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25年前、日本中が“轟音に心を預けた”70万枚の衝撃 ノンタイアップで大ヒットしたワケ

  • 2025.11.12

「25年前の夏、どんな音があなたの鼓膜を揺らしていた?」

ミレニアムの幕開けに浮き立つ街の中で、GLAYは“沈黙の代わりに轟音”を選んだ。派手なタイアップも宣伝もない――ただ純粋に、音だけで勝負するように放たれた一曲がある。

GLAY『MERMAID』(作詞・作曲:TAKURO)――2000年7月19日発売

ノンタイアップながら、70万枚を超えるセールスを記録。タイアップに頼らずとも音が人々を動かす、その証を突きつけた作品だった。

叫びではなく“音の意志”で走る

『MERMAID』が放たれた2000年、GLAYはすでに国民的バンドの座を確立。ポップな大衆性とロックの理想を両立させた稀有な存在となっていた。そんな彼らが次に選んだのは、“祝祭”のあとに訪れる無骨なリアリティだった。

イントロから鋭く切り込むギターリフ。TERUのヴォーカルが炸裂するたび、TAKUROの書く旋律は重力を持って胸に沈み込む。“歌う”というより“叩きつける”ような構成は、まるでバンド自身の心拍そのものを可視化したかのようだった。

ノンタイアップで1位に立った理由

当時の音楽シーンでは、ドラマやCMとのタイアップがヒットの常識だった。だが『MERMAID』はそれらを一切持たず、初登場でランキング1位を獲得する。この曲には、それだけの強い「必然のエネルギー」があった。

当時の日本は、まだ“90年代の熱狂の余韻”の中にあった。まだ時代が静かに新しい世紀へと歩み出そうとしていたとき。その空気を真っ向から切り裂くように鳴った『MERMAID』は、まさに「00年代の開幕宣言」のようだった。

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2014年、アルバム『MUSIC LIFE』視聴会に登場したGLAY(C)SANKEI

“ポップバンド”では終わらない証明

TAKUROが描いた旋律には、光と影が共存している。彼が得意とする叙情的メロディの裏側に、人間の痛みや生々しさをそのまま音に変える力が潜んでいた。

ギターのHISASHIが構築するリフの鋭さ、JIROの低音が引き締めるグルーヴ、TERUの声がそのすべてを束ねる。この一体感が『MERMAID』を、ただの“ハードロックナンバー”では終わらせなかった。

当時のライブでも、この曲は序盤のキラーチューンとして演奏されることが多かった。ステージの照明が赤く染まる瞬間、観客の心拍がバンドの鼓動とシンクロする――そんな感覚を体験した人も多いはずだ。

あの夏の“音の塊”が、今も鼓動している

25年の時を経ても、この曲のイントロを聴くだけで、胸の奥がざわめく。スタジアムの熱、汗、光、そしてひとつになった歓声。あの頃の“音の勢い”を、そのまま抱きしめていたのが『MERMAID』だった。これこそがロックでもなく、ポップでもなく、“GLAY”というジャンルを貫いた証だ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。