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「超えるドラマはない」放送終了から3年、“異質な脚本”で魅せたNHK作品…「唯一無二の大傑作」絶賛相次ぐワケ

  • 2025.12.6

ドラマの中には、見るたびに心が動かされ、見終わったあとも長く印象に残る作品があります。今回は、そんな中から"感動を呼んだNHKドラマ"を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、ドラマ『しもべえ』(NHK総合)をご紹介します。スマホのアプリから現れる"無言のおじさん"と女子高生の不思議な交流――笑いと涙、そして奇跡が詰まった青春ドラマとは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画「胸が鳴るのは君のせい」公開記念舞台あいさつ 白石聖(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『しもべえ』(NHK総合)
  • 放送期間:2022年1月7日~3月25日
  • 出演:安田顕 (しもべえ 役)

鴨志田ユリナ(白石聖)は、母・康子(矢田亜希子)と二人暮らしをしている17歳の女子高生です。明るくのんきな性格で、将来のことをあまり深く考えない今どきの高校生でした。そんなある日、スマホで見つけた「しもべのしもべえ」というアプリを何気なくダウンロードしたユリナ。その日から、彼女が困ったときに必ず助けてくれる、“無言のおじさん”(安田顕)が現れるようになります。柄の悪い男子に絡まれたときも、カフェで支払いに困ったときも、そのおじさんはどこからともなく現れ、ユリナを助けては、何も言わずに去っていくのでした。

その存在にユリナは戸惑いながらも、どこか安心感を覚えるようになっていきます。

そんなある日、ユリナの高校に転校生の佐々木辰馬(金子大地)がやって来ます。彼は子どものころに仲が良かった“タッチャン”でしたが、久々の再会に喜ぶユリナとは対照的に、辰馬はユリナを覚えておらず、そっけない態度を取ります。ショックを受けたユリナでしたが、この出来事をきっかけに、かつて抱いていた「医者になりたい」という夢を思い出すのでした。今の成績では到底難しいとわかりながらも、ユリナは夢に向かって一歩を踏み出します。

その後も、謎のおじさん・しもべえに助けられながら、友人の亜紀(矢作穂香)や多田(内藤秀一郎)とともに、学校生活を送るユリナ。彼女は果たして“夢”を叶えることができるのでしょうか――。そして、謎の人物・しもべえの正体とは――?

"無言のおじさん"が見守る青春――NHKが挑んだ異色ドラマ

NHKドラマ『しもべえ』は、村田ひろゆきさんの同名漫画を原作とした、笑いと涙、そして少しのファンタジーが溶け合った青春ドラマです。スマホのアプリから現れる“無言のおじさん”と女子高生の交流を軸に、現代の若者が抱える不安や葛藤、そして成長が丁寧に描かれています。

脚本は荒木哉仁さんと遠山絵梨香さん、演出は山内大典さんと紙谷楓さんが担当。NHK総合「ドラマ10」枠で2022年1月から全8話が放送されました。

主演の安田顕さんが演じるのは、言葉を発さずにヒロインのピンチを救う謎のおじさん・しもべえ。女子高生・鴨志田ユリナ役を白石聖さんがつとめ、そのほかにも、金子大地さん(佐々木辰馬役)、矢作穂香さん(北島亜紀役)、内藤秀一郎さん(多田礼央役)、矢田亜希子さん(鴨志田康子役)らが出演。青春の悩みや夢、家族との関わりなど、登場人物たちの等身大の姿が丁寧に描かれました。

ヒロインの白石聖さんには、「可愛い」「ナチュラル」「清純な女優さん」といった声が多数寄せられました。自然体の演技で「見るだけで元気をもらえる」「素直でまっすぐな役がぴったり」と評され、彼女の透明感が作品全体を柔らかく包み込んでいます。

本作は、奇想天外な設定の中に“見守る大人の優しさ”や“前へ進む勇気”といったメッセージが込められた、NHKらしいヒューマンドラマです。

2022年9月には、続編となるプレミアムドラマ『しもべえ 特別版』全8話がNHK BSプレミアム・BS4Kで放送。前作から10年後を舞台に、新たな視点から"しもべえ誕生の真実"が描かれました。堀未央奈さん演じる雑誌記者・明日香が病を患い、医師となった辰馬(金子大地)から「しもべえが奇跡を信じさせてくれた。しもべえを調べてみて」と告げられ、しもべえの存在の謎に迫っていくという物語です。

ユーモアと感動、そしてファンタジーが絶妙に溶け合った『しもべえ』は、NHKが手がけた青春ドラマの中でもひときわ異彩を放つ一作――奇抜な設定の中にも人間らしい温かさがあり、笑って泣ける物語として今も多くの視聴者に愛されています。

「唯一無二の大傑作」――絶賛の声が相次ぐ作品力

「唯一無二の大傑作」と称される本作の最大の見どころは、安田顕さんが演じる"無言のおじさん"しもべえの圧倒的な存在感です。セリフを一言も発さないまま、表情と仕草だけで感情を伝えるその演技は、まさに"無言の怪演"といえるでしょう。

SNSでは「安田顕の顔芸が大好き」といった声が多く寄せられ、異色ながらも愛されるキャラクターとして大きな話題に。特に最終話では、言葉を超えた“存在そのものの演技”に多くの視聴者が胸を打たれました。

一方で、「話数が少なくて物足りなかった」と惜しむ声も…。物語が濃密だった分、登場人物たちの行く末をもっと見届けたいという思いが残ったのかもしれません。

本作のテーマは、世代を超えて支え合う“無償の優しさ”です。しもべえは、若者のピンチを黙って助けるだけでなく、見返りを求めず、言葉ではなく行動で導く謎の人物――。その姿は、現代社会における“理想の大人像”ともいえるでしょう。

キャスト陣もスタッフも最高!」「何度観ても飽きない」「最初から見直したい最高のドラマ」「珠玉の名作」「ドラマ史に残る傑作」といったコメントが並ぶのも納得です。

奇抜な設定の裏に、温かな人間ドラマが息づく、ドラマ『しもべえ』。登場人物たちが紡ぐ絆と再生の物語は、まさに“感動を呼んだNHKドラマ”と呼ぶにふさわしい一作です。


※記事は執筆時点の情報です