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30年前リリース→120万枚超を叩き出した“切ないけどドラマティックな”心を掴む曲 言葉の壁を超越した“異例の大ヒットソング”

  • 2025.10.21

「30年前の秋、あのバイオリンの音を覚えている?」

1995年。トレンディドラマでは、音楽と映像が一体となって人々の心を揺さぶっていた。夜の街を包むネオン、秋の冷たい風。その中で静かに、けれど確実に心を掴んでいった一曲があった。

セリーヌ・ディオン with クライズラー&カンパニー『To Love You More』(作詞・作曲:David Foster、Junior Miles)――1995年10月21日発売

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セリーヌ・ディオン-1999年撮影 (C)SANKEI

海外の歌姫が紡いだ“日本の物語”

カナダ出身の世界的歌姫、セリーヌ・ディオンが日本のドラマのために歌うこと自体が当時は大きな驚きだった。フジテレビ系ドラマ『恋人よ』の主題歌として書き下ろされたこの楽曲は、ドラマの放送とともにじわじわと注目を集め、洋楽としては異例の総合ランキングで1位を獲得するまでに成長した。

もともと圧倒的な歌唱力を誇っていたセリーヌが、情熱を抑えた低音域から伸びやかに広がる高音域まで、余裕あるコントロールで歌い上げる。その姿に、日本のリスナーも一気に魅了された。「英語詞なのに気持ちが伝わってくる」と感じた人も多かったはずだ。

葉加瀬太郎のヴァイオリンが開いた未来

この曲が日本の音楽シーンに残した大きな爪痕のひとつが、クライズラー&カンパニーによる大胆な演奏だった。とりわけ葉加瀬太郎のヴァイオリンが前面に出た構成は新鮮で、ドラマティックなサウンドを一層引き立てている。

それまでクラシックとポップスを融合させるアプローチは限られていたが、この楽曲を機に葉加瀬の存在は広く認知され、彼自身のブレイクへとつながっていった。後にソロアーティストとして国際的に活動していく土台となったのも、この一曲の成功が大きかった。

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葉加瀬太郎-1997年撮影 (C)SANKEI

120万枚を超えた静かな快進撃

『To Love You More』は発売直後から爆発的に売れたわけではない。だがドラマの進行とともに少しずつ売り上げを伸ばし、最終的には120万枚以上を記録した。口コミやメディア露出を通じて長く支持された「ロングヒット型」の成功例といえるだろう。

当時の音楽市場は、ミリオンセラーが次々と誕生する黄金期。その中で、海外アーティストが日本語詞を使わずにここまで支持を集めたのは異例だった。この事実は、セリーヌ・ディオンの歌声が言葉の壁を越えて感情を届けられる力を持っていたことを雄弁に物語っている。

ドラマと共鳴した“時代の鼓動”

主題歌となった『恋人よ』は、鈴木保奈美と岸谷五朗が織りなす大人の愛憎劇で、複雑に絡み合う感情が話題を呼んだ。その重厚なドラマの余韻をさらに強めたのが、この楽曲の持つ情熱と静けさのコントラストだった。

夜の街に漂う哀愁、すれ違う心の切なさ。その情景と『To Love You More』の旋律が重なることで、当時の視聴者に強烈な印象を残した。

余韻が続く、永遠のラブソング

30年を経た今も、この曲が流れると当時の情景が鮮やかによみがえる。セリーヌの声に寄り添う葉加瀬のヴァイオリンは、聴く者を時空を超えた“あの秋”へと連れ戻してくれる

一過性のヒットではなく、静かな情熱を持ち続けた永遠のラブソング。『To Love You More』は、日本の音楽史においても特別な位置を占め続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。