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朝ドラに2度出演した“注目の女優”を抜擢「楽しみで仕方ない」“日常を描くこと”に定評のある脚本家が初挑戦

  • 2025.11.28
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森田望智 (C)SANKEI

2027年度前期のNHK連続テレビ小説が『巡る(まわる)スワン』に決定した。脚本を手がけるのはバカリズム、ヒロインには森田望智。朝ドラでバカリズム脚本が起用されるのは今回が初であり、ドラマファンの間では「新しい風が吹くのでは」「楽しみで仕方ない」と期待の声が広がっている。

本作は、人の暮らしの中にある小さな摩擦や会話に目を向ける物語になりそうだ。日常の断片を、特有のユーモアを交えて巧みに描くバカリズムの持ち味が、どのように朝ドラへ落とし込まれるのか注目したい。

森田望智、朝ドラ3作目にして初主演へ

Netflix『全裸監督』で体当たりの演技が話題となった森田望智は、その後も映画『さがす』、NHK夜ドラ『いつか、無重力の宙で』など話題作に出演。朝ドラ出演は『おかえりモネ』『虎に翼』に続く3作目で、今回が初のヒロインとなる。『虎に翼』で共演した伊藤沙莉も、森田の主演決定をSNSで祝福している。さらに、今回はオーディションではなくオファーでの起用という点からも、作品の世界観の中心で彼女の存在感が大きく発揮されることが期待される。

また、バカリズム作品の常連である夏帆や臼田あさみ、三浦透子、山田真歩、木南晴夏らの出演はあるのか。今後発表されるであろう共演者にも注目が集まる。

“何もない日々”が面白くなる理由:バカリズム脚本の魅力

舞台は長野県警佐和署。生活安全課で巡査長として働く主人公は、刑事ドラマのような犯人逮捕に憧れて警察官になったものの、実際の業務は悪徳商法やDV、ストーカーなどの防犯啓発が中心だ。事件を解決する華やかな活躍とは程遠く、不満を抱えつつも、個性豊かな同僚たちと日々をこなす。休日には友人と旅行に出かけるなど、生活はごく普通のOLと変わらない。

物語は、そんな彼女の日常を通して町の人々との交流や小さな変化を丁寧に描く、素朴で肩の力が抜けたストーリーになりそうだ。だが、平凡な日常の中に安心感と本音の可笑しみを描くのがバカリズム脚本の真骨頂である。それは原作・脚本・主演を務めた『架空OL日記』に顕著だ。

『架空OL日記』では、バカリズム演じる“どこにでもいるOL”の何気ない日常が描かれる。職場での会話の「あるある」感、壊れたハロゲンヒーター、上司のメガネが急にコンタクトになる。そんな小さな変化が、登場人物たちの喜怒哀楽を大きく揺らす。普通の会話と日常の温度感こそが、視聴者に親近感を抱かせる核になっている。

森田が演じる主人公もきっと同様に、朝ドラのヒロインとして“近くにいる誰か”のような存在になるはずだ。

一方でバカリズム脚本は、より大きなテーマを扱った作品でも魅力を発揮している。安藤サクラ主演の『ブラッシュアップライフ』では、平凡な女性が人生を何度もやり直す姿をコミカルかつ感動的に描き、市川実日子主演の『ホットスポット』では、中年男性が宇宙人であるという奇抜な設定を、温泉地での日常に巧みに落とし込んでいる。

これら2作はスケールの大きいテーマを日常目線で描いた作品だが、今回の『巡るスワン』はより日常の尊さに重心を置いた物語になるだろう。時代設定の詳細はまだ明らかにされていないが、舞台は現代と考えるのが自然だ。コロナ禍が描かれる可能性もあるが、描かれずとも、日常にある笑いと温かさを逃さず切り取ってくれるはずである。

現在好評放送中の『ばけばけ』と同様、朝から笑顔を届けてくれる作品になりそうだ。放送が待ち遠しい。


NHK 連続テレビ小説『巡るスワン』毎週月曜〜土曜あさ8時放送

ライター:山田あゆみ
Web媒体を中心に映画コラム、インタビュー記事執筆やオフィシャルライターとして活動。X:@AyumiSand