1. トップ
  2. ファッション
  3. 「ハイヒールがアウトレットから消える?」老舗ブランドの“方針転換”にSNS衝撃!!加速する「ヒール離れ」と市場のリアル

「ハイヒールがアウトレットから消える?」老舗ブランドの“方針転換”にSNS衝撃!!加速する「ヒール離れ」と市場のリアル

  • 2025.10.16

えっ!ハイヒールがアウトレットから消える!?

ハイヒールがアウトレットから消える!?
ハイヒールがアウトレットから消える!?

2020年代に入り、ファッションの主役は「コンフォート(快適さ)」へと大きくシフトしています。この大きな潮流を象徴する衝撃的な投稿が、X(旧Twitter)上で拡散され、女性を中心に大きな話題を呼んでいます。

老舗婦人靴ブランドのアウトレット店員から、「今シーズンからハイヒール(高ヒール)は定番品しか作らず、アウトレットに出回らなくなる」と聞いたというユーザーの投稿が、瞬く間に100万ビューを超える大反響となったのです。

この「ハイヒール消滅」とも受け取れる方針変更は、公式な発表ではないものの、「みんな本当にヒールの靴履かなくなったよね」という投稿者の実感に、多くのユーザーから共感が殺到しました。パンデミック以降の在宅ワーク増加、足の健康意識の高まり、そして職場での「ヒール強制」への批判といった社会的な背景が、この「ヒール離れ」を加速させていることは間違いありません。

グローバル市場のリアル:成長の裏で「高ヒール」は特別な存在に

では、本当にハイヒール市場は縮小しているのでしょうか。

グローバル市場で見ると、ハイヒールシューズ市場自体は2024年に436億米ドル規模と推定されており、今後も年平均成長率(CAGR)3.1%で成長を続けるという予測があります(Business Research Insights)。

しかし、この市場成長をけん引しているのは、従来の細いスティレットなどの高ヒールではありません。市場データの分析では、2024年現在、消費者の約60%がデザインとともに「快適さ」を優先しており、低ヒール(3~5cm)やブロックヒール、プラットフォームヒールといった安定感のあるシューズが主流となっているのです。実際、カネマツの新作コレクションも、ローヒールやフラットシューズが中心のラインナップとなっている傾向が見受けられます。

この背景には、国内の動向も影響しています。日本の高級履物市場は2024年に18.7億米ドル規模と推計されますが、今後成長する中(2033年には27.1億米ドル予測)、シェアを拡大しているのは、高ヒールよりも履き心地のいいスニーカーやフラットシューズ、あるいはサステナブル素材を採用した機能性シューズです。

老舗ブランドが「定番品のみ生産」にかじを切るのは、売れ残る非定番の高ヒールを削減し、在庫効率を高めようという、業界全体の「快適性シフト」への適応策と言えます。アウトレット店員の話は、まさにその変化を象徴しているのではないでしょうか。

ファッションの流行も「コンフォート×エレガント」へ

ファッションの流行も、この流れを後押ししています。2024年秋冬のランウェイトレンドは、バレエフラットやローファーが主役の「コンフォート優先」です。ヒールがあっても、安定感のあるチャンキーなブロックヒールや、低めでエレガントなキトゥンヒールが中心で、高ヒールは「特別な日限定」のアイテムとして位置づけが変化しています。

Xのコメントでも「コロナでヒール筋肉が落ちてスニーカー派に」「楽すぎて戻れない」といった肯定的な意見が約7割を占める一方、「カネマツの9cmヒール愛用中。困る」といった愛用者からの悲鳴も上がっています。

今回の老舗ブランドの「方針転換」の話題は、ハイヒールが「日常の主役」から「特別な日の脇役」へと完全に地位を交代した、現代ファッション界の大きな変化を象徴する出来事と言えるでしょう。高ヒール愛用者の方々にとっては、アウトレットに残る「在庫」が最後のチャンスになるかもしれません。

(足立むさし)

元記事で読む
の記事をもっとみる