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「ドラマ界の革命を起こした」9年前、社会現象を巻き起こした“伝説の作品”2025年現在も再視聴される魅力

  • 2025.11.18

新垣結衣と星野源が共演し、社会現象を巻き起こした2016年10月期のTBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。海野つなみの同名漫画を原作に、“契約結婚”というユニークな関係から始まるラブコメディでありながら、家事や労働、ジェンダー、愛のかたちといった現代的テーマを優しく描き出した作品だ。

仕事にも恋にも不器用な主人公・みくり(新垣結衣)と、真面目で不器用な会社員・平匡(星野源)が織りなす“偽装から始まった本当の恋”が、多くの視聴者の共感を呼んだ。恋愛観や働き方が多様化する今、改めて見返したくなる『逃げ恥』の魅力をひも解いていきたい。

平成時代の社会現象ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』

主人公・森山みくり(新垣結衣)は、大学院で臨床心理士の資格を取得するも、就職活動はうまくいかず。派遣社員となったものの派遣切りに遭い無職に。そんな状況のみくりを見かねた父親が、娘のために家事代行の仕事を取り付けてくる。そこで出会ったのが、システムエンジニアの津崎平匡(星野源)だった。

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新垣結衣 (C)SANKEI

平匡は誠実で優秀だが、人との距離感を掴むのが苦手。恋愛経験はゼロ。そんなふたりが“仕事としての契約結婚”という、いかにも合理的な形で一緒に暮らし始めることに。物語のスタートからして平成の恋愛観とは一線を画していた。

家事のプロフェッショナルとして完璧に仕事をこなすみくりと、彼女の存在に戸惑いながらも安心を覚える平匡。最初はあくまで契約として距離を保とうとする二人だが、共に食卓を囲み、日々の生活を積み重ねる中で、少しずつ心の距離が縮まっていく。みくりが作る食事や、仕事帰りに交わす何気ない会話が、人と暮らすことの温かさを思い出させる。そんな生活のリアルさに、多くの視聴者が共感を寄せた。

SNS上では、放送当時から「恋愛ドラマなのに社会派」「結婚や働き方を深く考えさせられる」と話題に。「ハッとさせられるセリフが多い」「距離感が理想」「ドラマ界の革命を起こした」といった声がX(旧Twitter)を中心に広がった。

物語が進むにつれ、みくりと平匡の関係は契約から信頼、そして本物の恋へと変化していく。恋愛感情を論理的に整理しようとする二人のやり取りはユーモラスでありながら、誰もが一度は感じたことのある距離の難しさを映していた。2人のムズがゆくもキュンとする展開に“ムズキュン”というワードも生まれた。

最終回では、2人の結末に多くの視聴者が感動。ネット上では「泣いた」「最高」「一番大好きなドラマ」「伝説のドラマ」など称賛の声が多数寄せられた。一方で、ドラマが終わってしまうことを惜しむ声も多く、“逃げ恥ロス”という言葉があふれた。

新垣結衣の絶妙な演技が共感を呼ぶ

主人公の森山みくりは、真面目で頑張り屋。時折、突拍子のない発言をするのは父親譲りだ。そして妄想する癖がある。そんなみくりを新垣結衣は、持ち前の可愛さでコミカルに演じ、視聴者を虜にした。もちろん、ただ可愛いだけではない。みくりは、恋に臆病で仕事に悩み、自分の存在価値を見つけられずにいる。そんな現代的な悩みを、繊細でリアルに演じ切った。

彼女の演技が評価されたのは、泣いたり笑ったりといった分かりやすい感情表現よりも、間の取り方や、微妙な気持ちの変化による表情の変化が絶妙だった点にある。平匡(星野源)との食卓での何気ない会話、言葉にならない戸惑い、ふとした微笑み。そのひとつひとつが自然で、視聴者に強い印象を残した。

みくりは単に恋する主人公ではなく、“仕事としての愛” “契約としての結婚” “感情としての恋”という、複雑な要素の間で揺れ動く女性。新垣結衣は、その理屈と感情の狭間を、決してオーバーにならず、ナチュラルに演じた。だからこそ、多くの視聴者、特に同世代の女性からの深い共感を得たのだ。

平匡(星野源)は“面倒くさいのに、なぜか放っておけない”魅力がある

津崎平匡は、超真面目で合理主義、曲がったことが嫌い。恋愛経験はゼロで、“プロの独身”と自負する典型的な絶食系男子だ。でも、その不器用さの裏には、深い誠実さと優しさが垣間見える。必要以上に自分の気持ちを説明しない。でも、きちんと相手の気持ちを考えている。その慎重さと真面目さが、視聴者には新鮮な魅力として映った。

特に、みくりに対して、急に距離を詰めたりせずに、ちゃんと尊重する、この態度が当時のドラマの男性像の中でも異質の存在だ。なのに、時々見せる嫉妬や、感情がコントロールできなくなってしまう瞬間が、余計にギャップとして目が離せなくなる。そして、クライマックスで少しずつ殻を破っていく平匡の変化は、視聴者に「見守りたい」「頑張れ!」と思わせるのだ。

ドラマだけでなく『恋ダンス』も社会現象に

『逃げ恥』を語る上で欠かせないのが『恋ダンス』だ。ドラマのエンディングに星野源が歌う主題歌『恋』に合わせて出演者が踊る恋ダンスは瞬く間に広がり、社会現象となった。YouTubeやSNSには視聴者による『恋ダンス踊ってみた』動画がアップされ、一大ブームを巻き起こした。「簡単そうに見えて意外と難しい」「癒される」「大好き」などのコメントが挙げられている。

そして、『逃げ恥』で共演した新垣結衣と星野源は、2021年1月に放送されたスペシャルドラマの撮影終了後に結婚を前提とした交際をスタート。2021年5月に結婚を発表し、実生活でも夫婦となった。

『逃げ恥』は“契約から始まった関係が、いつの間にか本当の恋になる”という、普遍的かつ今の時代にも通じるテーマ。そのため、平成を代表するドラマでありながら、令和の今もなお再視聴する人が後を絶たない。恋愛や結婚、働き方の価値観が多様化する時代だからこそ、みくりと平匡がたどりついた2人の関係性のあり方に共感する人が増えているのだ。


※記事は執筆時点の情報です。