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スタイリスト・近田まりこさんにとって「美しいもの」とは。

  • 2025.10.6

「美しい」を見つめ直すためのヒントを探った、&Premium143号(2025年11月号)「美しい、ということ」より、スタイリスト・近田まりこさんの暮らしに寄り添う"美しいもの"を特別に紹介します。

拾ってきた石。今はやめてしまったが30代の頃は石を拾うことにハマっていた。「自然のなかは本当に美しいものだらけ。 植物も昆虫も雲も雨も……。生物はもちろん、無機物が放つ詩的な波動もたまりません」
竹筒に入った耳かき。かなり昔にアジアの旅行先で購入した気がするという、竹のケースに入った耳かき。「蓋を開けて取り出す動作は詩の行間を読んでいるようでもあります。道具として便利かつ美しくあれ、と作られています」
<無印良品>のほぐしテトラ。第一印象は「愛嬌がある」だった。デザインも機能にも満足。長く使ううちに「数字の持つ美しさーその 奥にひそむ詩のようなものーと共通する何かを感じるようになった」という〈無印良品〉のツボ押し。

近田まりこさんにとって「美しいもの」とは。

出典 andpremium.jp

〝美しいもの〞というお題をもらったときにまず思ったのが、最近は詩のようなものに格別な美しさを覚えるということでした。詩は言葉を使いながら、言葉では出来上がっていない世界の様相を映し出します。同じように、ものにも言葉ではないけれど、ロゴスや物語性を宿す美しさがたくさんあります。けれど、それも超えて、感覚が広がったり、世界や宇宙に触れたり、説明できない何かを感じたりするものもある。人が作った音や香り、形や手触り、舌触りのなかにも、詩はひそんでいます。ここで取り上げた3点もそう。耳かきがケースに入っているときのカラカラという音、数字の持つ美を説明できそうなツボ押しの形、手のひらサイズの石の中に、世界や宇宙がすっぽりと入っているような感覚、そして、一方向に流れるだけではない時間を内包しているような波動。それらは詩の世界観と通じ、捉えどころはないものの、確実に存在してる美の気配を感じ取ることができます。

近田まりこ
スタイリスト

1980年代から’90年代にかけて雑誌『オリーブ』の人気スタイリストとして活躍。雑誌やCMなどでスタイリングを行い、独特の世界観をつくり出している。

photo : Satoshi Yamaguchi edit & text : Wakako Miyake

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