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20年前、日本中が震えた「完璧じゃなくていい」未来サウンド 混沌を光に変えた“革命のビート”

  • 2025.11.10

「20年前の秋、あなたはどんな音を聴いていた?」

2005年。携帯電話で音楽を聴く時代、街のあちこちに新しいビートが溢れていた。ロックもヒップホップもポップスも、ジャンルの境界があいまいになり、音楽は“形を決めない自由”へと向かっていた。そんな時代の空気を切り裂くように現れたのが、この一曲だった。

UVERworld『CHANCE!』(作詞・作曲:TAKUYA∞)――2005年10月26日発売

彼らにとって2枚目のシングルとなったこの曲は、ゲームソフト『BLEACH 〜ヒート・ザ・ソウル2〜』の楽曲としても知られている。アニメやゲームカルチャーが新たな熱を帯びていた当時、その勢いとシンクロするように、UVERworldのサウンドはまるで「未来の音」を鳴らしていた。

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2024年、映画『UVERworld KING'S PARADE 男祭り REBORN at Nissan Stadium』の公開記念舞台あいさつに登壇したUVERworld(C)SANKEI

駆け抜けるような音の“衝動”

イントロから響く四つ打ちのリズム。ギターのリフが疾走し、シンセサウンドが鋭く切り込む。それは、ロックの激しさとデジタルの軽やかさが正面からぶつかり合う、まさに“次世代の衝動”だった。

この曲の中心にあるのは「混ざり合う勇気」だ。ラップもシャウトもメロディも、どれか一つに依存することなく、全てが“UVERworldという個体”として機能している。

TAKUYA∞のヴォーカルは、言葉を撃ち放つようでいてどこか繊細だ。声の中にある“体温”が、デジタルの冷たさを中和している。そのバランス感覚こそ、当時まだ新人だった彼らの特筆すべき個性だった。

混沌の中に宿る“希望の音”

『CHANCE!』というタイトルに込められた意味は単純ではない。これは、成功をつかむための“挑戦”ではなく、「現状を壊すための一歩」を指しているように思える。歌詞の一行一行に、迷いながらも前に進もうとするエネルギーが宿っている。だが、その“前向きさ”は決して明るさだけではない。痛みや孤独、そして不安を引き受けたうえでの“光”なのだ。

この複雑な感情構造が、聴く者にとっての共感を呼ぶ。TAKUYA∞が体現するのは「強さ」ではなく「もがきながら生きるリアル」。2000年代半ば、閉塞感に覆われた若者たちが、その声に救いを見いだしたのも自然なことだった。

“ミクスチャー”という言葉を超えて

UVERworldのサウンドはよく“ミクスチャー”と呼ばれる。だが、『CHANCE!』で提示された世界観は、それ以上に有機的だ。ヘヴィ・ロックの骨格に、ポップの旋律、ヒップホップ的なリズム構成が自然に溶け合い、結果としてまったく新しい形を生み出した。

日本語の美しさとリズム感を融合させた。日本語の“響き”で勝負したミクスチャーサウンド。まさに唯一無二。それが、彼らの革新だった。

時代を動かすのは、いつも“未完成”から

2005年の日本。街の明かりは少し冷たく、音楽の熱がどこか孤独だった。そんな中、『CHANCE!』が鳴り響いた瞬間、何かが確かに変わった。

「完璧じゃなくていい」「迷いながらでも進めばいい」――そう語りかけるようなビートが、あの時代の若者たちを支えていたのだ。この曲が放ったのは、“未来を信じる音”だった。そして今もなお、その衝動は鳴り止まない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。