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十五夜だけの「片見月」は縁起が悪い?実は“2回”お月見をするのが暗黙のルール!?日本の伝統と月見団子の秘密

  • 2025.10.7

「中秋の名月」とは?

旧暦8月15日が「中秋の名月」。今年は10月6日にあたります。美しい月を眺めましょう。
旧暦8月15日が「中秋の名月」。今年は10月6日にあたります。美しい月を眺めましょう。

「中秋の名月」とは、旧暦(明治5年まで使われていた暦)の8月15日の夜に見える月のこと。旧暦では7月から9月が秋とされ、8月15日は秋の真ん中にあたるため「中秋」、月が1年で最も美しいことから「中秋の名月」と呼ばれるようになったとか。ちなみに「十五夜」は本来、旧暦で毎月15日の夜(月齢15日の月)のことを指していましたが、いつの頃からか特に旧暦8月15日の月を指して「十五夜」と呼ぶようになったと考えられています。

なお、「中秋の名月(十五夜)」は満月を愛でるというイメージを持っている人は多いと思いますが、実は必ずしも満月であるとは限りません。十五夜当日が満月だったのは直近では2023年。今年は十五夜の翌日(10月7日)が満月です。十五夜当日からリアル満月まで、2夜連続でお月見が楽しめてラッキーですね。

月見団子の由来と意味

十五夜に月見団子を食べる理由
十五夜に月見団子を食べる理由

さて、「中秋の名月(十五夜)」の月見に欠かせない食べものと言えば「月見団子」でしょう。お月見に団子を供えるようになったのは江戸時代になってからと言われ、それまでは十五夜(旧暦8月15日)は芋、1カ月後の十三夜(旧暦9月13日)には豆や栗が供えられていたそう。その名残りで、十五夜は「芋名月」、十三夜は「豆名月」「栗名月」とも呼ばれています。

農作物の収穫時期とも重なることから、その年の豊作に感謝し、翌年の五穀豊穣を祈願する意味で、収穫したばかりの農作物や米で作った団子を神さまへお供えするようになったのでしょう。「月見団子」は感謝と幸せを分かち合う、日本の素敵な風習を象徴する食べものと言えそうです。

関東と関西で違う月見団子

この「月見団子」ですが、関東と関西でカタチが違うのをご存知でしょうか。関東では月のように丸いシンプルな団子を、十五夜にちなんで15個積み上げたり、1年に訪れる満月の数に合わせて12個(うるう年は13個)積み上げるのが伝統的なスタイル。一方、昔は団子ではなく里芋をお供えしていた名残りで、関西では里芋をイメージした楕円形の団子に、あんこを巻きつけたスタイルが親しまれています。雲がかかった月をイメージしている、「きぬかつぎ」と呼ばれる皮付きの蒸した里芋を表現しているなど諸説あります。

月見団子以外のお供えもの

よく月見団子と一緒に、ススキがお供えされていますよね。ススキが実った稲穂に似ていることから、豊作を願って飾られるようになったとか。また、ススキのトゲは災いや病から家族や作物を守ってくれる魔除けの力があると信じられてきたようです。

ほかには、秋の果物を代表するブドウをお供えする場合も。ブドウのようにツルがあるものは人と人のつながりを強くする縁起の良い食べものと考えられているそうです。秋に収穫期を迎える食べもの、月のように丸いカタチをした食べものすべてが、お月見の縁起物と考えても良いかもしれませんね。

十五夜の後は「十三夜」も忘れずに

なお、十五夜にお月見をしたら、十三夜にもお月見をするのが古くからの暗黙のルール。一方のみのお月見は「片見月」と言って縁起が悪いとされています。今年の十三夜は11月2日(日)です(満月は11月5日)。覚えておきましょう。

お供えものはおいしくいただこう

お月見の楽しみ「月見酒」。お米の収穫に感謝して味わいましょう。ブドウの収穫にちなんでワインで月見酒もいいですね
お月見の楽しみ「月見酒」。お米の収穫に感謝して味わいましょう。ブドウの収穫にちなんでワインで月見酒もいいですね

お月見でお供えした食べものは、私たちもいただくことで、神さまのパワーを自分たちの体に取り込み、健康や幸せを得られると考えられてきました。月見団子、里芋の煮っころがし、栗ごはん、ブドウ、月見酒、卵を月に見立てた月見蕎麦(そば)などなど…。美味しい食べものをいただける幸せに感謝しながら、秋の夜長のお月見を楽しみましょう!

※参考文献)電子辞書版『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、電子辞書版『角川俳句大歳時記』角川学芸出版,2013、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目電子辞書版』ブリタニカ・ジャパン,2018

(野村ゆき)

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