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「ただの不倫」「もう意味わからん」“美化された禁断の恋”に賛否も…だけど「最高だわ」不朽の名作ドラマ

  • 2025.11.18

恋愛ドラマの中でも、掘れば掘るほど深い闇と光を孕んでいるのが「不倫」をテーマにした作品です。人は誰もが“してはいけない”とわかっていながらも、心が揺れる瞬間を秘めています。その揺らぎを描くことで観る側もまた、自分の中の“弱さ”や“誠実さ”に気づかされるのかもしれません。

不倫ドラマが人気を集めるのは、愛と罪、過去と現在、そのあいだで揺れる人間の本音を映し出してくれるから。観る側もまた、登場人物たちの選択に共感し、憤り、そして“もし自分だったら”と考えを巡らせる。そんな感情の波が、作品に深い余韻を残すのです。

そこで今回は「不倫をテーマにした作品part2」5選をセレクト。本記事では第4弾として、時代を超えて語り継がれる、許されざる恋と葛藤を描いたドラマ――『昔の男』をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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TBSドラマ『昔の男』記者会見に出席した藤原紀香(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『昔の男』(TBS系)
  • 放送期間:2001年4月13日〜2001年6月29日
  • 出演者:藤原紀香、大沢たかお、富田靖子、阿部寛、黒谷友香、加藤貴子、鈴木一真 ほか

宝石店に勤める原あかり(藤原紀香)は、29歳の誕生日を目前に、仕事もプライベートも“これから”と思っていた矢先、かつて別れた恋人・池田嵐(大沢たかお)と再会します。嵐は一流の建築士として成功し、既に結婚していた。けれど、あかりの胸の中には“昔の男”が消えずに残っていたのです。

一方で、あかりには現在、婚約間近の公認会計士・北沢迅人(阿部寛)がいます。嵐との再会をきっかけに、あかりは“選びきれなかった過去”と“向き合えなかった現在”のあいだで揺れ始める。「昔の男」という存在、そして彼女自身が抱く“渇き”と“罪の自覚”が、やがて制御できない感情の奔流を生んでいきます。

恋愛とは、思い出とは、そして“許されざるもの”とは何か――重厚なテーマを背負った本作は、視聴者に静かに問いかけます。

「不倫を美化し過ぎ」「大人の不倫ドラマ」視聴者が感じた“重さ”と“リアル”

本作が放送された当時、視聴者には明確な賛否の声がありました。「不倫を美化し過ぎ」「ただの不倫」「もう意味わからん」という言葉には、“不倫への嫌悪感”が表れています。一方で「大人の不倫ドラマ」「昨今のドラマにはあまりない重厚さを感じた」という感想も目立ちました。どこか薄く、軽くなりがちな恋愛描写に対し、ドラマ『昔の男』は“時間の重み”と“過ちの深さ”を持って向き合ったのです。

不倫をテーマにしながらも、ただのスキャンダル劇ではなく、人生の裏側にある人の弱さや哀しみを描いたからこそ、視聴者は「美化し過ぎ」と感じたのでしょう。その一方で、「最高だわ」「中毒性ある」と絶賛の声が相次ぎ、今なお不朽の名作として語り継がれています。

藤原紀香さんが体現した“選ばれなかった愛”の残響

主演を務めた藤原紀香さん演じる原あかりは、美しさを武器にしながらも、その存在意義や愛のかたちに疑問を抱える女性でした。紀香さんは、その役柄に内面の複雑さや痛みを丁寧に宿らせ、単なる“不倫の当事者”を超えた“愛を欲する人間”として見せてくれました。視線の交錯、揺らぐ表情、沈黙の中の決断—―そのひとつひとつに、彼女の演技の真摯さが感じられます。この作品を通じて、紀香さんは“選ばれなかった愛”を背負う女優としての存在感を強く刻んだと言えるでしょう。

もしあなたが、“恋とは何か”“過去とは何か”“許されざるとは何か”を考えたいなら、『昔の男』はその問いのひとつとして、確かに存在しています。『昔の男』ぜひご覧ください!


※記事は執筆時点の情報です