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30年前、ドラマ主題歌に刻んだ“直球の愛” 主演俳優が自ら作詞作曲した“勇気の一曲”

  • 2025.11.24

「30年前の秋、どんなドラマを見ていた?」

社会の空気が少しずつ変わり始め、どこか落ち着かないムードが漂っていた1995年。街の明かりが滲む夜、仕事を終えた人々が家路を急ぐ中、テレビから流れてきたのは、軽やかなリズム、駆け抜けるようなメロディ、そして真っすぐな言葉。それは、誰かを想う気持ちをエネルギーに変えて、明日へ進むための歌だった。

織田裕二『愛までもうすぐだから』(作詞:織田裕二、真名杏樹・作曲:織田裕二、井上慎二郎)――1995年11月8日発売

織田裕二が主演をつとめたフジテレビ系ドラマ『正義は勝つ』の主題歌として書き下ろされたこの曲は、“信念”と“恋”を同じテンポで走らせるようなポップチューンだ。

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織田裕二。映画『就職戦線異常なし』の撮影より-1991年撮影(C)SANKEI

風を切るように響いた、あのイントロ

“I WANT YOU, I NEED YOU”というストレートなフレーズ。織田の歌声からはじまる曲の冒頭。この潔いシンプルさこそ、90年代のポップスの真骨頂だった。その直後の間奏は、まるで夜の街を駆け抜けていくような疾走感に包まれる。ホーンセクションとギター、オルガンが重なっていく冒頭のサウンドは、思わず心が弾んでいく。

織田のボーカルは力強くも伸びやかで、聴く人の背中を押すような前向きさがある。愛を求めながらも立ち止まらない。そのまっすぐな歌声は、彼が演じていたドラマのキャラクター像にも自然と重なっていた。

ドラマの終わりに流れた“勇気の一曲”

ドラマ『正義は勝つ』は、理想と現実の間でもがく若き天才弁護士の物語。正義を信じながらも葛藤し、傷つきながら進む主人公の姿に、多くの視聴者が共感した。

エンドロールで流れるこの曲は、「戦う日々を支える応援歌」のように聴こえた。歌詞には、立ち止まってもまた歩き出す強さ、そして迷いながらも誰かを想う人の誠実さが描かれている。「今夜がはじまりだから」という一節が象徴するように、これは“終わり”ではなく“スタート”の歌なのだ。

俳優として、アーティストとして

織田裕二は、俳優としてだけでなく、自ら作詞・作曲に関わる音楽人でもある。この曲でも、井上慎二郎との共作によって生まれたメロディは、彼らしい直球勝負の魅力に溢れている。

サウンド全体が軽快でありながら、どこか大人の余裕とロマンが漂う。共作の真名杏樹による歌詞もまた、映像的でドラマチック。「川(River)」「雨」「風」などの自然のモチーフを散りばめながら、感情の揺れを鮮やかに描き出している。その世界観が、ドラマの情景とリンクしながら、より深い余韻を残した。

今も色あせない“90年代の風”

90年代半ばの中で『愛までもうすぐだから』は、軽やかで都会的なロック・ポップスとして異彩を放っていた。派手ではないが、心にスッと入り込む。そんな清涼感のある一曲だ。

30年経った今聴いても、イントロのリズムが鳴り出した瞬間、自然と前を向きたくなる。疲れた心に風を通すような爽やかさ。この曲は、あの時代の“勇気のサウンドトラック”として、今も静かに息づいている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。