1. トップ
  2. 27年前、奇抜なアニメOPが放った“60万の衝撃” ビジュアル系が「国民的名曲」になったワケ

27年前、奇抜なアニメOPが放った“60万の衝撃” ビジュアル系が「国民的名曲」になったワケ

  • 2025.11.29

「27年前、あの頃の街はいったいどんな音で満ちていたっけ?」

冬の空気が少しだけ乾き、コンビニの明かりがやけに眩しく見えた1998年のはじまり。ギャグと混沌が入り混じるアニメのオープニングで鳴り響いた一曲が、やがてその枠を越え、街へ、若者へ、日本中へと広がっていく。

PENICILLIN『ロマンス』(作詞:HAKUEI・作曲:PENICILLIN)――1998年1月15日発売

その圧倒的な存在感は、TBS系アニメ『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』の奇抜な世界観と相まって、当時のカルチャーを象徴する“事件”のように記憶されている。

気怠さと美しさが渦を巻く“ビジュアル系の特異点”

PENICILLINは1990年代後半のシーンにおいて、独自の立ち位置を貫いていた。華やかで妖艶、だけどどこか影をまとったスタイル。そこへHAKUEIの唯一無二の歌声が重なれば、ロックなのに耽美、激しいのに甘美という、矛盾すら飲み込む世界が立ち上がる。

『ロマンス』は、そうした彼らの個性がもっとも鮮烈に可視化された1曲だった。発売直後から広がった人気は勢いを止めず、最終的には60万枚以上を売り上げるヒットへと成長していく。

undefined
PENICILLINのボーカル・HAKUEI-1999年撮影(C)SANKEI

“声”がすべてを支配した、当時として孤高のサウンド

この曲の魅力の中心にあるのは、やはりHAKUEIのボーカルだ。伸びやかで艶やか、そしてどこか毒を含んだような質感。ロングトーンに宿る高揚感も、語尾に落ちる余韻も、ひとつひとつが鋭く、聴き手の感情を切り裂くように響く。

特に印象的なのがサビの「愛に気づいて下さい」の部分だろう。

冒頭の歌いだしから印象的なHAKUEIの歌い方を、カラオケで真似した人たちは少なくないはずだ。老若男女問わず、あの印象的なサビを歌えば、その場は一発で盛り上がった。

そして演奏はシンプルに聴こえるが、実は緻密でバランスの良い構成で設計されている。ギターは華やかさよりも旋律の流れを支える色気に重きを置き、ベースとドラムは硬質でタイト。ロックバンドとしての骨格を際立たせつつ、ビジュアル系ならではの“美しい歪み”を残したアレンジが、曲全体の世界観を強固にしていた。

90年代後半の空気を象徴した“特別なロマンス”

1998年といえば、ビジュアル系バンドがテレビに登場し、シーンが爆発的に拡大していった時期。『ロマンス』はその流れの中で、「個性が武器になる」時代の象徴のように輝いた。

激しさと繊細さが同居するPENICILLINの音は、当時の若者の揺れ動く心にぴたりと寄り添い、“日常の中でちょっとだけ非日常に触れるための曲”として長く愛され続けている。

もし、あの冬の空気を思い出したくなったら。コンビニの白い光と夜更けのテレビのざわめきを思い出したい夜があったら。『ロマンス』を再生してみるといい。時代がそっとよみがえり、あのとき胸に走った微かな痛みまで、きっと連れてきてくれる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。