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「NHKどこまでやるの…」「本当に本当にお勧め」放送から4年、“鮮烈な輝きを放つ”至高ドラマ…「全て神回」視聴必至の傑作

  • 2025.10.21

多くの視聴者の心を掴んで離さず、熱狂的な支持を集める作品たち。観る者に深い感動と忘れられない体験をもたらす、特別な力を持っています。今回は、そんな“ファンの心を掴んだNHKドラマ”の第1弾として、2021年放送のドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』(NHK総合)をご紹介します。

本作は、名門国立大学を舞台に、広報マンが数々の不祥事に振り回される姿を描いたブラックコメディです。脚本は連続テレビ小説『カーネーション』などで知られる渡辺あやさんによるオリジナル作品。次々に巻き起こる大学の危機に翻弄される主人公を、松坂桃李さんが演じています。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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映画のティーチインイベントに登壇した松坂桃李(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』(NHK総合)
  • 放送期間2021年4月24日〜5月29日

イケメンアナウンサーとして活躍していた神崎真(松坂桃李)は、当たり障りのない発言だけを心掛けてきましたが、人気が低迷していました。そんな折、大学時代の恩師である三芳総長(松重豊)の誘いで、名門・帝都大学の広報マンに転身します。

着任早々、真は須田理事(國村隼)や鬼頭理事(岩松了)ら大学幹部に呼び出され、スター教授・岸谷(辰巳琢郎)の論文不正を告発した非正規研究者・木嶋みのり(鈴木杏)への対応を命じられます。みのりは大学時代にほんの一時期付き合った元カノでした。真は上層部の意向に従い、みのりに内部告発の取り下げを持ちかけられますが、彼女は毅然と拒否。大学内の隠蔽体質に次第に疑問を抱き始める真は、次々と起こる不祥事を通して、自分自身と向き合うことになります。

唸るほど刺さる脚本が生み出す独特の世界観

本作最大の魅力は、渡辺あやさんによる痛烈な社会風刺と緻密な人物描写です。SNS上では「NHKの底力」「ほんと攻めてる」「全て神回」「NHKどこまでやるの…」「本当に本当にお勧め」と絶賛する声が上がりました。

ドラマは、大学を舞台に現代日本社会が抱える数々の問題を浮き彫りにしていきます。データ改ざん、論文不正、隠蔽体質、SNS炎上、そして組織の保身——。これらはフィクションでありながら、どこか現実と地続きの物語として視聴者の心に深く刺さりました。

特に印象的なのが、主人公・真の成長物語です。当初は「好感度を犠牲にしてまで言うべきことなど何もない」と考えていた真が、次第に「好感度を犠牲にしても言うべきことがある」と気づいていく過程が丁寧に描かれています。第3話では、外国人記者の「先生の沈黙が残念です」という言葉が三芳総長の心を動かし、物語は大きく動き出します。

松坂桃李の繊細な演技が光る

松坂桃李さんが演じる神崎真は、一見好青年だが何を考えているかよくわからない、薄っぺらい人間として登場します。しかしその薄っぺらさを演じる松坂さんの演技力が高く評価されました。

視聴者からは「松坂桃李演技上手いんだなぁ」「さすがNHKドラマという感じ」という声が寄せられ、主人公の変化を丁寧に演じる松坂さんの演技が多くのファンの心を掴みました。

また、松重豊さん演じる三芳総長の覚醒シーンや、鈴木杏さん演じるみのりの気骨ある姿勢も視聴者の共感を呼びました。國村隼さん、渡辺いっけいさん、高橋和也さん、池田成志さん、岩井勇気さん(ハライチ)など、個性派俳優陣が揃い、それぞれのキャラクターに深みを与えています。

数々の受賞に輝いた評価

本作は放送後、その質の高さが高く評価され、ギャラクシー賞月間賞(2021年5月度)第59回ギャラクシー賞選奨、そして令和3年度(第76回)文化庁芸術祭賞テレビ・ドラマ部門大賞を受賞しました。これらの栄誉は、本作が単なるエンターテインメントを超えて、芸術作品として認められたことを示しています。

制作統括を務めた勝田夏子さん、訓覇圭さん、演出の柴田岳志さん、堀切園健太郎さん、そして音楽の清水靖晃さんによるJ.S.バッハ『目覚めよと呼ぶ声あり』の効果的な使用も作品の完成度を高めています。

まとめ

ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』は、現代社会の矛盾を鋭く描きながらも、ブラックユーモアを交えることで観る者を引き込む秀作です。渡辺あやさんの卓越した脚本、松坂桃李さんをはじめとする実力派キャスト陣の熱演、そしてNHKの制作力が見事に結実した作品と言えるでしょう。

劇中で引用されたキング牧師の言葉は、視聴者一人ひとりに問いかけます。保身のために沈黙するのか、それとも好感度を犠牲にしてでも声を上げるのか。この普遍的なテーマが、多くのファンの心を掴んで離さない理由なのです。全5話というコンパクトな構成ながら、観終わった後に深い余韻を残す本作は、まさにNHKが誇る良質ドラマの真骨頂と言えるでしょう。


※執筆時点の情報です