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20年前、代々木公園→日本中へ駆け上った“奇跡”とは ギターと笑顔で勝負した2人の“飾らない素朴ソング”

  • 2025.10.29

「20年前の秋、あなたは“ギター2本の奇跡”を見た?」

2005年、渋谷や代々木の空気には、まだ“アナログの温度”が残っていた。SNSが今ほど日常ではなかった時代、音楽はまだ“人の手”から“人の手”へと伝わっていた。そんな時代に、ギターと笑顔で人々の心をつないだ2人がいた。

WaT『僕のキモチ』(作詞・作曲:WaT)――2005年11月2日発売

ストリートで活動し、ギターを抱えて夢を掴んだ2人組。テレビの向こうではなく、代々木公園の片隅から始まった“WaT”という物語は、このデビュー曲で一気に日本中へと広がっていった。

路上から始まった奇跡

ウエンツ瑛士と小池徹平。すでに俳優やタレントとして知られていた2人が、わずかな時間を使って趣味でストリートライブをしていた。『僕のキモチ』は、そんな彼らの“はじまり”をそのまま封じ込めたような曲だ。

アコースティックギターを中心に据えたさわやかなサウンド。飾らない歌声と、まっすぐなメロディ。聴く人の記憶をやさしく揺らす“青春の匂い”がそこにある。

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2004年、インディーズデビュー後の初コンサートをおこなったWaT(C)SANKEI

まっすぐすぎる歌が、心を動かした

この曲の最大の魅力は、「ありのままの気持ち」をそのまま歌にした純度の高さだ。音楽的に特別なひねりがあるわけではない。だが、その“素直さ”こそが当時のリスナーに響いた。

ウエンツの少しハスキーな声と、小池の透明感ある声が重なった瞬間、そこには偶然以上の化学反応が生まれていた。2人の声が描くハーモニーには、仲間のような温かさと、恋人のような切なさが共存している。

青春の終わりを前にした、どこか不器用で優しい情景。それは、2000年代半ばの“素朴な時代感”とぴったり重なっていた。

手の届く距離で生まれたスター

デビュー前から口コミでファンが増え、彼らのライブには多くの聴衆が集まった。CDリリース後は、まるでその“輪”が日本中に広がっていくように、チャートでも上位に食い込んだ。結果として、この曲はクォーターミリオン(25万枚)を達成し、年末には第56回NHK紅白歌合戦への出場も果たした。

紅白のステージで、緊張しながらも笑顔で歌う2人の姿は、多くの視聴者に鮮烈な印象を残した。

テレビの中にいても、彼らは“ストリートの延長線”に立っていた。その笑顔は、本気で音楽を楽しむ喜びに満ちていた。その自然体が、2000年代のポップシーンに新しい風を吹き込んだのだ。

“僕のキモチ”が残したもの

『僕のキモチ』は、単なるメジャーデビュー曲ではない。それは、誰もが持っている“伝えたい気持ち”へのエールのような歌でもあった。恋愛でも友情でもなく、“ただ誰かに想いを届けたい”という願い。当時、メールよりも手紙、動画よりも声が心に届いていた時代。その中でこの曲は、“言葉のぬくもり”を思い出させてくれた。

この曲を聴けば、誰もがあの頃の2人の笑顔を思い出すだろう。ギターを抱えて風の中に立ち、声を張り上げた若者たちの姿を。まっすぐすぎるほど真剣で、恥ずかしいくらい優しかったあの時代『僕のキモチ』は、その空気を今も閉じ込めたまま、静かに鳴り続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。