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25年前、バラエティ発ユニットが日本中を席巻した“異例のファンキーポップ” “裏方スタッフが歌って踊った”本気曲

  • 2025.10.27

「25年前、あの“野猿”という存在を覚えてる?」

2000年の春。街にはギャルが行き交い、カーステレオからはダンスビートが溢れていた。テレビのバラエティ番組がまだ“時代の中心”にあった頃――その渦中で生まれた男たちのグループが、想像を超える熱狂を巻き起こした。

野猿『Chicken guys』(作詞:秋元康・作曲:後藤次利)――2000年5月31日発売

この曲は、フジテレビ系『とんねるずのみなさんのおかげでした』から誕生したユニット・野猿の8枚目のシングル。第51回紅白歌合戦にも、この曲で出演を果たした。バラエティ番組発ユニットとしては異例の快挙だった。

テレビの中から生まれた“本気のチーム”

野猿は「裏方スタッフが本気で歌って踊る」という前代未聞の企画から生まれた。番組スタッフととんねるずが中心となり大道具、衣装、カメラマンらがそのままメンバーとしてステージに立つ。そこには、企画モノを超えた“大人が本気でふざける”という精神が貫かれていた。

1998年のデビューから、彼らは笑いの延長ではなく、“音楽としての完成度”で勝負を挑んでいく。サウンドを手掛けたのは後藤次利。80年代から数々のヒットを生み出してきた後藤が生み出すビートは、どこかファンキーでグルーヴィー。そこに秋元康のキャッチーな詞が乗ることで、聴く者の心と体を自然に動かすポップスが完成した。

“Chicken guys”が描いた、男たちのユーモアと哀愁

『Chicken guys』は、彼ららしさを凝縮したような楽曲だ。タイトルの「Chicken」は臆病者という意味を持ちながら、どこか陽気でユーモラス。イントロから鳴り響くブラスサウンドと軽快なリズムが、まるでステージに立つ彼らのテンションをそのまま音にしたように弾けている。

ボーカルのとんねるず・石橋貴明と木梨憲武に加え、スタッフメンバーたちの掛け声やコーラスも随所に散りばめられており、まさに“現場の空気”が詰め込まれている一曲だ。

ふざけているようで、実は誰よりも真剣。

そのギャップこそが、野猿というチームの魅力であり、この曲の一番の熱量だった。

バラエティと音楽の境界線を超えて

1990年代後半から2000年初頭にかけて、バラエティ番組と音楽の融合は一つのトレンドになっていた。だが、野猿は単なる“番組企画”に終わらず、CDセールスでも実績を残すアーティストとして確立されていく。

『Be cool!』や『First impression』などシングルも軒並みヒット。ライブツアーを全国規模で開催するなど、活動のスケールも本格的だった。『Chicken guys』がリリースされた2000年は、野猿の人気が頂点を迎えていた時期。歌って踊って笑える――そんな一体感が、閉塞感を感じ始めた平成の終わりに、多くの人の心を軽くしてくれたのだ。

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2001年、野猿最後のコンサートツアー「撤収」東京公演初日より(C)SANKEI

熱狂の終わりと、確かな爪痕

翌2001年、野猿は惜しまれつつも撤収(解散)を発表。だが彼らが残したのは、一過性の“お祭り”ではなかった。音楽と笑い、仕事と遊びの垣根を越えた「仲間としてのチームの形」だった。

“本気でふざけることの美しさ”――それを体現した彼らの姿勢は、後のエンタメ界にも確かに受け継がれている。

今、改めて『Chicken guys』を聴くと、当時の空気がまるごと蘇る。テレビと音楽が最も近かった時代。汗と笑いが混ざり合ったステージ。そのど真ん中に、野猿という奇跡のチームが確かに存在していた。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。