプレーした。

2023年夏にルーマニアのクルージュ時代の恩師だったダン・ペトレスク氏の肝煎りでKリーグの全北現代へ加入。途中加入ながら「クラブ史上最悪」とまで言われたシーズンの中で光るプレーを見せた。だが今季はグスタボ・ポジェ監督の構想から外れ、契約期間を半年残した7月に退団。現在はフリーの身にある。

約半年のブランクこそあるが、今冬は獲得に動くJリーグのクラブが出てくるかもしれない。国際経験が豊富であり、英語でコミュニケーションを取れる点もポジティブな要素だ。

画像1: (C)Getty Images

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ザカリー・エリヴォー

Zachary Herivaux

国籍:ハイチ
ポジション:MF
年齢:29歳
所属:ロード・アイランドFC(USA)

大阪府吹田市で生まれた186cmの大型セントラルMF。

展開力があり、攻撃的な位置でもプレー可能。母親が日本人で、3歳でアメリカへ渡り年代別代表などで活躍した。一時期は日本代表入りも噂されたが、2016年に父親の母国であるハイチ代表を選択している。ちなみに世界的なテニスプレーヤーの大坂なおみとは従兄弟の関係にある。

日本代表入りが騒がれたことで記憶しているサッカーファンの方も少なくないと思われるが、近年はアメリカ2部相当のUSLチャンピオンシップが主戦場。ハイチ代表も2021年以来招集がない。

キャリアの停滞期にあるのは否めないものの、USLチャンピオンシップでは着実に活躍しており、まだまだ衰える歳ではない。日本語も堪能であることから、今冬に獲得に興味を示すJリーグのクラブも出て来るかもしれない。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

タリク・カジ

Tariq Raihan Kazi

国籍:バングラデシュ
ポジション:DF
年齢:25歳
所属:フリー ※前所属 バシュンダラ・キングス(BAN)

近年南アジアにおいて成長著しいバングラデシュ代表の中心選手。上背は180cmあり、読みを生かしたディフェンスと効果的な縦パスを多用しチームに安定感をもたらす、インテリジェンスの高いCB兼右SBだ。

フィンランドで生まれ育ち、U-16〜19までフィンランド代表としてプレー。当時在籍していたFCイルヴェスではヨーロッパリーグにも出場していた。

2021年に父親の母国であるバングラデシュ代表を選択し、A代表デビュー。レスター・シティFCに在籍するMFハムザ・チョードゥリー(28)、カナダ代表から鞍替えしたMFシャミット・ショーム(28)らに続くバングラデシュ有力帰化選手のパイオニアとして道を拓いた。

代表入り前からバングラデシュの名門バシュンダラ・キングスFCでプレーしていたが、今年に入って給料未払いを理由に退団。現在はフリーの立場にある。

右SBとしては攻撃性能に劣るため、3バックの右が適正ポジション。年齢もまだ若く、今冬は獲得に動くJリーグのクラブが出てくるかもしれない。市場価値的にJ2〜J3のクラブが現実的か。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ジエゴ・マティアス

Diego Mathias de Almeida

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:26歳
所属:ブルスケFC(BRA)

今シーズンのブラジル・セリエC(3部)で活躍する左利きのストライカー。182cmとサイズに恵まれ、大きなストライドから左足のコントロールショットを放つ。

CFよりウィングストライカーに適性があり、その荒々しくもポテンシャルを感じさせるスタイルはベガルタ仙台に加入したばかりのFWハモン・ロペスを彷彿とさせる。

今シーズンは3部に降格したブルスケでリーグ戦25試合7ゴールと活躍。既に複数のスカウトの目に留まっており、今冬の移籍は確実とされる。

局面打開力はJリーグでも十分通用すると見られており、獲得に動くクラブが出てくるだろう。J2~J3のクラブであれば一気にブレイクする可能性も。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ファビーニョ

Fabio Augusto Luciano da Silva (Fabinho)

国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:26歳
所属:アメリカ・ミネイロ(BRA)

ブラジル人らしいテクニカルなドリブルで相手ディフェンス陣を切り裂くウィンガー。左右両足から繰り出されるシュートも魅力で、180cmとサイズもある。

実兄は湘南のFWルイス・フェリッピ(32)。兄は堅実剛健なCFだが、弟のファビーニョはよりムービングに特化した選手だ。

2024年にブラジル2部のアメリカ・ミネイロに加入。当初は主力選手として活躍していたが、今季は左膝と右足首の怪我で出場機会が激減。リーグ戦12試合3ゴールと活躍出来なかった。現在は完治しているものの、先日双方合意の元で今季限りでの退団が報じられた。

最新の市場価値は実力よりも低いと見られ、今冬はJリーグのクラブが獲得に動きそう。兄であるルイス・フェリッピから日本の情報を聞いていれば順応も早そうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

コナー・オトゥール

Connor Neil Kazuki O'Toole

国籍:オーストラリア、日本
ポジション:DF
年齢:28歳
所属:シドニー・オリンピックFC(AUS)

果敢なオーバーラップをウリとする178cmの左SB。

日本人の母とアイルランド人の父の元にシドニーで生まれ、現地でサッカーを始めた後、来日し成立学園高サッカー部に在籍した経歴を持つ。その後はブリスベン・ロアー、ニューカッスル・ジェッツ、シドニーFC、ウェスタン・ユナイテッドなどAリーグの各クラブでプレーした。

現在はオーストラリア2部相当のシドニー・オリンピックFCに在籍中。リーグでは月間ベストイレブンに選出されるなど着実に活躍しており、年齢的にもまだまだ活躍の余地はある。

かつてはU-23オーストラリア代表にも選出された実力者。今冬は左SB不足に悩むJリーグのクラブが獲得に動きそうである。

画像2: (C)Getty Images

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

筆者:yosuke

杜の都、仙台を中心に活動している20代。小学生の頃にアジアのエスニックなユニフォームデザインに魅力を感じ、独自に情報収集を開始。歳を重ねる毎にアジアサッカーの虜となる。FKでの得点が大好物だが、これまで10年以上のアマチュア選手キャリアの中で1度もFKを蹴ったことがない(なかなか蹴らせてもらえない)。またベガルタ仙台やソニー仙台、コバルトーレ女川といった地元クラブの応援にも熱を注いでいる。

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