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1年前“単独初主演”を飾った期待の俳優「最強アクロバティック」特撮ファンも沼る『赤影』で見せた“演技の振り幅”

  • 2025.11.20

深夜枠の特撮ドラマ『仮面の忍者 赤影』に、ダンス&ボーカルグループ・FANTASTICSの佐藤大樹と木村慧人が出演している。忍者というと、寡黙で硬派、影のように気配を消して粛々と任務を遂行する存在を想像するかもしれない。しかし、彼らが演じる赤影(佐藤大樹)と青影(木村慧人)は、様子が違う。赤影は極度の人見知りで忍者らしからぬ人情を併せ持ち、対する青影は、ひとことで言えば“笑顔が可愛すぎる忍者”だ。

伊賀忍者の弟子という背景と、“前向きさ”という武器

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『仮面の忍者 赤影』第4話より(C)テレビ朝日

第一話で赤影と青影が一触即発となる場面でも、木村演じる青影は柔らかな物腰と表情で、張り詰めた空気を和らげてみせた。戦闘シーンでも身軽に跳ねるような動きと、明るく天真爛漫なセリフ回しが印象的で、まるでアクションのなかに日常の“ほっこり”を差し込んだような絶妙な存在感を放っている。SNSでは「笑顔可愛すぎ」「まさかの優しい忍者」「可愛いお顔で最強アクロバティック」といった声が続出。特撮の世界観にも一種の“アイドル性”が見事に溶け込んでいるのが、彼らが体現するキャラクターの新しさだ。

木村演じる青影は、実は伊賀忍者・百地三太夫の弟子という確かな実力者。その設定だけでも忍者ファンの胸は躍るだろうが、それ以上に、彼の魅力は“危機的状況でも前向きでいること”にある。味方が劣勢に立たされても「だいじょーぶ!」と声をかけるその明るさが、視聴者にとっての癒しと救いになっている。

忍者という存在にありがちな“ストイックさ”や“無口なプロフェッショナリズム”とは一線を画し、青影は“希望”や“軽やかさ”を帯びた存在として描かれている。とくに、巨大怪獣・千年蟇との激戦では、仲間の白影(加藤諒)とともに戦いながらも、視線の端々に“仲間を守る意思”がにじみ出ていた。戦闘能力だけではない、心の強さが滲み出る演技。そこに木村慧人という俳優の特質が見える。

多面性を持つ俳優・木村慧人の“これまで”が活きる瞬間

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『仮面の忍者 赤影』第4話より(C)テレビ朝日

木村慧人はこれまで、実に多彩な役柄に挑戦してきた。『飴色パラドックス』ではBLドラマのW主演を務め、2024年には『さっちゃん、僕は。』でテレビドラマ単独初主演。ほかには『顔に泥を塗る』でジェンダーフリーな大学生を演じるなど、型にはまらないキャリアを積み上げてきた。

その演技力は、単なる“イケメン枠”を軽やかに超えている。自分が演じるキャラクターの内面に寄り添い、その人間らしさや弱さ、芯の強さを見事に表現してきた。だからこそ、今回の“天真爛漫なのに、芯の強い忍者”という役どころにも、違和感なく入り込める。

青影は、ときに軽口を叩きながらも、本質的には仲間を守り、信念を貫く男だ。そのギャップが、視聴者の心を掴んで離さない。木村慧人の過去作を観ている人ほど、その“振り幅”にあらためて感じ入るのではないだろうか。

特撮ファンもアイドルファンも“沼る”要素満載の青影

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『仮面の忍者 赤影』第4話より(C)テレビ朝日

深夜帯で放送されていることもあり、“知る人ぞ知る”作品という趣が強い『仮面の忍者 赤影』。だが、アクロバティックなアクション、令和仕様のVFX、そして“まさかの癒し系忍者”という新解釈により、確実にジワジワとファン層を広げている。

青影というキャラクターは、特撮ファンにもアイドルファンにも響く希有な存在だ。特撮ファンにとっては、“忍者=クール”の固定観念を打ち破る存在として新鮮であり、またFANTASTICSファンにとっては、“あの木村慧人が刀を持って戦ってる”という驚きと誇らしさに溢れている。彼の演技は、今まさに、“忍者という役の概念”すら変えようとしているのかもしれない。


テレビ朝日系『仮面の忍者 赤影』毎週日曜 深夜0時10分 ※一部地域を除く

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_