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「開始5分で号泣」“冒頭から魅せた”至高作…公開から7年、語り継がれる名映画

  • 2025.11.30

現代を生きる人々の“生きづらさ”や、光と影が折り重なる日常を鋭く映し出すヒューマンドラマには、観る者の価値観を静かに揺さぶる力があります。抱えた孤独、社会からこぼれ落ちてしまう弱さ、そして人と人とのつながり――私たちが目を背けがちな現実をすくいあげ、丁寧に描く作品だからこそ、深い余韻が残るのです。

今回は、そんな"現代社会を映し出すヒューマンドラマ"の第2弾として紹介するのが、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、海外でも高く評価された是枝裕和監督の傑作『万引き家族』(ギャガ)です。“家族とは何か”という問いを正面から投げかけ、多くの観客に衝撃と静かな感動を与えた本作は、まさに“現代を映すドラマ”の象徴ともいえる一本です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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映画の大ヒット御礼舞台あいさつに登壇した安藤サクラ(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『万引き家族』(ギャガ)
  • 公開日:2018年6月8日

映画『万引き家族』は、家族ぐるみで軽犯罪を重ねながら暮らす人々を通して、“家族とは何か”という本質を問いかけるヒューマンドラマです。高層マンションの谷間でひっそりと暮らすのは、治(リリー・フランキー)信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城 桧吏)、信代の妹・亜紀(松岡茉優)。家主であり治の母の初枝(樹木希林)の年金を頼りに、足りない生活費は万引きで補うという、社会の片隅での暮らしぶりでしたが、その日々はどこか温かく、笑いが絶えませんでした。

冬のある日、治と祥太は帰り道で寒さに震える幼いゆり(佐々木みゆ)を見かねて家に連れ帰ります。体に傷を負った少女の境遇を思い、信代は迷いながらも“娘”として迎え入れることを決め、6人の生活が始まります。やがてある事件をきっかけに家族は引き裂かれ、彼らが抱えていた“秘密”と“願い”が次々と明らかになっていきます。血のつながりよりも確かに感じられた温もりは、家族と呼べるものだったのか――その問いが静かに胸に残る作品です。

“開始5分で号泣”と称された名作

映画『万引き家族』は、SNSでも強烈な反響を呼びました。「開始5分で号泣」「納得の傑作」といった声は、序盤から観客の心をつかんだ証拠です。

ゆりの怯えた表情、祥太のまなざし、そして大人たちが見せる小さな優しさ。そのひとつひとつが胸を締めつけ、作品のリアルさをより強く際立たせていました。

最優秀主演女優賞を受賞の安藤サクラさんの快演

母・信代を演じた安藤サクラさんは、作品の感情の中心を支える存在です。社会の片隅で必死に生きる女性の複雑さを、優しさと荒々しさを同時に抱えながら表現し、そのリアルな演技が大きな評価を集めました。ゆりを迎え入れるときの迷いと決意が同時に宿る表情は、観客の心を深く揺さぶるシーンのひとつです。完璧ではないからこそ、本当の人間らしさを感じさせる信代。安藤さんはその葛藤と優しさを繊細に積み重ね、物語の奥行きをぐっと深めていました。

この演技が評価され、第42回日本アカデミー賞では最優秀主演女優賞を受賞。まさに“今の日本映画を代表する女優”であることを証明した作品でもあります。

映画『万引き家族』ぜひご覧ください!

映画『万引き家族』は、社会からこぼれ落ちてしまう人々の“痛み”と、そこに確かに存在する“愛”を丁寧に描いたヒューマンドラマです。血のつながりを越えて生まれた温もり、守りたくて選んだ嘘、そして変わらない願い――観る者の心を揺さぶる理由は、そこに“生きるリアル”があるからこそです。映画『万引き家族』ぜひご覧ください!


※記事は執筆時点の情報です